「聞く」のは簡単ですか?
先日、高3の次男にお説教されました。
あるきっかけから、
次男が「今日は言わせてもらう」モードに入り、
過去のことも掘り出してきて、まあ、言う言う。
思春期の男子ですから、
普段はそれほど話さないですが、
よっぽど溜めていたんでしょう。
日頃、全然聞いていないのかと思っていたら、
結構覚えているんだなあと
変に感心してしまうくらいのしつこさ。
そう思ってたんだ、それは申し訳なかった、
と思うことも多かったのですが、
それとこれとは違うし、一緒にしないでほしい、
ということもあり...
「いや、ちょっと待って」
と言いそうになりましたが、
そもそも次男が言わせてもらうモードに入ったのは、
私が、「ただ、聞く」ということを
ちゃんとしてこなかったからだと、
説教されながら気づいたので、
ぐっと抑え、頑張って受け止めました。
でも、ですよ。
いつまで?
と思うくらい過去のことを掘る(笑)。
私は、頭の中で、
あとどのくらい続くのかなあと思うわけです。
仕事終わってないし、洗濯途中だし、
とかいろいろ思うわけです。
すると、すかさず、
「今、全然聞いてなかったよね。
そして今、時計見たよね。
俺には、時計見たよね?とか言うくせに、
自分でもやってるよね。反省してないよね」
と次男。
ああ、子どもってこういう気持ちなんだなあ、
そりゃ、くどくど言われると、
他のこと考えたくなるわ。
やっぱり、一つのことだけを短く言って
終わりにしないと意味ないんだなあ。
などと妙に納得したり、
いい学びだなあなんて思っていると、
「なんで、すっきりした顔してんの?」
とか言われ、神妙な顔をしてみたり。
言われた方としては、体感1時間。
実際は30分くらいだったかもしれないです。
いや、ちゃんと聞いていましたよ。
途中、他のことを考えそうにはなったけど...
大人って、人に怒られたりしないので、
私は息子にいろいろ言われて
すごくよかったと思っています。
ごもっとも、と思うこともたくさんありました。
息子の訴えを翻訳し、解釈すると
こういうことです。
・私は、人の話をただ「聞く」ことをしていない。
これは、自覚があります。
即、解決したいタイプなので、
すぐに、全体を見渡してしまって、
この人はこう思ってるかもよ、
そしてこの人はこう思ってるはず。
だったらこうしたらいいんじゃない?
とか言ってしまう。
でも、相手は、解決策を知りたいわけじゃない。
「そうなんだ」「大変だったね」だけでいい。
一度、受け止めなくちゃいけない。
・都合がいい
子どもには正論を言うくせに、
自分のことになると、できていないことに対して、
都合よく言い訳したりする。
こっちは仕事もして、家事もして、
忙しいんじゃい! と思いますが、
息子は自分の枠組みの中でしか考えないので、
そう受け止めますよね。
俺は学校も行って、予備校も行って、
忙しいんじゃい、って思っているでしょう。
こうして「大人はずるい」みたいな
印象を持つんだろうなあと思いました。
勉強になります。
さて、「聞く」について。
よく「人の話はただ聞くのではなくて、
しっかり聴こう」と言われますよね。
意識を集中して、耳を傾けて「聴こう」と。
当然、「聞く」よりも「聴く」の方が、
難しいと一般的には思われています。
でも、ただ「聞く」のほうが難しいのだと
心理士であり、心理学者の東畑開人さんは著書
「聞く技術、聞いてもらう技術」の中で、
言っています。
東畑さんによると、
「心理士としての僕なりに定義するならば、
「聞く」は語られていることを
言葉通りに受け止めること、
「聴く」は語られていることの
裏にある気持ちに触れること。」
だそうで、
この、「言葉通りに受け止める」
ということがきちんとされないと、
対話が成り立たない。
たとえば、何かに対して
「それは嫌だ」という声があがった時に、
背景にある問題にいきなりフォーカスが移ると、
「嫌だ」は聞かれなくなってしまう。
そういうことが
社会でたくさん起きているのではないか、と
東畑さんは言っています。
これ、読んだ時も納得したんですが、
次男大説教事件(?)の後、
ものすごく腹落ちしました。
確かにそうです。反省です。
「聞く」ことを、まずしっかりしないと、
根本の問題が解決されたとしても、
相手は「聞いてもらえなかった」
という感想になります。
不安、不満は消えない。
それは本当の解決ではないということですね。
思い起こすと、あちゃーと思うこともたくさん。
気をつけなくちゃいけないと思いました。
さて、GWも終わり、あっという間に5月も中旬。
気温が安定しませんが、
皆さん、体調に気をつけてお過ごしください!