正直に言う?

物件情報を見るのが趣味です。
引っ越しの予定はまったくありませんが、
部屋の間取りや周辺の環境などを確認し、
「もしそこに住んだら、どんな暮らしになるのだろう」と
思いを巡らせるのが好きなのです。
どんな物件でもいいわけではなく、
外せない条件を入れながら絞り込んでいきます。
私の場合は、日当たりがいいこと、窓が多いこと、
風通しがいいこと、キッチンが奥まっていないこと、
そしてキッチンに窓があることが条件。
駅からの距離は、実際に住むわけではないので気にしません。
こうして探していくと、たまにあるのです。
「おおおお!」という物件が。
先日も見つけました。
ビンテージ(築年数が古いとも言う)マンションの一室。
壁がアール(曲線)になっていて、その壁に縦長の窓がいくつも並んでいます。
キッチンには小さな窓。
シンクの目の前に大きな窓があるのが理想ですが、
全体的な雰囲気がステキなので、いいとしましょう。
賃料も、まあまあ。
問題は、物件がある場所。ここ、結構な山の上です。
物件サイトには、こんなことが書かれていました。
「ほかではなかなか見つけられないようなお部屋です。
シャビーな雰囲気が好きな方にはたまらないでしょう」
そして、こうも書かれていました。
「場所は山の上です。車がないとなかなか到着しません。
そして道が狭いです。運転技術に自信がある方におすすめします」
さらに、
「山の中なので、自然豊かです。さまざまな鳥の声で目が覚めます。
鳥がたくさんいるということは、虫もたくさんいます。
この部屋に住むということは、 周辺の自然と共に暮らすということです」
これです。
これだから、空想物件探しがやめられないのです。
なんとすてきな紹介でしょうか。
ただ「こんなにすてきな物件です」と言うだけではなく、
デメリットもしっかり伝えている
(デメリットがメリットに 感じられるように
書かれているというのも大きいですが)。
ドラマ『正直不動産』の影響もあるのか、
「そもそも不動産業界に正直者は多くないのではないか」
と 思ってしまっているので、
デメリットを伝えられると、
一気にポジティブに感じるから不思議です。
いや、でも、これは不動産業界に限りませんね。
セールスは買ってもらうことを目的としているので、
通常は、相手がメリットに感じるポジティブなことを言いますよね。
「きれい」「新しい」「人気」のようなことです。
でも、デメリットも正直に話してくれる人の方が、
断然信用できる。
本当にこちらのことを考えてくれているんだなと思うからです
(セールステクニックかもしれませんが......)。
そこで、思い出したエピソードがあります。
30年ほど前、当時住んでいたアメリカで
友人の洋服の買い出しに付き合ったときのことです。
あるショップで、友人が色味がいい革のブルゾンを気に入り
買うつもりで羽織ったら、全然似合わなかった
ということがありました。
私も、付き添ったもう一人の友人も、
そして羽織った本人も
「あ、こりゃ違うわ」と思いました
(本人には後から聞きました)。
だれかが何かを言うのを全員が待っているような時間が
一瞬ありました。
すると、そばで試着を見ていた店員の女性が、
「あー、全然似合ってないね」と言ったのです。
私たちも同じことを思っていたので、
全員で「そうだよね」と笑いました。
店員の女性は、こう続けました。
「たぶん形は似合ってるんだけど、あなたは黒が似合わない。
でも、このブルゾンは黒しかないの」
これには、なるほど~~と思って、
感心したのをよく覚えています。
結局、友人はこの日は何も買わなかったのですが、
店員さんをとても気に入って、
それから よくそのショップで買い物をしていました。
正直でいることは強みだなあ、と思った出来事でした。
さて、あっという間に7月も半ばに差し掛かろうとしています。
今日、我が家の周りではセミの声がしました。
今年も長くて暑い夏でしょうが、 体に気をつけてまいりましょう。
