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塀のペンキ塗りはつまらない?

マーク・トウェインの『トム・ソーヤーの冒険』にこんな場面があります。


塀のペンキ塗りを言いつけられたトムは、
何とかして友達にこの仕事をやらせることはできないかと考えます。
まもなく、彼はいかにも楽しそうな様子でペンキ塗りを始め、
それを見ていた友達にペンキ塗りが雑用なんかではないこと、
子どもにとっては滅多にさせてもらえない楽しい仕事だということを話します。
これを聞いた友達は、なんておもしろそうなんだ、
是非やらせてもらいたい、と思い始め、
楽しいペンキ塗りに参加させてもらうのです。


先日、読んだ『予想どおりに不合理』(ダン・アリエリー)という本には、
こんな実験のことが書いてありました。


本の筆者である行動経済学者のアリエリー氏は、
当時勤めていたMIT周辺のパブで、学生相手に2種類のビールの試飲を
お願いしました。 一つは普通のビール。
もう一つはビールにバルサミコ酢を数滴加えたものでした。
実験は、試飲前にビールのことについて何も知らせない方法と、
試飲前に、一方にはバルサミコ酢が数滴入っていることを知らせる方法の
2通りで行われました。
結果は、事前にビールのことについて知らされない場合、
ほとんどの学生がバルサミコ酢入りビールを選び、
バルサミコ入りが事前にわかっている場合は、
ほとんどの学生が普通のビールを選びました。


アリエリー氏はほかに、コーヒーでの実験も行っています。
コーヒーの試飲の際、
同じテーブルに置かれたミルクや砂糖などの容器の種類を変えると、
コーヒーの価値に影響を及ぼすかどうかを調べたものです。
実験では、容器を紙コップにしたり、銀食器にしたりしているのですが、
容器が高級な場合は、おいしい、このコーヒーにかなりの値段を払ってもいい、
という意見が多くなるという結果でした。


うーん、私たちの行動は、見たもの、聞いたことなど、周囲からの影響によって、
こんなにも変わるものなのですね。
毎回、自分で決断しているつもりでも、そこには何かが必ず影響しているのです。
自分が日々何によって動かされているか、改めて考えてしまいますよね。


と、ここまできて、あることに気づきました。
それは、チームワークで何かに取り組む時は、やはり、その場の雰囲気作りや
モチベーション作りがかなり重要になるなあ、ということです。
先にご紹介したトム・ソーヤーのエピソード。
もし、トムが、つまらない様子でいやいやペンキ塗りをしていたら、
周りの友達は誰もペンキ塗りをしたいなんて思わないでしょう。
それが、楽しそうにするだけで、みんなが喜んで参加するのです。
えー、そんなのズルだ、騙しだ、とちょっと思いますよね。私も思います。
でも、何人もの人が一つのことをやり遂げるには、
いい「影響」(いい騙し?)作りが必要なのだと思います。


そんなわけで、早速、子どもたちがイキイキとお風呂掃除に参加できるよう、
影響作りをしてみたいと思います。

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