ブランディング、コミュニケーション、チームワーク…。週1回の社長ブログです

ブログ:2014年5月

社長の脳みそ整理mono-log モノログ

140526_bluejasmine.jpgウディ・アレン監督作品「ブルージャスミン」を観てきました。今年1月、ケイト・ブランシェットがアカデミー賞主演女優賞を受賞したことで、一躍注目を集めましたね。ケイト・ブランシェットは大好きな女優の一人です。

これからご覧になる方もいるでしょうから、詳しいことは書きませんが、主人公は、夫の経済力に支えられ、ニューヨークでセレブな生活を送っていたジャスミン(ケイト・ブランシェット)。ところが、一転して愛も財産も失い、見下していた妹のアパートへ転がり込むのですが、自分の現実を受け入れられません。そして、玉の輿作戦で再びセレブに返り咲こうと画策する…、そんなちょっと痛い人生を生きる女性の物語です。ケイト・ブランシェットの演技のどこがスゴいかといえば、精神的に追いつめられた病的描写と、したたかで計算高い女性の描写を絶妙なバランスで演じている!ってことでしょうか。

さて、チケットに書かれた「虚栄という名の花」という一文は、まさにジャスミンの人柄を表しています。一言でいえば、「虚栄心」の固まり。彼女は、自分を良く見せるためなら、何でもしてしまうような人物です。

「虚栄心」とはそもそも何なのかと、気になったので調べてみました。
というのは、虚栄心が源にある行動というのは、一定の洞察力がある相手から見ると「この人、自分を大きく見せたいんだなー」とバレバレですよね。バレちゃったら虚栄心が満たされるどころか、むしろカッコわるいはずなのに、なぜそこで自分を大きく見せたくなるのでしょう? 多分、大きく見せているという自覚はないのだと思います。しかも、バレないまま認めてくれる相手もいるのでしょう。

自分を実質よりも良く見せたいと思う心=「虚栄心」。
その心理の裏側には人から見透かされるのは怖い、その恐怖から逃れたいという気持ちがあるそうです。つまりは、自信のなさやコンプレックスなどを隠したいという気持ちが強いと、隠すために見栄を張るわけですね。
けれど、人から良く思われたい心理は誰にでもあり、それがあるからと言って、必ずしも「虚栄心が強い人」とは見なされません。どんなときに、受け手のセンサーは相手の「虚栄心」を見抜くのでしょうか。

ここから先は理屈抜きの話になります。
受け手が相手の「虚栄心」を感じるというのは、相手の言動に「『自分は人よりも上』と『認められたい』」という心理を感じたかどうか、そこがポイントではないかとワタシは思います。つまり自分が人よりも優れているとか、イケていると認めてほしいためにアピールしていると感じると、虚栄心が強いと判断する。言い換えれば「他人軸」で生きており、「承認欲求」が強いということですね。
仮にもし、「私はこれが得意です」とか、「私の強みはこれこれです」という話があっても、自分軸で語られている限り、「虚栄心が強い人」とは見なさないのではないか、と思います。逆に言えば、その人に本当の実力があったとしても、「私って人よりすごいでしょ? すごいと認めてよ〜!」というモードで誇示されると、どんなに実力があったとしても、「この人、大きく見られたいんだなー」というセンサーが働く…人と人の間では、そういう無言の観察が行われているのだろうと思います。

さて、「虚栄心」は組織にどう影響するでしょう?
虚栄心の強い上司は、自分の成功体験から抜け出られず、「自分の若い頃は…」と語ったり、パワハラしたり、自分に非があっても謝れなかったりするでしょうね。
虚栄心の強い部下は、根拠もなく自分なら達成できるとアピールし、けれども協力者を得ることもできず、SOSを出すこともできず、結果うまく行かない場合はやっぱり他責で、うまく行った場合は武勇伝として語る…そんな感じがします。

まずは、単純に自分軸で生きたいものですね。ありのままの自分を受け入れる、つまり「自尊心」を持つということになりますね。そうすれば、自信のなさやコンプレックスを隠したいという気持ちがなくなり、自ずと「認められたい」「誇示したい」という欲に支配されることもなくなる気がします。他人軸から脱皮する、そこに幸福になるための大きなヒントがあるのかもしれません。

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週末、銀座アップルストアで「AppleTV」を、有楽町のビックカメラでSONYの「ブルーレイレコーダー」を買いました。AppleTVはただ単に以前から気になっていたからですが、レコーダーの方は手を打たないと不便だと感じており、その意味で優先順位が上でした。というのは…、ワタシは最近住居を引っ越ししたのですが、以前はケーブルテレビから借りていたセットボックスのレコーダー機能を使って、番組を録画していました。でも引っ越し先はケーブルTVが使えない。つまり解約し機器を返却したためにレコーダーを調達する必要性が生じたのです。

ワタシの録画利用は極めてシンプル。一番は毎日のニュース番組、二番は週1回のNHK大河ドラマ、後は都度都度。ですから、決してヘビーユーザではありません。
結論から言うと、SONYのローエンド商品を購入しました。
ネットワーク機能が充実していて、外出先でもスマホやタブレットからテレビが見られるのだ、というビックカメラの店員の方の説明に、魅力を感じ、決断しました。恐らくSONYとしては、ワールドカップを意識した商品開発なのでしょうね。

家に帰ってきて、早速それぞれをセットアップし、使える状態にしてみました。その過程で、感じたことがありました。それは…

「デザインのSONY」というDNAはどうなっちゃったのか? です。

購入したレコーダーのデザインに不満があったわけではありません。でも、同じ時期に「AppleTV」を購入してみると、両者のモノづくりに対する思想が全く異なると感じました。製品自体は異なるので、ここではパッケージとリモコンを比較してみましょう(写真)。左がSONY、右がAppleです。

まず【パッケージ】の考え方についてです。
SONYのパッケージから感じたのは、単なる輸送のための「器」ということでした。一方、Appleのそれを見て感じたのは、家に持ち帰った人が、箱を開けたときの気持ちを思ってパッケージをつくっているように思える、ということでした。実際に、たとえばコード類の詰め方でさえ、Appleは楽しませてくれます。今回はきれいな円形にまとめられていました。
別に箱の材質が重要なのではありません。SONYのように段ボール素材であっても、十分に魅力的なパッケージ事例は既に世の中にあります。大切なのは、何を伝えたいのかという、根底に流れる思想です。

【リモコン】のデザインはどうでしょうか。
デザインと書きましたが、デザインとはすなわち考え方と同義です。シルバーのボディがいい等、そういうことではありません。
しかし、こうやってリモコン自体を比較してみると、ユーザとメーカーは、かなり乖離しているなと思えてきます。何ができるか、どんな機能があるか、それはユーザにとってはあまり重要でない。むしろ重要なのは、その製品の根幹にある考え方です。それが明快であればあるほど小気味良くおもしろいです。でも「こんなことも、あんなことも、そんなこともできますよ」というアプローチをやめて、「これしかできません。でも、それでこそいいでしょ?」とアプローチすることは、とても勇気が要ります。AppleTVを開発する際も、先にコンセプトを絞り込んだ、と聞いたことがあります。つまり「何を伝えるか」を絞り込んだのです。で、実際今回使ってみて、とても魅力的だと感じました。とてもシンプルな機能で、1万円弱。バリューを感じます。

さて、ここでワタシが書きたいのは、Appleは優れているが、SONYはダメだということではありません。かつて数ある日本メーカーの中でもとりわけデザインで一目置かれていたSONY。「デザインといえばSONY」、そんなずっしりとした存在感がかつてはありました。そのDNAはいったいどこに行ってしまったのか…?ということです。
元来のSONYは、デザイン表現の前にまずデザイン思想を考えるから、ウォークマンなどの優れた商品を生み出してきたのだと思います。デザインを意匠ととらえている人は少なくありませんが、本来は第一に思想です。「〜のためにこれをこうすべきだ」という、そんな価値観や思想の上に成り立ってほしい事柄です。「〜は譲れない」というこだわりと言ってもいいかと思います。

Appleは、スチティーブ・ジョブズが亡くなってから、まだ多くの年月が過ぎたわけではありません。組織は人間がつくっているのですから、Appleといえども、いつかは必ず迷走すると思います。迷走しても原点に戻れる組織。「〜は譲れない」の「〜」の部分のひとつが「デザイン」だという共通理解があり、そこに戻れる組織、結局はそういう組織が強いのでしょうね。

Appleは好きですが、SONYにはもう一度「SONYの時代」を築いてほしいと思います。

指宿

日曜日から休暇で鹿児島の指宿に来ています。現地で書いているので、今日のブログはお休みモードのショートノートになります。
今日はあいにく朝から雨と濃霧で、ホテルの前は指宿の町と海が広がっているのですが、窓の外は真っ白の霧の中でした。そこで今日は、プランを変更し、戦時中、特攻隊の基地があった知覧へ。中学生たちがゼロ戦の前でピースしながら記念撮影しているのを見て、なんだかなーと。。。明日は知林が島を見るつもりです。フランスのモンサンミッシェルのように、潮が引くと島への道ができて渡れるのだそうです。島は無人島です。

指宿に来るきっかけは香港の友人に、鹿児島への直行便ができたので行くから合流しないかと誘われたからでした。ホテルの人の話によると、九州以外では、中国や韓国からの旅行者が多いそうです。地方都市にとって、アジアからの観光客を増やすのは重要課題だろうなと改めて思います。中国の友人と特攻隊の記念館を訪ねながら、個人対個人の対話がもっと増えることはいいことだろう...とそんなことを思いながら、あした帰ります。

ミュージアムウォークで選んだ3枚の写真

連休の1日、「"かっこわるい"が"美しい!"に変わるティーパーティー」というタイトルのワークショップに行ってきました。美しいと言っても、外見の話ではありません。人の心の中で、どんなことが別のどんなこととつながっているのかに気づかされる大変興味深い経験でした。

「ミュージアム・ウォーク」と称した前半のパート。ここでは、部屋の周囲に並べられた100枚以上の写真を見ながら、自分が美しいと思ったもの、心にひっかかりを感じたものなどの中から3枚を選び出します。その後、どこに惹かれたのか、その裏側にある自分の願いや憧れを、二人一組が聞き手/話し手となって交互に語り合います。つまり「○○な世界が好き」「○○な美しさに触れると○○と感じる」「○○な自分が投影されている」「○○な自分でありたい」など、そんな掘り下げを行うのです。

私を引きつけた写真は上の3枚(帰ってきて家のキッチンに貼りました)。まず最初に選んだのは、ミミズクの写真。キリっとしたするどい目に、すっかり魅せられてしまいました。それを片手に持ちながら、さらに回遊を続けると、ややや! 続いて目に止まったのは、「ナルニア国物語」の白い魔女役で知られる不思議ちゃん女優、ティルダ・ウィンストンの写真。なんとミミズクと同じ目をしている! そして、3枚目はどこかの国の公園のベンチに座る二人の老人を撮ったセピア色の写真。会話するでもなく、二人とも淡々とどこかを見つめ渋い表情をしています。片方は男性ですが、もう一方は男性なのか、女性なのかもわかりません。
3枚の写真に共通するのは、凛とした空気が流れているという点でした。ワタシの中に、媚びない生き方や依存しない生き方をしたいという価値観や願望があるのかもしれません。

こうやって心が動かされたものを題材に、誰かと会話するのは、自分や相手を知る上でとても有効ですね。

後半は参加者に対して事前にお題が出されていました。それは、「私、超かっこわるい」「全然イケてない」「こんな自分はダメだな〜」と思った出来事を一つピックアップしてくるというものでした。

かっこわるいエピソードならたくさんあると思ったワタシは、行きがけの電車の中で考えればいいと思っていました。ところが、かっこわるいと思う事件はたくさん思い浮かぶのですが、ダメだなとは思っていない。なんとまあ自己愛の強いことか…。もしかして、この自己愛の強さがダメなのかも?などと考えるうちに、あと一駅の間に決めなければならなくなりました。何を基準にエピソードを選べばいいんだろう? わかりやすさ? ウケるのはどれかな? むむ、これこれ、この「ウケるエピソードは何かな?」と思った今のワタシはかっこわるい! 全然ワタシらしくないから。媚びるのキライなくせに、その考えって媚びてるじゃない!と。
そんなふうにワタシのかっこわるいエピソードは選び出されました。
 

さて、このワークのメッセージは、、、

「かっこわるい」と思う気持ちの裏側には「願い」がある。本当は「〜でありたい」「〜したい」と思うのに、できなかったとき、自分の美意識に反するから「かっこわるい」と感じる。それは美しい願いからくる感情であり、その願いを持つ自分も美しい…。

 

つまり、ワタシが挙げたエピソードに置き換えると、「媚びない自分が自分らしいのだから、そのまま自分らしくありたい」というのがワタシの「願い」だと言えそうです。その願いは美意識であり、そんな意識を持つ自分はかっこわるいどころか、美しいではないか、ということでしょうね。ハイ、美しいです!(書くのは、照れますけど)

同じ出来事でも、こんなふうに捉えると、見え方が反対になるから不思議です。ポジティブな気持ちを維持するコツだと思いました。というわけで、受け売りですが、あなたがもし落ち込むことがあったら、試してみてください。

今週もよい1週間を!

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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