「待ち」は勝ちの重要な一部をなす
「これはプレー的には負けていますが、全体の戦術的には勝っています」。
解説の松岡修造氏が途中そう解説していた、
全豪オープンテニス、男子シングル第2回戦での錦織選手の試合が終わりました。
無事に勝利してほっとしましたね。
実は私、テニスを観るのがあまり得意ではありません。
素人なのでよくわからない、ということが大きいのですが、
この試合は上手くいっているのか、それともまずい状況なのかが
初心者にはわかりづらいからだと思います。
この第2回戦。錦織選手の相手はクロアチアのドディグ選手でした。
この選手、200kmを超えるサーブを打つパワーの持ち主です。
テレビ画面を観ていると、サーブがバシバシ入ってきて、
錦織選手が身動きできない場面が多々あります。
ハングリーさもすごい。
ラリーで錦織選手に振り回されても、最後まで食らいついてきます。
私は他のことをしながらこの試合を観戦していましたが、
テレビに目をやる度に、リターンできない錦織選手の姿が映し出され、
正直、「あー、負けちゃうな」と思っていました。
しかし、解説の松岡氏はこう言うのです。
「ここは我慢の時です。錦織選手は今何をすべきか知っています。
前に行きたいのを我慢しています。
錦織選手は勝負をかけるタイミングがわかっています」。
素人の私は「そうなの?」と思いましたが、
後半、一気に流れは錦織選手になり、最終的に試合に勝利。
松岡氏の言う通りになりました。
「相手をとことん観察すること」。
これが、勝負には本当に必要なんだなあと改めて思いました。
じっくり相手を観察し、今相手が何を考えているか、
次にどう出てくるかを予測する。
「待ち」や「我慢」という戦術は、
こうした相手の細かな観察と分析の上に成り立っていると改めて気づきました。
そういえば、以前、サッカー日本代表の内田選手も言っていました。
「サッカーには、我慢しなくちゃいけない時間が必ずある。
我慢すべき時は徹底的に我慢する。そこで待つことが必要だ」と。
これはスポーツに限らず、ビジネスの現場でも言えますね。
「待ちは勝ちの重要な一部をなす」。
故スティーブ・ジョブズも著書『神の交渉術』の中でこう言っています。
スポーツの試合でもビジネスの交渉でも、
物事が自分の戦術通りに進んでいるか、予定通り動けているか、など、
自分の動きばかりに気をとられると、予想外の展開になった時に慌ててしまいます。
落ち着いて、相手をよく観察し、出方を考える。
言われてみれば当たり前のことですが、意識することが必要だなと思いました。