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一方通行の熱い思いは伝わらない

連日、熱戦が繰り広げられる甲子園球場。
今年、3年ぶり21回目の出場を果たした和歌山県の強豪、
智弁和歌山の高嶋仁監督が、昨年の指導者講習会でこんなことを言っていました。


「指導者がどんなに熱い思いを持っていても、一方通行では意味がない」。


高嶋監督は甲子園最多63勝を記録した監督として知られていますが、
監督を始めた頃は、生徒に練習をボイコットされたことがあったのだそうです。


当時、監督を務めていたのは奈良の智弁学園。
強豪校3校が甲子園出場を競っていた時代、
ここに食い込むためには倍の練習が必要だと感じ、
選手に相当厳しい練習を課していたと言います。


全員ついてきている。
自分の厳しい指導方法を信じていたある日のボイコット。
主将に呼び出され、聞かれたのは、なぜこんな厳しい練習をしているのか。


「自分が甲子園に出場した時の、あの特別な感動を皆にも味合わせてあげたい」。


監督自身の思い、考えをしっかり話すと、主将がこう言ったのだそうです。


「監督の思いはわかりました。明日からついていきます」。


指導者がどんなに選手のためを思っていても、
それが伝わっていなければ意味がない。
選手たち自身が自分たちが成長するための練習だと思わなければ続かない。
それを思い知った出来事だったと言います。


その後、生徒と心を交わすことを意識して猛練習を重ね、
後に春の甲子園初出場を決めた時、
開会式で入場してくる選手たちを見て、号泣してしまったと監督は話しています。


高校野球の指導において最も大切なことの一つは、
「選手たち自らの気づきを促すこと。
自分たちに何が足りていないかに気づいて、本気で練習する。
これを選手たちが自分たちで始めなくてはならない。
この状況を作ること」と、高嶋監督。


「この状況を作るためには、監督の声かけも重要。
以前、自分が四国遍路を行った時、
歩き通しで足がパンパンになり、歩けなくなったが、
励ましの言葉をかけられ、そこから5キロも歩くことができた。
この時の経験は野球指導でも生きている」


やらされていると感じていては、いつまでも自分ごとにならない。
自分ごとにならなければ、いつまでも前には進まない。
これは、私たち大人も一緒です。


そんな仕事のヒントが実はたくさん詰まっている高校野球。
甲子園の暑い夏はまだまだ続きます。

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