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人の心を掴むには? ~テクニックの前に大切なこと

この人が先生なの?


そんな風貌の人が現れました。
次男が参加した『夏休み集中 跳び箱&鉄棒教室』の初日のことです。


この教室に参加しているのは、跳び箱や鉄棒が苦手な子どもたちです。
嫌々モードの子どもたちとは対照的に、
私たち保護者だけが鼻息荒くはりきっています。
この教室に参加すれば、うちの子はたった4日間で跳び箱が飛べるようになり、
逆上がりができるようになる、そう皆が信じているからです
(そんなわけはないのですが)。


「どんな先生が教えてくれるのかしら」
期待が高まる中、現れたのは色白で線の細い男性でした。
伏し目がちで、なんとなく自信がなさそう。
保護者の表情に不安の色が見てとれます。


挨拶を始めた先生の声は、ルックス通り、細くてソフト。ボリュームも小さめ。
ぼそぼそと喋るので、はっきりと聞き取れません。
トークの間に冗談を入れたりしているようなのですが、それもよく聞き取れず、
子どもたちがなかなか静かになりません。保護者の表情は険しくなります。


すると、先生は、静かに自分のバッグから割り箸と輪ゴムを取り出し、
なぜかマジックを始めました。これがすばらしい出来。
子どもたちは静まり返りました。
保護者はというと、もうパニックに近い表情をしています。


会場が静かになった頃、先生は小さな声で言いました。


「先生は、跳び箱と逆上がりを教えるのが日本で一番上手です。
だから、みんな、先生の話をよく聞いて、その通りにやってみてください。
必ずできるようになります」


会場中が先生を信頼した、と思えた瞬間でした。
嫌々モードで緊張していた子どもたちの表情が一気に緩み、
私たち保護者もホッとして、思わず微笑み合ったりしてしまいました。


それからは、すばらしい授業でした。
スタート時に、先生の一言によって「自分もできる」と思った子どもたちは、
テンポのよい授業を本当に楽しんでいました。
そして何より、先生が実に熱心。感心してしまいました。


帰り道、私の頭に浮かんだのは
「求心力」と「第一印象」という二つのワードです。


先生には、人の心を掴む力、「求心力」がある。
「第一印象」から、そうは見えないけれど、ある。
で、思いました。
求心力って、見た目の印象と関係がありそうですが、そうでもないのかも、と。
どんな印象の人でも、求心力を発揮する方法があるのではないか。
大切なことは、まず自分自信のことをよく知ることなのではないでしょうか。


人の印象は、その人の身なり、姿勢、表情、目線、声の質、声のボリュームなど、
複数の要素が組み合わさって決まるものです。
そして、その印象がどんな感じなのかによって、
人の心の掴み方も変わってくるのではないかと思うのです。


先生は「跳び箱と逆上がりを教えるのが日本で一番上手です」という言葉で、
私たちの心をグッと掴みました。
これは、先生のような印象の人から発せられたので、響く言葉になったのです。
もし、この台詞を、声が大きくて太く、がっしりした体格で、
自信に満ちあふれた表情の人が言ったとしたら、どうでしょう。
ちょっと嘘っぽく、冗談みたいに聞こえるのではないでしょうか。
「自信過剰」な印象を与えてしまうかもしれません。


ビジネス書コーナーに行くと、
人の心を掴むテクニックを紹介している本がたくさん並んでいます。
でも、テクニックの前に、まず自分が周囲の人にどんな印象を与えているかを
知ることがやはり大事だよなあと改めて思いました。

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