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信じて、伝え続ける

少し前になりますが、テレビで『アンディフィーテッド 栄光の勝利』という
ドキュメンタリー映画を観ました。
第84回アカデミー賞で、長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した作品です。


舞台はテネシー州メンフィス。
黒人の高校生たちがプレーする
アメリカンフットボールチーム『マナサス・タイガース』は、
結成から一度も勝ったことがない弱小チームです。
それもそのはず。
選手たちはやる気がなく、ケンカを繰り返し、お互いをののしり合う。
チームはバラバラです。


そこにボランティアの白人コーチがやってきます。
選手たちは最初、まったくコーチの言うことに耳を貸しません。
しかしコーチの言動と行動が、選手一人ひとりの意識をゆっくりと変えていきます。
やがて、チームは一つになり、ついに勝利を手にします。


私がこの映画を観て強く感じたことは2つ。


1つは、「見放さないこと、あきらめないことが、
奇跡を起こす可能性を生む」ということ。
2つ目は、「人は簡単には変わらない。でも、時間はかかるかもしれないが、
同じ態度で接し続ければ、こちらの思いは伝わる」ということです。


映画を観ながら、私は、選手たちの態度の悪さに
「あーあ、ひどいなあ」と思っていました。
些細なことでケンカして胸ぐらを掴み合う。
ミーティング中に席を立って、家に帰る。練習に来ない。
特にコーチが才能を認めていた選手は、極端に気が短く、
いつも人をばかにし、何も信用しない。
ほかの選手は「あいつがいるならプレーしない」と言います。
たいていの場合、こういう選手は放っておかれ、
チームに帰ってこなくても、そのままになってしまいそうです。


でも、この映画に登場するコーチは違うのです。
「チームにはお前が必要だ。自分が必要とされていることだけを考えろ」
と言い続けるのです。
彼がコーチの目を全く見なくても、一言も返事をしなくても、
すぐにその場から姿を消しても、
コーチは次に会った時に、また同じことを伝えます。
ドラマに出てくる熱血コーチのように、
大声で怒鳴ったり、目に涙を浮かべたりはせず、
穏やかに、伝えたいことだけを伝え続けるのです。


ドキュメンタリーですし、選手たちの相変わらずそっけない態度からも、
私は「このコーチの思いは結局届かないのかな」と思いながら観ていました。
ところが、この一番厄介な選手が、リーダーとしてチームを鼓舞し、
試合に勝利する日がやってくるのです。
私はかなり驚きました。人ってこんなに変わるんだと思いました。
コーチのかけた言葉が少しずつ彼の心を潤していき、やがて水がいっぱいになる。
そんなイメージが頭に浮かんできました。


もし私がコーチだったら、あんなやつのことは放っておこう、
と思ったかもしれません。
でも、このコーチは見放さなかった。それが勝利という奇跡を生んだ。
見放していたら、彼らは弱小チームのまま、
まともに試合もできず、すさんだままだった。
この違いは本当に大きいです。


スピードがより求められる時代です。
すぐに答えが出なければ、きっぱり諦めて次に移る。
それが必要な場合もあります。
でも一方では、諦めず、信じ続けることでしか目標を達成できないチャレンジもある。
松岡修造さんが言った「100回叩けば壊れる壁があるとする。
でもみんな何回叩けばいいかわからないから
90回まで来ていても、途中で諦めてしまう」
という言葉を思い出しました。

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