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その価値観、どんな経験から生まれている?

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同じ話を聞いたのに、
人と捉え方が異なっていて、驚いた。
そんな経験はないでしょうか。
かなり前の話ですが、当時、
当社でアルバイトをしていた大学生が
こんな話をしてくれました。

「先週、内定者の飲み会があったんです。
ひどかったんですよ、みんな結構飲むから、
つぶれる人が出ちゃって。
僕も結構飲んだんですけど、
なんか介抱する役になっちゃって、大変で」

何日か経って、
その話を一緒に聞いていたスタッフと
雑談をしていたら、
彼女がこんなことを言いました。

「そういえば、先日のアルバイトくんの話、
ひどい話でしたね。かわいそうですよね。
せっかくの集まりなのに。
ひどい飲み会ってあるんですね。
信じられません」

私は、ちょっと驚きました。
というのは、私はアルバイトくんの話を
「なんだかんだ、楽しかった
若者の飲み会エピソード」
として聞いていたからです。

今は、おそらくそんなことはないのでしょうが、
私の学生時代や会社の新人時代の
大人数での飲み会を思い起こすと、
大抵だれかが飲みすぎてつぶれていました。

そういうものだったので、
アルバイトくんの話を聞いた私は

「若いと飲みすぎちゃうよね。
そういうものだよね。楽しそう。
ああ若いっていいね」

くらいの感想でした。

なので、あの話を「ひどい話」として聞いて
いた人がいたんだとびっくりしたのです。

「え、あれ、なんだかんだ楽しかった、
っていう話じゃないの?」と言うと、
彼女は目を丸くして
「えええ?」と驚いていました。

彼女は私より少し下くらいの年齢で、
世代が違うというほどでもありません。
ですが、よく聞いてみると、彼女は、
飲みすぎてつぶれるような飲み会に
参加したことがないということでした。
そんなに大勢で飲んだこともない、と。
「経験したことはないけど、
誰かが飲みすぎてつぶれるなんて、
楽しいわけないじゃないですか」と。

なるほど。そりゃ、そうだ。

この時、私は思ったのです。
同じ話を聞いても「楽しい話」にも
「信じられないくらいひどい話」にも
なるんだなあ。それは聞く側が
どんな経験をしてきたかによるのだなあと。

そういえば、こんなこともありました。

我が家の次男が小学1年生だった頃のこと。

次男のクラスは、たまたまやんちゃくんが多く、
担任の先生が若くて経験が浅かったことも
あったのか、ちょっとしたトラブルも
大ごとになってしまうようなクラスでした。
そのため、多くの保護者が
「あのクラスは荒れている」と噂していました。

ある時、保護者の懇談会がありました。

クラスでの出来事が話題になり、先生は
「自分は経験が浅いので、いろいろ不慣れで
申し訳ない。保護者の皆さんは
ご兄弟のクラスも見ているので、
いろいろと教えてもらいたい」
とおっしゃいました。

そこで、私は「みんなで先生を助けよう!」
という気持ちになり、
長男のクラスで行われていた
給食の牛乳乾杯イベントがとてもよかった
という話などをしました。
周りのお母さんたちも、
こういうのはどうだ? というアイデアを
出していました。
先生も「参考になります!」と
メモを取っておられ、
私は近くにいたお母さんたちと
「いい懇談会だったね」と話しました。

ところがです。

数日後に、ほかのクラスのママ友から
「1年1組の懇談会、荒れたらしいね」
と言われたのです。
「先生に文句言うお母さんいたらしいね」と。

私は「あ、それ私だわ、きっと」と言って笑い、
「文句じゃないよ、アイデア出したんだよ」
とさらっと言ったのですが、ちょっと気まずい雰囲気に。

その時も私は思いました。
「いろいろと意見を出し合う場」は
私にとっては「楽しい場」ですが、
同じ場を「ケンカしている場」
と取る人もいる。
私が「楽しい」と感じるのは、
これまで私が経験してきた
「意見を出し合う場」が「楽しかった」からで、
「ケンカ」と取る人は
意見を出し合うことが嫌な経験として
インプットされているんだなと。

なぜこうした過去のエピソードを
お話ししているかというと、
先日、組織開発のコンサルティングを行う
熊平美香さんという方が書いた
『リフレクション 自分とチームの成長を
加速させる内省の技術』という本を読んだから。
本の中で紹介されていた
「メタ認知の4点セット」が
大変興味深かったからです。

熊平さんによると、
メタ認知の4点セットとは

「意見」「経験」「感情」「価値観」の4つ。

事実や経験に対する判断や意見を
上記の4つに分類して捉えると、
俯瞰しやすくなるというものです。

もう少し詳しく言うと、

意見:あなたの意見は何か

経験:その意見の背景には、どのような経験や、経験を通して得た知識があるか

感情:その経験には、どのような感情が紐づいているか

価値観:意見、経験、感情を俯瞰して、あなたが大切にしていることは何か

という整理の仕方をするようです。

例えば、犬に対する「好き」「嫌い」
という認知について考えると、

Aさんは
意見:犬が好き
経験:昔から犬を飼っている
感情:喜び・安心
価値観:犬はかわいくて、癒しをくれる

かもしれませんが、
Bさんは、

意見:犬が嫌い
経験:犬に噛まれて怪我をしたことがある
感情:恐怖
価値観:犬は近づくと危ない動物

かもしれない。

つまり、同じものを見たり聞いたりしても、
経験と、その経験から得た感情が違えば、
まったく違う受け取り方になる。

どちらが正しいとか
間違っているということではありません。

そんな状態で、
「犬はかわいいにきまってるでしょ」
「いやいや犬は怖い」などと、
意見だけにフォーカスした会話をしても、
意味がないのです。

私たちは、仕事でもプライベートでも、
意見や価値観が違う人たちと一緒に
物事を進めることがよくあります。

時に、自分の考えにはない、
理解できない意見や考えに触れ、
混乱することもありますよね。

でも
「全然理解できない。
どうしてそんな考えなのかわからん」
と考えてしまったらそれで終了。

そんな時、ご紹介した認知の4点セットで
整理して考えられれば、
自分の思考が整理できるし、
相手の状況も落ち着いて見られる。
そうすれば、意見がぶつかる中でも、
対話の糸口が見つかるかもしれないと
感じました。

さて、あっという間に5月が終わります。
早い。とても早い・・・

ジメジメした日が多くなりますが、
体調に気をつけてまいりましょう。

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