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すべてはひとつの人生から

小さな小屋が建つ、小さな島の周りで
花冠を頭に乗せて楽しそうに泳ぐ老女の写真を見た時、
とても幸せな気持ちになりました。


今年、生誕100周年を迎えるトーベ・ヤンソン。
ムーミンの生みの親です。


私は、小学校低学年の頃、ムーミン谷シリーズの本が大好きでした。
ムーミンがかわいいから、という理由からではありません。
ムーミン谷に住む不思議な登場人物たちが巻き起こす不思議な出来事。
作者による挿絵も時におどろおどろしく、
その摩訶不思議な世界にどっぶりとはまってしまったのです。


ムーミン公式サイトによると、
トーベ・ヤンソンがムーミンを描き始めたのは、戦時中だったようです。
すでにイラストレーター、画家としての地位を築いていた彼女にとって、
楽しく作品づくりに没頭できない日々は苦痛だったようで、
ムーミンの物語は、暗い現実からの逃避だったと言われています。


トーベ・ヤンソンは86歳で亡くなるまで、
実に多くの顔を持ち、並外れた量の仕事をこなしたと言われています。
油彩画家、フレスコ画家、イラストレーター、風刺画家、児童作家、
漫画家、絵本作家、作詞家、舞台美術家、商業デザイナー、そして小説家。
とても一人の人間がこなせる仕事量じゃないように思えますが、
公式サイトにも、どんな時もまず仕事ありきだった、という記載があり、
そうじゃなきゃ無理だよなあと思いました。


どんな時も仕事優先、と聞くと、
浮かんでくる人物像は、いつも張りつめた空気をまとった笑顔のない人。
でも、前述した写真にうつっているトーベ・ヤンソンは、
そんなイメージとは正反対の、とても幸せな女性。
彼女が70代後半の頃の写真のようですが、
あまりに楽しそうに泳ぐ姿を見て、
歳をとるっていいものだなと思ってしまいました。
とんでもない量の仕事をこなしながら、彼女が楽しそうにしている理由が、
公式ページにありました。


「彼女の仕事は日々の生活の中から生まれました。
家族、友達、仕事仲間、愛した人々、彼女が経験した出来事が、
時には明示的に時には 暗示的に、あらゆる作品に現れています。
彼女にとって、グラフィックアートと文学、芸術と人生、
仕事と愛の間に境界線はなく、すべてはひとつだったのです」


仕事はつらいもの、苦しいもの。仕事なんだから我慢してやる。
仕事で我慢している分、プライベートは楽しむ。
そんなふうに、仕事とプライベートを分けて考えすぎているところ、ないでしょうか。
トーベ・ヤンソンの人生を知り、
仕事もプライベートも同じ人生、
いつだって楽しまなくちゃいけないな、と改めて思いました。

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