枠にはめたいのは、なぜ?
次男のサッカーのコーチがこんなことを言っていました。
「僕、小学校6年生までドイツにいたんですよ。
日本に帰る事になった時、
日本のチームでは僕が一番上手いんだろうと思ってたんですよ。
だって、ドイツでサッカーやってきたんだから。
でも、チームに入ったらなんと一番下手だったんです。
周りの上手さにびっくりしました」
コーチによると、日本の小学生のテクニックはとても高度なんだそうです。
「練習内容がテクニック重視なんです。たとえば、リフティング100回やって、
なんてドイツで言われたことなかったですから」
へえ、そうなのか、と思っていると、
「でも、中高生になると、ドイツの選手の方が断然上手いです」とコーチ。
「どうしてなんですか?」と尋ねると、
「うーん、単純にドイツの選手のほうが
サッカーが楽しいと思っているからなんじゃないですか?
日本の中高のサッカーは枠にはめられて、窮屈な感じがするっていうか」
すると、他のコーチも横から言いました。
「ですよね。楽しいのは小学生までですね」
と、ここで思い出しました。
先日、全米オープン優勝まであと一歩というところで
惜しくも敗れたテニスの錦織選手。
錦織選手は13歳の時に日本を離れ、アメリカのテニスアカデミーに留学しています。
小学校を卒業したばかりの息子を
アメリカに送ったご両親の思いをある記事で読みました。
「日本では、テクニックはつくかもしれないし、上手くなるかもしれないが、
個性が潰れてしまって、楽しくなくなるのではないかと思った」
その記事には、日本のスポーツ界には、
「枠にはめず、選手の個性を伸ばす指導者は多くない」とありました。
多くの指導者は、選手が自分の理解を超えることをした時、
焦って自分のやり方に引き戻そうとする、と。
これは私の考えですが、こういう場合、
指導者が感じるのは「恐怖」なのではないでしょうか。
上下関係が狂ってしまうのではないか、という恐怖です。
動物の本能なのかもしれません。
立場が脅かされそうになるから、「私が上なんだ」という態度を示したくて、
無意識に自分の枠にはめようとする。
スポーツの現場に限らず、ビジネスでも子育てでも、
同じようなことが起こりますね。
あまり意識したことはありませんでしたが、
「上下」という図式、日常のあらゆるところにあることに気づきます。
ここから外れてみると、いろいろなことが見えてくるのかもしれません。