「大丈夫? 本当に大丈夫?」
少し前のことになりますが、
『はじめてのおつかい』というテレビ番組を観ていた時のことです。
お父さんが、4歳の女の子に、近所のショッピングモールで
妹のおむつと哺乳瓶などを買ってくるように頼もうとしていました。
おつかいに一人で言ったことがない子どもに
「行ってくる」と言わせるのは大変です。
お父さんは、朝からいろいろと計画し、
女の子が「うん、行ってくる」と言うことができるよう準備しています。
さて、いよいよ買い物の時間。
お父さんが「あれ? おむつがない。哺乳瓶も新しくしなくちゃいけない」などと、
緊急事態を装い、お姉ちゃんが買ってきてくれるととても助かる、と伝えます。
女の子は最初はぐずぐずしていましたが、しばらくすると、
とてもしっかりしたお姉ちゃんの顔で「じゃあ、行ってくる」と答えました。
番組的には、よしOK!
しかし、お父さん、たぶん娘がわりとあっさり「行く」と答えたために、
心配になってしまったのでしょう。
父「え? ほんとに大丈夫?」
娘「うん!」
父「ほんと? 一人で行けるの?」
ここで、ナレーションが入ります。
「あー、お父さん、もう確認しちゃだめですよ。
何度も確認すると不安になるんですから」
案の定、娘は次の瞬間、「やっぱり行けないー」と大泣きしてしまいました。
私は、この様子を観ていて「なるほどー」と思いました。
何度も確認されると不安になる。
これは、子どもも大人も同じですね。
何か新しいことにチャレンジする人は、もちろん不安だらけです。
だからこそ、覚悟を決めたらすぐにゴーしたい。
何度も「大丈夫か?」、「本当に大丈夫なんだな」などと言われたら、
信頼されていないという気持ちが大きくなり、
せっかく前に出した足を引っ込めたくなってしまいます。
だから、チャレンジさせる人は、「やってもらう」と決めたら、
「頼りにしているから頑張れ」という気持ちを伝え、
後はタイミング良く送り出すだけでいいんですよね。
ついつい不安になってしまいますが、何度も確認するのはNGなんです。
日経ビズアカデミーのサイトで、ある課長から寄せられた
「部下に仕事を任せられない」という悩みに、
柳原達宏さんというコーチの方がこんなアドバイスをしています。
「上司が仕事への慎重さから不安を感じていても、
部下自身は『いよいよ出番が回ってきた』と、
任された仕事にやる気を感じていることが多いのです。
課長が見極めるべきは、しっかりこなせる能力を持っているのかよりも、
自分からやろうとしている意欲が部下にあるかです」。
柳原さんが、意欲を感じ、仕事を任せようと思う時の目安は次の3つだそうです。
1、言っていることと行動が一致し始める
2、感謝の言葉を多く口にするようになる
3、自分の意見をはっきり言うようになる
なるほど、「能力があるか」より「意欲があるか」。
皆さんはいかがでしょうか。「人に何かを任せる」ポイントはどんなことですか?