ディレクターの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーです

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必死に耐えて、「嫌われる」

「本当に、とんでもない勝利」


そんなことを聞くと、
何がどうなってそんなことが起こったのか、
とても興味が湧きます。
もちろん先日のラグビーW杯の話。


ラグビーの知識がまったくない私でも、
テレビで観戦していた南アフリカ戦の逆転勝利が物凄いことだ、
ということはわかりました。
スタジアムの観客は総立ち。
実況は叫び、涙で声を詰まらせ、
観客席で応援していた日本人が涙で顔をくしゃくしゃにする。
選手はピッチに倒れ込んで肩を震わせ、
現地のカメラマンや警備員が飛び上がって喜ぶ。
「世紀のジャイアントキリング」と称された試合でした。


このチームのことをもっと知りたい!
そんな思いから、Numberの臨時増刊号まで入手
(編集部の予想を超える、4刷20万部だそうです)。
ニワカファンらしく、ネットで情報を探したり、
YouTubeを見たり。
しばらく勝利の余韻に浸りました。


代表ヘッドコーチであった
エディー・ジョーンズの指導の厳しさについては
頻繁に報道されました。
雑誌の記事上にも
「血のにじむ努力」、「死力を尽くした」
などの言葉が並びます。
選手が「ラグビー人生の中で一番きつかった」、
「もう一度はできない」と語る
「世界一きつい」と言われた練習。
耐えられずに途中で逃げ出す選手もいたそうです。


そんなエディーヘッドコーチに
こんなことを聞いているインタビューがありました。
「選手から愛されたいと思ったことはないのですか?」
コーチの答えは、こうでした。
「コーチになってからは一度もありません。必要ないからです」


鬼コーチの厳しい指導。
そう聞くと、頭に浮かんでくるのは、必死に耐える選手たちの顔。
でも、コーチの立場に立ってみると、
エディーヘッドコーチも必死に耐えていたのではないか
と思えてきました。
「コーチになってからは愛されたいと思わない」
ということは、エディー・ジョーンズという人は、
決して、嫌われ役が好きなわけではないのではないか。


W杯で過去2度も優勝している南アフリカ代表のような、
とんでもないチームを相手に、とんでもない勝利を得ようと思えば、
とんでもない練習をするしかない。
例えが悪いですが、今まで30分かけて食事をしてきた人に、
これからは毎回5秒で食べろ、と言うようなものでしょうか
(そんなたとえで、すみません)。
そりゃ、嫌われます。
嫌われることを避けて、徹底させることは不可能でしょう。


W杯最後の試合、アメリカ戦。
ボーナスポイントつきの勝ち点制が採用されているため、
日本代表は試合に勝利したとしても、
それ以上先に進めないことがわかっていました。
勝っても負けても最後の試合。
W杯後、代表監督を引退することが決まっていた
エディーヘッドコーチにとって、
エディー・ジャパン最後の試合でもありました。


国旗を手にピッチに入場してきた選手の目がすでに赤かったのは、
ロッカールームでエディーが涙を浮かべて
こんな言葉をかけたからでした。


「プライドを持って戦おう」


アメリカ戦にも勝利し、W杯で見事3勝。
帰国した選手は、
「本当につらかった。
でも、エディーさんでなければ、あのレベルまで
僕たちを連れて行くことはできなかったと思う。
感謝している」
と語っていました。


日本代表のヘッドコーチでなくなった今、
「日本代表選手から愛されたいと思いますか?」
と聞いたら、エディーはどう答えるだろうか。
そんなことを思ってしまいました。

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