ディレクターの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーです

ブログ

スタッフの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーアベログ

『アート・デザイン』カテゴリの記事

  2 ページ / 2 ページ

Eテレで毎朝放送されているテレビ番組『シャキーン!』。
大好きな番組の1つです。


この番組、子ども向けなのですが、
内容がとてもクリエイティブで、大人が観てもおもしろい!
ちなみに、サイトの番組紹介文には、
「子どもたちを"シャキーン!"と目覚めさせて、
楽しい一日のスタートを切ってもらう知的エンターテインメント番組。
『いつもとは違うモノの見方』や『柔軟な発想力』が
楽しみながら身に付きます」とありました。


どのコーナーもおもしろいのですが、
とても興味深かったものを1つご紹介します。
(かなり前に観たものなので、正確ではないかも!スミマセン)


それは、まったく同じ映像に、異なった音楽を乗せて、
見比べるというコーナーでした。
同じ映像なのに音楽が違うだけで、
全然違うストーリーになるのがすごくおもしろいのです。


映像はこんな感じ。
部屋に女性が一人、椅子に座っています。
彼女の前には大きなテーブル。
その上には箱が1つ。
女性はゆっくりとその箱のふたを空けます。


1つ目の音楽は、何とも物悲しい調べ。
「辛いことがあったのね、、、。箱の中は手紙? 誰から?、、、」
もう涙なしでは観られない感じです。


2つ目の音楽は、スリル満点。
迫り来る恐怖。
「いやー、開けないでー!!」と叫びたくなります。


台詞が一言もない、まったく同じ映像なのに、
音楽でここまで違うストーリーになるなんておもしろいなあと感心。
映像から何かを感じるとき、
目だけでなく、耳から入る情報も大きく影響していることを再認識しました。


さて、私は普段、原稿を書いていますが、
音楽がない、紙の上の文字だけの場合、
映像でいう音楽の代わりになるものは、
フォントや文字間、行間などのレイアウトを含めた
「デザイン」だと思いました。


フォントが明朝だとやさしい、まじめな印象になり、
太いゴシックだと力強い感じになるのは分かりやすいですが、
感覚がゆったりしていると、読み手が「間」を感じるので、
読むスピードがゆっくりになり、より説得力が増したり。
逆に、間隔が詰まっていると、
疾走感、切羽詰まった感が出ます。
ページの空きや、全体の色も大きく関係しますね。


そんなわけで、
フォントやレイアウトを含めたエディトリアルデザインは、
「この原稿をどう読ませたいか」、
そして
「読んだことで、どんな風に思ってもらいたいか」、
さらには
「どんな行動をとってもらいたいか」という考えで、
原稿とセットでまとめていくといいのではないかと思います。


とはいえ、進行中、原稿が総入れ替えになったり、
デザインにどんどん直しが入ったり、
ということはよくあることだと思います。
ですが、この2つはお互いに影響し合っているので、
できる限りセットで考えたいところ。
原稿内容とデザインがぴったりはまったときに、
読者に与えるインパクトは絶大ですから!


9月も終盤にさしかかりました。
体調に気をつけて、どうぞすてきな1週間を。

アカデミー賞の発表がいよいよ本日です。
今年は、過去最多の13部門で
14ノミネートされている『ラ・ラ・ランド』が、最有力だとされています。


『ラ・ラ・ランド』は、
ロサンゼルスで夢を追いかける1組の男女の恋愛を描いた
ミュージカルムービーです。


ここまで話題になっているのは、
新しさと古さが絶妙なバランスで盛り込まれているからだとも言われています。
最近のミュージカル映画とは異なり、
曲、ダンス、ストーリーはオリジナルで新しい。
でも、映画全体に流れているのは、
誰もが感じたことのある、懐かしさ。
それが全体的には「新しい」と感じさせるのです。


監督したデイミアン・チャゼルさんは、
『シェルブールの雨傘』のような色彩感覚、
『雨に唄えば』などのハリウッド黄金期の
ミュージカルナンバーにインスパイアされたとのこと。
学生時代にこの映画を思いつきましたが、
当時は「商業的ではない」という理由でお金が出ず、
映画化までに10年以上の年月を要したそうです。


「新しさと古さが混じり合って、新しい」という話、
そういえば、どこかで聞いたことがある。
思い出したのが、脳科学者の中野信子さんが、
著書『あなたの脳のしつけ方』で、
アイデア力がある人、ない人の違いについて言っていたことです。


「人間が本当に欲しいものや、生きる上で本当に必要なものは、
時代を経てもそれほど大きくは変わらない。
だから、今必要なアイデアも、必ず過去の誰かが思いついている。
大事なことは、そういった過去のアイデアなり解決法を、
目の前の問題と結びつけてアレンジすること」


「クリエイティブと言われる人のほとんどは、
意識的、無意識的にかかわらず、過去のアイデアを蓄積し、
それを目の前の事例にうまく当てはめることで、
クリエイティブな発想を生み出している」


中野さんは、アイデアは思いつくものではなく、
過去から拾ってきて応用するもの、
だから新しいアイデアが思いつかないと嘆くのではなく、
そんな時は歴史を精査してみればいいと言っているのです。


確かにそうかもしれませんね。
「いいこと考えた!」と思いつくことって、
大体何かにインスパイアされています。
それが現在のこととうまくアレンジされると、
「いいアイデア!新しい!」となる。
『ラ・ラ・ランド』は、そこが絶妙な配合なのでしょうね。


なんて言っておりますが、
実は私、曲は聞き込んでおりますが、映画のほうはこれから。


早速、今週観ます!楽しみです!

読んだ後、観た後に、深く考えさせられる本や映画。
なぜか私は、夏の間はこうしたシリアスな作品と向き合えません。
ギラギラした太陽と蝉の声が
深く考えるという行為に合っていないのかもしれません。
重そうだけど、この俳優でこの監督で、このストーリーなら観たいなあ、、、
私のウォッチリストには、シリアスな映画がどんどんたまっていっています。


ところが、先日突然「よし、考え込もう!観よう!」と思えました。
寒くなったことや、日が短くなったことなどと関係あるのでしょうか。
早速、リストの中の一本『アリスのままで』を観ました。


この映画は、言語学者である美しい女性アリスが
若年性アルツハイマーに冒され、
徐々に記憶と言葉を失っていく日々をつづったものです。
観るのが辛いシーンがいくつもありましたが、
主演のジュリアン・ムーアの演技はすばらしく、
アカデミー賞主演女優賞を受賞したのも納得でした。


さて、昨夜、あることから「思いやり」について考えさせられることがあり、
ふと、この映画のワンシーンのことを思い出しました。
夫、長女夫婦、息子、次女とともに食卓を囲んでいるアリスが
演劇をしている次女の公演について何度もたずねる場面です。
何時からなの? 劇場はどこ? スペルを言って。
次女は、時間と名前、スペルを丁寧に伝え、
アリスは真剣な表情でスマホにメモしています。


優等生タイプの長女は、いたたまれなくなり、
当日は私が付き添うから大丈夫、ママは覚えなくてもいい、
心配しないで、というようなことをアリスに言います。
すると次女が、どうして?なぜ止めるの?本人はメモすると安心するのよ。
ママをばかにしないで、と言います。
アリスは依然としてじっとスマホの画面を見つめています。


私がアリス本人だったら、、、、
たぶん必死でメモするだろうと思いました。
覚えられないかもしれないけど、覚える努力はやめたくない。
そう考えるのではないかと想像しました。
だから、嫌な顔一つせずに質問に答えてくれる次女の行動は
とても思いやりに満ちているように思いました。


一方で、長女の言動も理解できます。
優秀な学者であった母のそんな姿を見るのは悲しいし、
何度も同じことをたずねる母を不憫に思ったのでしょう。
一緒にテーブルを囲んでいる家族の気持ちを思いやったのかもしれません。


「思いやりを持って」と簡単に言われることが多いですが、
思いやることって、難しい。そう思いました。


「思いやり」でもう一つ。
未来の雇用についてのある論文で、
将来、人工知能に代替されにくい職業ランキングが発表された、という記事を読みました。
それによると、上位にランクしているのは、
手助けや思いやりなどが重視されるセラピストやカウンセラーだそうです。
記事には、勉強して知的レベルを上げることも重要だが、
人間らしさの原点となる思いやり力を磨くことは強みになる、と書かれていました。


家族、友人、同僚など、身近な人を自分はちゃんと思いやっているだろうか。
改めて考えてみようと思いました。

歌でも演技でも演奏でも、
人の心をぐっと掴むものと、そうでもないものがあります。


完璧なビブラート、完璧な声量で歌う歌手の歌を聞くと、
「わあ、上手い!」とは思いますが、後に残る感想は「上手かったね」でしょう。
まったく軸がぶれない、完璧な回転をするバレエダンサーの演技も、
「わあ、すごい!」とは思うでしょうが、
「感動したね」とはならないかもしれません。


では、何が人の心を動かすんだろう。


私が心を動かされたものをいくつか思い起こしてみました。
まず、先日引退宣言したフィギュアスケートの高橋大輔選手の演技、
マンボメドレー。
そして、故マイケル・ジャクソンのジャパンツアーでのステージ。


久々にこの2つをYou Tubeで観てみて、あることに気づきました。
それは、「間」と「緩急」、「強弱」です。
高橋選手もマイケルも、「間」の取り方、「緩急」や「強弱」のつけ方が
絶妙なのです。


高橋選手の場合、マンボというジャンルがそもそも強弱がはっきりしているから
ということもあるのですが、
音に合わせてぴたっと動きを止め、視線を落としたかと思うと、
少し間をおいて、ゆっくりと視線を上げ、その視線を流しながら滑らかに動き出す。


このバランスが何とも言えないのです。
観客が「きゃーっ!」と叫んでしまうのもわかります。
先日、テレビで元フィギュアースケーターの八木沼純子さんも言っていました。
「あれは、高橋選手にしかできない。他の選手には絶対にできない演技です」と。


そして、マイケル。ちょっと古い1987年、後楽園球場でのステージですが、
『スタート・サムシング』というとても速いナンバーを
ダンサーと一緒にめまぐるしく踊ります。
時間にして5分以上。
ファンは息もつけず、何とかマイケルについていくという雰囲気です。


が、突然、音楽もダンサーもマイケルもぴたっと止まる。一瞬、静まり返る会場。
あちこちから歓声が聞こえ始める。ステージはまだ止まったまま。
ファンは顔をぐしゃぐしゃにして大声で叫ぶ。そのボリュームが最大になった時、
ダンサーとマイケルはまた激しく踊り始めるのです。
マイケルのステージは度々ファンが失神することで知られていましたが、
改めて映像を観てみると、そうなってしまうのもわかる気がします。


こうして見てみると、「間」や「緩急」、「強弱」を上手にコントロールすることは、
相手の視線や気持ちをぐっと引きつけるためには
なくてはならないものだとわかります。


会話でもそうですね。
「あの人と話しているとおもしろい」と感じる人の話し方には、
この3つの要素が絶妙に含まれています。
反対に、話をしていて「退屈だった」と感じる時は、
相手が同じボリュームで、同じトーンで、
同じ表情でずっと喋り続けていることが多い。


さて、自分はどうでしょう。
私の場合、間は十分に足りてる気がしますが(滑舌が悪いから)、
その間が心を掴む間かと言われれば違う。
緩急と強弱は全然考えていなかった。
表情は。。。
「怒ってるの?」と子どもによく言われるからなあ、という感じです。
ああ、イカンなあ。
皆さんはいかがですか?

私のスマートフォンを勝手にいじって、ゲームを始めてしまう次男。
説明も読めないのにどうやって?と思いますが、
教えられたこともないのに、
タップしたり、スワイプしたり、という動作が自然にできるようで、
片っ端からアイコンらしいものをタップしたりしているうちに、
始められてしまうようです。


一方、スマートフォンに変えたら便利そうだ、と思いながらも、
「どこをどうやっていいのかわからない。ボタンもないし、矢印もない」
と言って諦めているのが両親。
一度、私のiPhoneで試したものの、
タップの力加減がわからずに、おかしなことになって、
それ以降、「無理だ」と言っています。


グラフィックデザインの世界では、フラットデザインと呼ばれる
立体的な要素をできるだけ排除したシンプルなデザインに注目が集まっています。
iOS7で採用されているようなデザインです。


一枚の絵として見た時、私個人はフラットデザイン好きです。
シンプルで、フォントもカラーも洗練されていて、カッコイイ。
私がこの業界に入った20数年前にカッコイイとされていた
デザインに近いような気もして、懐かしいような感じもあります。


でも、媒体が紙中心だった昔とは違い、今はネットやスマートフォンがあって、
ユーザーが操作することを前提としたデザインが必要です。
フラットデザインはカッコイイけど、フラットで本当にいいの?
という疑問が湧いてきます。


調べてみると、フラットデザインが注目されているのは、
どうやら制作サイドの事情によるところが大きいようです。


立体的なデザインでは、ユーザーインターフェイス(UI)は、
現実世界にあるものになるべく近づけて作られているため、
例えばメモ用紙のアイコン一つとってみても、本当のメモ用紙に見えるような影、
メモを破った時の紙のちぎれ方が、リアルに作り込まれています。
当然、この作り込みには多くの時間がかかります。
しかも、ユーザーが使用するデバイスが複数になると、
デバイスごとに作り込みが必要となり、制作時間は膨大になっていました。


そのうち、「そもそも2次元で3次元を表現することが本当に必要なのか?」、
「本当に大事なのはUIではなく、コンテンツではないのか?」
という声が上がるようになったようなのです。
シャドウやエンボスなどの立体的なエフェクトを
できるだけ排除したフラットデザインなら、
制作の負担が圧倒的に減り、
デバイスによって見え方が違うという問題に悩まされることも少なくなる。
また、シンプルで洗練されていて、本当の意味でデザインできる
(その分、高いデザインセンスが必要だという声もありますが)
というのも注目が集まる理由の一つみたいです。


もちろん、ユーザーにもメリットはあります。
一つは、画像が多く使用されていないことによるロードの速さ。
また、ガイドがシンプルなので、本来主役であるコンテンツに集中できることも
あげられています。


でも、うちの両親世代は、どこを押せばいいのかますますわからないだろうなあ。
そう思っていたら、ある記事にこんなことが書いてありました。


「フラットデザインはデジタルに慣れている世代には使いやすくなるだろうが、
デジタルに慣れていない世代には注意が必要。
用途やユーザー層を考え、適切なデザインを提供する必要がある」


なるほど。UI のデザインはこれからどんどん進化していくのでしょうね。
立体かフラットかに拘らず、シンプルで誰にとっても使いやすい、
そんな新しいデザインが将来出てくるんだろうなあと思いました。


さて、先週のメルマガでも少しお伝えしましたが、
当社のサイトが新しくなりました。
サイトを訪れてくださる方々に、
私たちのメッセージをよりシンプルにお伝えしたい。
そんな思いからフラットデザインの要素を採用しています。
ぜひご覧くださいませ。

  2 ページ / 2 ページ

これまでの記事

視点発見の旅
メルマガ【開-CAY】お申し込み

ご一緒に「視点発見の旅」へ!
メルマガは「開-CAY」で届きます

詳細を見る >>

「個人情報の取り扱いについて」

このページのトップへ