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おススメをおしえて!

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少し前、都内の大手スーパーが新業態として
青果店をオープンしたというニュースに
目が留まりました。

青果店? 咄嗟に頭の中で想像したのは、
リッチなフルーツパーラー的なお店。
旬の果物を贅沢に使ったパフェが
3千円近くするような店です。

どれどれ、と、詳細ページにアクセスしたところ、
そこに掲載されていた写真は、いわゆる八百屋さん。
サザエさんに出てきそうな、
昭和テイストの小さな店でした。
なぜ、今?

記事を読んでみると、そのスーパー、
もとは青果店だったそうです。
規模が大きくなり、スーパーという業態になっても、
「野菜と果物なら私たちにお任せください」
という思いは変わらず、
「原点に戻って、一人ひとりのお客様の顔を見て、
商品の良さを伝えたい」
という思いから、新業態の出店を決めたと
書かれていました。

お客様から意見をすぐに聞けるというのが
小さな店のメリットだと、
記事中でプロジェクトのオーナーは語ります。

「昨日の◯○、少しかたかったわよ」
などの声をすぐに吸い上げられ、
売り場ですぐにフォローできる。
仕入れ情報はもちろん、
料理の仕方のアドバイスもできる。
そうしたやりとりを通して、
顧客との信頼関係を築くとのこと。

確かに、この店は店員がとても詳しい、
丁寧に説明してくれる、しかもおいしい、
となればファンになりますよね。
八百屋業態のほうのファンが増えれば、
スーパーのほうも好感度が上がる。
なるほど、原点に帰った
ブランディングなのだなと思いました。

ここで思い出したのが、
以前どこかで目にした、
青森の「ポップごと売っている本屋さん」のこと。
青森県八戸市にある小さな書店なのですが、
ここでは数年前から、
店を訪れた人に本の内容、
魅力をわかりやすく伝えられるよう、
手描きポップを制作。
ある時、「おすすめを教えてください」と
お客さんに聞かれた店員さんが、
おすすめポイントをあらかじめ書こう!
と思ったのがきっかけだったそうです。

ポップは徐々に評判になり、
Twitterで噂が広がって、
やがて「ポップごと売ってほしい」
という声が相次ぐように。
今では普段あまり出ないような本も、
ポップをつけると売れていくそうです。

ポップを担当している店員さんが、
きちんと本の内容を読み込み、
「こういう人に読んでもらいたい」
というところまで考えて、その魅力を
的確にポップで表現できているからこその
現象ですよね。

昔ながらの手法なのかもしれませんが、
考えてみると、とても高度な宣伝方法。
だれにでもできることじゃないなあ。

そういえば、
今のような音楽配信サービスがなかった頃、
タワーレコードなどの
CDショップで買物をするとき、
かなりあてにしていたのが
店員さんが書く手書きポップ。
ポップを読んで、フムフム言いながら
CDを手にとっていたのでした。

人気CDの視聴コーナーは
いくつかあったものの、
すぐに聴けない時代だったし、
ネットがない時代だったので
ポップの情報が頼り。
(ものすごく大昔に感じますけど、
そんなに前でもないんですよねえ)

すごく音楽に詳しいスタッフさんが
ジャンルごとにいて、
しっかり刺さるコメントを工夫して
書いているんだろうなあと思っていました。
久しくショップに足を運んでいませんが、
今でもあるのでしょうか。
今思うと、あのポップ、
店のファン作りの柱でもあったのでしょうね。

さて、こうして書いてきて感じたことは2つ。

1つ目は、当たり前ですが、やはり、
自分たちが扱っている商品のことは
知らなくちゃいけないな、ということ。

ネットで購入者自身が調べるのが
前提のような世の中ですが、
商品にしろ、サービスにしろ、
それを扱っている側が顧客よりも知らない、
ということはよろしくないなと思いました。
知らないと責任を持っておすすめできない
→あまり売る気にならない、
ということにもなりますよね。
逆に、扱う人たちがもっと興味や関心を持てば、
それだけ意見交換が活発になり、
質の向上につながるのではと思ったりもします。

2つ目は、ブランディングって、
やはり顧客視点に立たなければ
成り立たないなあということです。
自分たちの商品がこんなにいいです!
ということをかっこよく伝えても、
刺さらなくては意味がない。

冒頭であげた八百屋さんであれば、
目の前のお客さんを見て、
例えば高齢の方には柔らかくて
調理しやすいものをすすめたり、
忙しい人には日持ちするものを
すすめたりできる。
そのくらいの気持ちで、
そのくらいの解像度で、
私たちも商品やサービスを使う人のことを
想像することが大事なんだろうなと感じます。
ネットでググることが当たり前の社会で
暮らしているからこそ、
人の温度を感じられるコミュニケーションが
注目されるのだと思いました。

さーて、W杯も終わり、
アルゼンチンも優勝し、
寝不足がやっと解消されてきたと思ったら、もう年末・・・。
今年もあっという間に終わっていきます。
ひいい~。

今年もメルマガをお読みいただき、ありがとうございました。
後半、配信が滞りがちになり大変失礼しました。
来年はがんばります!

皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。

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