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水族館は本当に子どもの遊び場?

「水族館利用者の大人対子どもの比率は、8:2です。格段に大人が多いのです」


インタビューでそう答えているのは、
今年、リニューアルオープン10周年を迎えている
新江ノ島水族館のプロデュースをされた中村元さん。
中村さんは、「サンシャイン水族館」、「おんねゆ温泉・山の水族館」などの
リニューアルを手がけた水族館プロデューサーです。


さて、大人8割。びっくりしました。
今まで何となく、ファミリーのお出かけ場所と思っていましたが、
そう捉えるべきじゃないですね。
「水族館は動物好きな子どもたちが大人を連れてくる場所ではない」
と中村さんも言っています。


考えてみると、私も水族館ファンです。
でも、水族館であればどこでもいいというわけではありません。
行くとどっと疲れる場所もあります。
とくに遊園地を併設しているような巨大水族館は苦手。
もともと人混みが得意ではないので、人を見ているだけでクラクラします。


「人混みを感じない水族館なんてないでしょ」と思いますよね。
よく行く新江ノ島水族館は違うんです。
まず、規模がコンパクトでちょうどよい。幻想的。落ち着く。
子どもの遊び場に来たという感じがあまりないのです。


記事を読んで「なるほど」と思いました。
新江ノ島水族館は、大人をターゲットにした「日本の水族館」を
コンセプトにしているらしいのです。


「日本人が海という大自然に抱いている畏れの気持ち、
海の幸に感謝する気持ちは独特なものです。
日本独特のアニミズムを新江ノ島水族館では表現しています」
と中村さんは言っています。
具体的には、岩や照明によって陰影をつけて、海の怖さや凄みを際立たせる。
造波装置で潮の動きを作り、海藻を動かして、豊かな日本の海を表現する。
名物のクラゲゾーンも、生命のしたたかさと儚さを感じさせる
幻想的な空間づくりを目指したのだそうです。


新江ノ島水族館は、体験学習企画も充実しているのですが、
ここにも独特のメニューがあります。
たとえば、「相模湾のクラゲ採集&調査」。これは大人限定企画です。
大人限定体験学習って、あまり聞かないのではないでしょうか。
ほかにも「地引き網体験」なんてメニューもあって、
大人がワクワクしそうな企画が用意されています。


さて、中村さんの記事を読んでいて思ったことは、
「○○って、○○のためのものだよね」という認識が、
今や正しくないこともあるなあ、ということです。
「水族館って、子どもが行くところだよね」という認識のままだったら、
今のような新江ノ島水族館は生まれていない。
「お菓子って、子どもが食べるものだよね」という認識のままだったら、
大人向けのお菓子も生まれていなかったでしょう。


まだまだありそうな「○○って、○○のためのものだよね」。
本当にそうなのかな。
検証したくなってきました。

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