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『星の王子さま、禅を語る』

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去年から、禅的なものに憧れて、断捨離したりしているのですが、もう少し禅の考え方を知りたいと思い、ちくま文庫から出ている「星の王子さま、禅を語る」(著:重松宗育、以下「本書」)を読み始めています。本書のメッセージは、禅は、私たちの生活の身近なところにたくさん転がっているということなのでしょう。サン=テグジュペリの「星の王子さま」を引用しながら、わかりやすく禅の考え方を解説しています。

今回は両方の本から引用しながら、「なるほど」とうなずけたことを紹介します。

★本書&『星の王子さま』より
「かんじんなことは、目には見えないんだよ」

これは、本書第1章の扉に書かれていた言葉です。「星の王子さま」の後半でキツネが王子さまに言う台詞です。サン=テグジュペリの「星の王子さま」は、象がウワバミに飲み込まれた絵を描いたのに、大人がそれは帽子の絵だというシーンから始まります。このシーン、ストーリーは覚えていなくても、ここだけは覚えているという方も多いのではないでしょうか? 印象的な物語の始まりです。あの絵に対する大人の反応は、いわば反面教師。心の目で見るというのは禅の大切な考え方だそうです。文字を立てず、文字に頼らない「不立文字」(ふりゅうもんじ)という考え方が紹介されていました。cardiac.exblog.jpさんが紹介しているこちらの絵(例1例2)のように、禅画に記号的な表現があるのも、心で見る、心で伝えることを重んじるからだそうです。私たちグラスルーツは言葉を大切にしている会社ですが、言葉に頼り過ぎてはいけない、という考え方には素直に同意します。それにしても、なんとまあ、コンセプチャルなことか、とてもおもしろい!

★本書&『星の王子さま』より
「ちょっと離れた所から見ると、それはもう、本当にすばらしい眺めでした」
★本書より
「『離れて見る』という態度は、禅の重要なポイントだからです」

1つ目の引用は、本書第5章の扉からのもので、原典は「星の王子さま」です。素晴らしい眺めと言っているのは、王子さまが上空から見た地球についてです。ワタシが持っている岩波少年文庫の「星の王子さま」では「少し遠くから見ると、まったくすばらしいながめでした」とあって、少し訳が違いますが、確かに、「星の王子さま」は全体的に離れて見ざるをえない状況設定になっています。なにしろ、自分の星を出て、7つの星を旅するのですから。こんな台詞もあります。「ぼくの星をごらん。ちょうど、真上に光っているよ。だけど、なんて遠いんだろう!」。

本書では、立花隆の「宇宙からの帰還」を引用して、視点を変えることで、見えるものが違うと述べています。85年に出されたこの本も名著ですね。ワタシは、宇宙、宗教、神秘ものが好きなので、読んだ記憶があります。
地球にいて、他の国を見れば、風土が違う、人種が違う、食べ物が違うと違いばかりに目がいくが、宇宙から見ると、それらはマイナーな違いでしかない…というような宇宙飛行士の証言を引用しながら、本書の作者は、日本人、アメリカ人、ロシア人、男性、女性といった視点で物を見るのではなく、禅では「ユニバーサルな視点」「平等の視点」を重んじるのだと説きます。道理でワタシが禅に惹かれるわけです。納得しました。

★本書より
「私の場合は、禅の特質を、
(1)ユニヴァーサリティ(Universality)
(2)インディヴィデュアリティ(Individuality)
(3)ヴァイタリティ(Vitality)
の三つの視点に分けて、説明することにしています。」


で、どうやら「Universality」は「平等」、「Individuality」は「個性」(仏教的に言えば「差別(しゃべつ)」)ということとほぼ同じ意味合いで、しかもそれらを対ととらえるのが禅の特質のようです。ここで言う、「差別」というのはいわゆる「さべつ」ではなく、発音は「しゃべつ」、意味は「くべつ」です。違いを認め合うということですね。
「星の王子さま」でキツネが言います。「だけど、もし、あんたとおれの心が通いあったら、あんたは、この世界にたった一人しかいない人間になるし、あんたにとっては、このおれが、この世界にたった一匹しかいないキツネになるんだからね」と。心が通いあっていなければ、ただの人間、ただのキツネでしかなく、特別なものではないけれど、心が通い合えば、パッと見だけでは同類になってしまう他のものと異なって、特別な存在になるということなのでしょう。この比喩は、王子さまと自分の星に残してきたバラの花との関係にも当てはまります。王子さまは、自分が世話してきたバラは自分の星にしかない存在だと思っていたのに、地球に来て、そうではないことを知ってしまいます。でも、自分が愛情込めて世話してきたバラは特別な存在なのだと学ぶのです。
「平等」として尊重し、さらに「個」として尊重する。どうやら、禅にはそんな考え方があるようです。

その他にも、「主人公」「一大事」など、日常的でなじみのある言葉に、禅ではまた別の意味があったりして、大変興味深く感じました。

私は特別な宗教の信者ではありませんが、宗教、哲学、宇宙、神秘、生と死、これらには昔から興味があります。なぜ生きているのか、どう生きていくのかを考えながら、自分に与えられた時間を生きたいなと思います。

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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