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『ちょっとだけマーケティング』カテゴリの記事

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「日経ビジネスマネジメント Vol.4」の特集「ブランド経営の威力」を読みました。最近、あちこちのメディアで取り上げられていたコトラー先生の「ブランディングとは4Pの接着剤である」という見解も、インタビュー記事として読めました。

この中で、ちょっと目を引く記事が3つほど。一つはジャパネットたかたの社長・高田明氏の記事。自分がいるから会社が存続するのではなく、自分がいなくても存続できるような企業になることを目指すと語っているのを読み、ちょっと意外な気がしましたが、好感が持てました。もう一つは、三菱重工相談役の西岡喬氏のインタビュー記事。個人的には、小型ビジネスジェットには、今も将来も縁はなさそうですが、日本の企業がその分野で世界一を目指そうとしているのは応援したくなります。

さて、最後の一つが、今回のメインテーマ、スターバックスの失速に関して書かれた、ジョン・クェルチ(John Quelch)氏の寄稿です。ご存知の通り、スターバックスは昨年夏、アメリカ国内の不振店600店舗を閉鎖すると発表しました。クェルチ氏はスターバックスブランドにかげりをもたらした原因として、3つの点を挙げています。

1)スピード重視の顧客の取り込みを図ったことで、逆に古くからファンだった質の高いコーヒーを求める層を逃してしまった。
2)幅広い顧客を開拓するために新商品を積極展開したことで、コーヒーが要というブランドイメージが損なわれ、なおかつ「マクドナルド」等が打ち出したプレミアムコーヒーと差別化できなくなった。
3)急速な出店戦略が既存店への関心を失わせ、いわんや既存店との競合によって内部的なモチベーションの低下を招いた。

かなり超訳になりますが、そのような指摘であると、ワタシは理解しました。

ワタシ自身は、それほどスターバックスファンではありません。事務所のビルの隣にあったときは、さすがに頻繁にテイクアウトしましたが、コーヒーがそれほどおいしいと思ったことはありません。むしろ、ドトールの方が味は上だと感じます。
でも、店頭でCDを売っていたり、今ではなくなってしまいましたが、朝日新聞とのタイアップでなかなか高品質なフリーペーパーを出してみたり、気概というのか、志のようなものを感じた記憶はあります。

しかし、ここで言いたいのは、スタバの戦略がまちがっていたかどうかではなく、一般消費者が抱くであろう急速なチェーン展開や急激な発展に対するイメージについてです。急激な発展には、いわゆる「急成長!」というプラスイメージがある反面、大丈夫なのかな?という漠然とした否定反応があるのも事実だと思います。ここでは敢て「漠然とした否定反応」と書きましたが、消費者は細かに論理立てて分析しているわけではないので、そう書いたまでで、実際には経験に基づいてそう感じるのだろうと思います。つまり、急激な成長=急速な組織対応が必要=できる企業は多くない、そういった図式です。

そして、ワタシ自身もその通りだと思います。できる企業は多くありません。それでも、著しい成長を目指す企業は多い。企業として、発展を目指すのは当然だという理屈で考えれば、それはその通りなのですが、ほどほどの売上、ほどほどの利益という価値観での成長モデルがそろそろ出て来るような気もするのですが、いかがでしょうか。行き過ぎた利益の追求には、必ず落とし穴がある。サブプライム問題が物語っているのは、そんなことではないかと思うのは、ワタシだけでしょうか。
 

こんにちは。グラスルーツ小野です。

9月29日に更新してから、あっというまに半月が経ってしまいました。書きたいことはたくさんあるのですが(たとえばゼットンの稲本さんの話とか、ヒュージの新川さんお話、さらに経済環境についてなど)、実は明日から8日間留守をする関係で、この1週間、なんやかんや追われていた感じです。

15日から8日間の日程で、北欧(ヘルシンキとストックホルム)に行ってきます。北欧と言えば、なんといってもデザインじゃないですか。今回の目的は、北欧のデザインを見に行くことです。泊まるホテルも含めて、とても楽しみです。

さて、と。株が暴落しましたね。今日は1冊の本を紹介したいと思うのですが、株の暴落時期にこの本を書店の店頭で見た方は、タイトルがタイトルなだけに、むしろ株式市場がらみの本と思ってしまうかもしれません。書籍のタイトルは、「経済は感情で動く」(マッテオ・モッテルリーニ・著、紀伊國屋書店・刊)です。この春出て、もう46版を重ねる人気の本なので、すでに読まれた方も多いかもしれません。遅ればせながら読んでみたら、これがとてもおもしろかった。実際、アマゾンでは、5星と4星が拮抗する程度に、好評なレビューが多いです。

何の本かといえば、認知心理学とも関連性の高い、行動経済学の本という感じでしょうか。認知心理学とか行動経済学といわれてもピンと来ない方もおられるかもしれませんが、たとえば、レストランのコースに松竹梅の3つのメニューがあれば、多くの人は真ん中を選ぶと言われていますよね? この本では、そういった人間の心理と行動をデータに基づき解説してくれています。経済行動の比重がやや高いものの、経済行動の分析ばかりではありません。会議や交渉、事業の撤退などについてもデータに基づいて語っています。

ワタシの感想などより、アマゾンのレビューを読んでいただく方が、話が早いかもしれません。


この本の中でワタシ自身がもっとも興味を引いたのは、誰しも自分で決断するための納得できる理由を探しており、それが少し複雑になると決断を思いとどまるという点でした。以前の記事でも書いたように、ワタシ自身の中で「コミュニケーションと複雑性」について最近ひっかかりを感じているからなのでしょう。

たくさんの実験事例が紹介されています。読書の秋。お時間があったら、おすすめの1冊です。次回は北欧デザインについて書きたいですね。多分。
 

昨日はお天気がよかったので、駒沢公園界隈まで散歩に行きました。電車やクルマで移動しているだけだとわからない発見があるので、散歩って好きです。久しぶりに歩いてみて驚いたのですが、あの界隈は「わんにゃん天国」なのですね。犬を連れて入れるカフェが多いのはもちろんですが、犬の健康を考えたドッグフードの専門店、ペットのファッションの店、ペット販売の店、迷子犬の里親を探すマッチングの店等々。実際、4?5人に1人の割合というとオーバーかもしれませんが、かなりの割合で犬を連れて歩いている人に出会います。

このように、あるキーワードに特化して商業施設が集積され街が形成されると、それに「期待」をもって集まってくる人たちが生まれ、普通の街ならその店の存在に気づいてもらことさえ難しいのに、そうした特化型の街であれば、目に留まるということが起こるのですね。

ワタシの会社、グラスルーツは青山の骨董通り沿いにありますが、骨董通りもアンティークショップが並ぶ特化型の通りとして、その名前がつきました。(実際には、骨董品を扱う店の数は以前より減ってしまった印象がありますが…。)
こうした例は他にもあります。高級ブランドのフラッグショップが並ぶ銀座はその代表選手ですし、秋葉原、巣鴨、歌舞伎町、新橋なども、絞り込まれた消費者が集まる代表的な街と言って過言ではないでしょう。最近では、新宿3丁目の無国籍化などもおもしろい動向です。

こうした場所に出店すると、同業者(同コンセプトの店)同士の競合は激しいでしょうが、そのエリアは限られたターゲットユーザを吸引する力を持っているので、プラスとマイナスを相殺してもプラスの方が大きいという判断も成り立ちます。プラスのポイントを一言で言えば、店とユーザのマッチングの精度が最初から高いという点です。

渋谷を歩いている1000名の消費者と秋葉原の街を歩いている1000名と、それぞれのその日の目的を比べた場合を想像すればすぐにわかることです。秋葉原に家電やパソコン関連で出店した場合、競合は激しい。でも、店舗の前を通過する人の大半は見込客である。この意味はとても大きいはずです。

と、考えたとき、これをネットに置き換えてみるとどうでしょう。総合的なモールの時代がいつまで続くのだろうかと、そんな疑問が湧いてきます。
アパレル業界では、magaseekやStylife、ZOZOタウンなどの特化型モールが隆盛していますが、こうした動きは他の業種でももっともっと広がって行くのではないかと思います。楽天やYahoo!ショッピングのような総合型のモールがなくなることはないと思いますが、別の勢力が強くなってくることはいくらでも考えられます。そんな時代に備えて、ネット販売のあり方を考えるというのは、今後ますます必要となる視点のような気がします。

1月に行っていた採用試験(作文)では、4つのテーマの中から好きなものを選んで書いて良いということになっていました。4つの課題とは、「エスキモーに氷を売る方法」「夏」「自分を売り込む広告」「B」です。
4つのテーマの中で一番選択する人が多かったのが、なぜか「エスキモーに氷を売る方法」でした。なぜなのか、この心理分析には興味があります。

類似のタイトル「エスキモーに氷を売る」という本をご存知の方は多いかもしれません。これは、全米バスケットボール協会で観客動員数が最下位だったニュージャージー・ネッツを、27球団中チケット収入伸び率1位に導いたジョン・スポールストラによって書かれたスポーツマーケティングの本でもあり、と、同時にマーケティングにおいて普遍的な(言い換えれば当たり前な)ことを書いた、そこそこ有名な本であると思います。
採用試験で取り上げておきながら無礼な話ですが、ワタシ自身は2週間ほど前の出張の新幹線の中で、遅ればせながらこの本を読んだ次第です。人にもよるのでしょうが、なかなかおもしろかった。

ジョン・スポールストラの考え方とワタシ自身の考え方には共通点もありました。一番身近に感じたのは、「一番近いところから手をつける」という考え方です。とかく「マーケティングのプランを立てる」「販促のプランを立てる」というとき、何かこう大上段に構えてしまって、壮大なプランを描こうとしがちです。既存の顧客とは違う新しいターゲット層を取り込もうと考えてしまったり、とにかく「派手」なことをやらなければいけないような強迫観念に陥ったり。

でも、そもそもマーケティングという知識体系は、最も経費対効果の高い売り方は何かを追求しようということから生まれたのだと思います。だとしたら、一番即効性があり、経費対効果が高いところから手をつけるべきでしょう。その手法としては、今現在のお客様に訴えかける。これがまず第一です。これまでに接触のなかったお客様への案内と、これまでに接触があり、その企業を良いと認めてくださっているお客様への案内とでは、レスポンス率がまったく違うからです。

著者の着眼点は、まさにそういうところにありました。もちろん、それ以外にも彼の優れた点はたくさんあります。商品開発力、発想の柔軟さ、損得勘定のベースとなる数字を捉える力、社内コミュニケーション力、等々。でも、やっぱり一番は、当たり前のことを当たり前にやろうとした姿勢です。当たり前のことが意外にも当たり前にできないのが人間社会なのであって、できるというのはスゴいことだと思うからです。それで、すっかりこの本を持ち上げたい気持ちになりました。

ワタシは、マーケティング嫌いの人にマーケティングの話をするとき、マーケティングは確かに専門的な体系ではあるけれど、本来ちょっと頭のいい人なら知らないうちに自然と考えていることだと話しています。なぜならお金を有効に使い、効率良く成果を出したいと考えるのは、極々自然なことですから。
そんな考えに賛同する人にぜひこの本をおすすめします。
 

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ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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