ブランディング、コミュニケーション、チームワーク…。週1回の社長ブログです

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『ダイバーシティ』カテゴリの記事

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 こんにちは。土曜日の皆既月食は見事でしたね。ワタシは、月を見上げていたためか、今も少し首が痛いです。
 日曜日の昨日は、当社の元ディレクターとランチを共にし、なんだかんだ一日おしゃべりしてしまいました。彼女は現在、子育てまっただ中。二児の母親です。今日は、そんな茶飲み話を糸口にこれからの日本について思ったことを書きます。

 子どもを育てていると、地域でいろいろな活動があることは想像に難くありません。彼女も現在、地域活動で役員を引き受けているそうです。役員仲間は当然、皆、子どもたちのお母さんたち。年齢的にいえば三十代後半です。聞くところによれば、このメンバーが相当に優秀な方たちだそうで、いろいろなアイデアを次から次へと出すだけでなく、物事をテキパキ決めていくのだそうです。ワタシがその能力を買っている彼女が「優秀な人たち」と呼ぶのですから、相当に優秀なのに違いありません。その方たちが、子育てを終えて、再就職をしようとした時期は実は企業にとっては狙い目で、人材の宝庫になっているのかもしれない…とそんな話になりました。

 地域活動やボランティア活動では、女性文化と男性文化の違いが現れるという話も以前聞いたことがあります。こちらも別の元ディレクター(これまた女性)に聞いた話。彼女の参加しているボランティア活動には定年後の男性たちも参加しているそうなのですが、ミーティングでの男性の発言が、女性たちの「柔らかさ」と全然噛み合ないと聞きました。「柔らかさ」というのが何なのか、敢えてワタシなりに意訳してしまうと、それはおそらく「臨機応変さ」や「機転」、あるいは「フラットな会話」やそこから生まれる「創造力/想像力」ということだと解釈しています。

 27年間会社を経営していて感じるのは、個人差は別として、総じて言えば、男性の得意なことは女性は苦手であり、女性が得意なことは男性は苦手。一般的に、性差を持ち出すと怒られますが、実際に性差はあると思います。もちろん、どちらがより優れているということではありません。

 さて、少子高齢化と人口の減少に直面している日本にとって、労働力をどう確保するかは緊急課題のはずですが、残念ながら日本の現状は?といえば…。
 スイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」が発表した2011年版「男女格差報告」によれば、日本は135カ国中98位。前年より4位順位を落とす始末です。単純に言って、グローバル化が進む中で、こんなことで勝てるとは到底思えません。

 女性の登用という切り口で、別の指摘もあります。
 それは「女性が活躍しない国は、財政赤字が拡大する」というもので、中央大学文学部/山田昌弘教授が「週刊東洋経済」(2011年10月8日号)に書かれたようです(概要はこちら)。(ワタシ自身は現物を読んでいません)。ギリシャを初め財政危機に陥っている各国の女性の労働力率が低いのに対して、女性労働力率が高い国(北欧/ドイツ/オランダ/フランス等)は国家財政が比較的健全であり、少子化も食い止められているという共通点があるのだそうです。

 女性の労働力率が高まれば、財政が健全化されるのかどうかはわかりませんが、上場企業における女性の役員比率がわずかに「1.23%」(東洋経済調べ)であるように、日本がダイバーシティ後進国であることは間違いありません。

 ここで書きたいことは、女性の権利の問題でもなければ、女性の方が優れているということでもありません。経済活性化という視点から考えると、女性を積極的に登用することは不可欠ということです。何しろ労働人口が減りますし、マーケット人口の半分は女性だから、です。

 日本は今、社会の大転換機にあるのですから、経営の発想も大転換しなければなりません。小学校のときに学級委員を男女一人づつ選んだように、「当たり前のこと」として企業が女性の活力をいかすべきときではないかと思います。女性の活用が進んでいるかどうかは、経営者のアタマの固さ/柔らかさを示している、そのぐらいに受け止めてもいい時代なのではないでしょうか。

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20111107-LivingTogether_2011.jpg

 昨日の晩、新宿で開催された「Living Together」というイベントに行ってきました。このイベントは、「HIVを持っている人も、そうじゃない人も、ぼくらはもう一緒に生きている」という視点で、HIV陽性者やその周りの人によって書かれた手記を様々なゲストが朗読するというイベント。今回ですでに第83回と継続して開催されており、毎回、音楽のライブも行われているようです。

グラスルーツの卒業生、ヤマガミくんの活動

 実はこのイベントのゲストにグラスルーツの元スタッフであるヤマガミくんが招かれ、リーディング(朗読)のパフォーマンスを行うというので、ちょっとした母心で覗いてきた次第です。母心といえば聞こえはいいですが、照れくさがる彼から「来なくていいですよ」と言われれば、よけい嫌がらせ?で覗きたくなるではないですか(笑)
 イベントには当社のディレクターのNさんや元ディレクターのYさんも来ていて、二人ともワタシと同様、弟分のヤマガミ君を冷やかしつつ心の中に横断幕を持って来ていたのだと思います。三人して「こりゃ、授業参観の親の心境だね」と言って笑い合いながら、彼の出番を待っていました。

 イベントでは単なる手記の朗読だけではなく、HIVについてリアリティを持って受け止めるという趣旨からか、朗読の前後にそれぞれの朗読者が自分の考えや体験を語るという構成になっていて、ヤマガミくんが何を語るのか、どう語るのか、身内的な心境ではらはらドキドキしたのであります。

 話は少し飛びますが…。このブログでも以前紹介しましたが、ヤマガミくんは現在、表参道にある「gossip」というゲイフレンドリーなカフェの店長をしていて、様々なアートイベントを手がけています。彼自身は素敵な彼女がいるストレートです。「gossip」自体もゲイの人専門のお店というわけではないのですが、お店のお客様から「ヤマガミさんはゲイなのですか?」と聞かれることも少なくないそうです。先月行われた「gossip」の1周年パーティのスピーチで、彼は「自分はゲイではないけれど、ゲイかどうかなんて、どうでもいい小さなことだと思う」ということを語っていたのが印象的でした。

 そんなヤマガミくんが語ったのは、彼のお兄さんのことでした。自分が今の店で店長を引き受けているのはなぜなのかを考えてみたときに、無関係ではないと思ったようです。子どもの頃からダウン症の兄が身近にいるという体験と絡めて、周囲の偏見と自分の心の中にあったある種の葛藤や逃避について、等身大で語ってくれたのですが、「素」で語った姿にちょっと感動しました。少しだけウルっときました。
 HIVにしても、ダウン症にしても、ゲイではないのにゲイフレンドリーな店の店長をしていることにしても、「あたたかなイイ話」のようにま〜るくまとめようとすることには違和感があるし、こんなに大変なんだぜ的な捉え方にも違和感があるので、お兄さんの話をここですることには躊躇があったと彼は言いました。また、自分にはゲイの友達がいる、自分の兄はダウン症であるという話をしたときに、多くの人はイメージが画一的になっているので、それぞれに実像は異なるのだと伝わるように会話したい、とも。その場の話の内容を書いても切りがないですね。このくらいにしておきます。

経営者としてぶつかった「問い」

 さて、このイベントを通じて、経営者としてちょっと考えさせられたことがありました。ヤマガミくんが読んだ手記はユウジさんという方が書いたものでした。採用面接で言おうか言うまいか迷いながらも「HIV陽性」であると語ったところ、面接官であった女性が引いていった様子とそのときのユウジさんの心模様が綴られていました。

 皆さんもご存知かもしれませんが、HIVの陽性だからといって、空気感染するわけでもなければ、キスして簡単に感染するわけでもありません。HIVとエイズもまた別物です。そう理解しているワタシも、もし採用面接で「HIV陽性」と言われてノープロブレムと思えるかと自問したときに、ワタシ自身、簡単に答えが出ませんでした。実は、今も答えは出ていません。

 ここから先は誤解を恐れずに書きますね。
 HIVとインフルエンザを同等に扱うのはどうかとは思いますが、こういった感染性のある病について、ワタシなら経営的には2つのことを考えます。敢えて身近なインフルエンザを例に書きます。
 第一に、リスク管理的な視点。社員がインフルエンザにかかったら、出社させずに待機させ、感染を防がなくてはならないという視点です。しかし、HIVの場合、インフルエンザよりも感染のリスクは相当に低いので、論理的にいえば、これはほぼクリアされます。が、元来、感染性のものであることには変わりないので、リスク管理の視点は意識せざるをえません。
 第二は、風評的な視点。インフルエンザにかかった社員が出た場合のその企業の対応の善し悪しによる、信頼性への影響という視点です。コントロールしようとしなかった企業への信頼は失墜します。情報の開示と信頼関係というテーマで問題をとらえる必要があるとワタシは思っています。

 ところが、問題はHIVの場合、感染という意味でのリスクは実は低いにもかかわらず、高いと思っている人が多いために、風評的インパクトが大きいという点です。ヤマガミくんが読んだユウジさんの手記では、採用面接時に「HIV陽性」と伝えるべきかどうかという逡巡が語られていましたが、BtoBのサービスを提供している当社の場合、仮に担当者がHIVであったなら、クライアントに対してそれを告げるべきかどうかという判断に迫られます。いや、それよりも前に、クライアント担当者にするべきか、バックオフィス的な担当者にするべきかの判断をしなければなりません。何を基準に、どう判断したらいいのか、率直に言って判断できる自信がありません。もっといえば、面接に来たある人がたまたまHIV陽性の人だったときに、本当はHIV陽性でなかったとして適任者ではない場合、普通の判断としてNGはNGのはずなのですが、もしHIV陽性者であると聞いていたら、なんとなく言い訳したい心境になるような気もします。実は、以前、当社の求人に障害者の方(車いすの方)が応募してくださいました。そのとき、当社の求めるスキルや人材像とその方のそれがマッチしていなくて、採用できないことがありました。そのとき、「あなたを採用しなかったのは、車いすのせいではない」と言いたいような、なんともいえないエクスキューズの心境に陥りました。また、「適任者でない」という判断をするにしても、HIV陽性者であることが本当に影響しなかったか、自信を持って答えられるかどうかに自信がありません。
 ですから、敢えてインフルエンザになぞらえて書いたものの、HIVとインフルエンザとではやっぱり状況は決定的に異なっており、手本にするサンプルがないのが現実なのです。

 こういった自問に対して、答えは今は見つかりません。でも、こうした問題があることを直視しようと思ったこと、現実のこととして考えようと思ったこと。突きつけられた感じではありますが、それがイベントに参加して得られた収穫でした。母心で参加したつもりのイベントでしたが、HIVについて考える良い機会をいただきました。そして、ヤマガミくんのパフォーマンスを見て、とても誇らしかったです。ありがとうございました。

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 こんにちは。オノです。

 平日はあまりテレビを見る時間がないのですが、毎週日曜日の晩はNHK大河ドラマ「龍馬伝」と、海外ドラマの「グリー」「ゴースト」を楽しみに観ています。中でも「龍馬伝」はグローバル化が進む今の時代と重なるので、そんな視点からも興味深いです。グローバル化といえば、最近、楽天やファーストリテイリングが2012年中に社内の公用語を英語にする発表しましたね。今日は、グローバル化について、最近感じることなどを書きたいと思います。
Yahho!ニュース「楽天 英語を12年中に社内公用語化」
毎日jp「ユニクロ:新世界戦略 英語公用化…12年3月から」

 楽天が英語を公用語にしたことについては、ツイッターなどでもいくつかの感想を目にしました。ネガティブな意見としては「英語を話せる人=グローバルな人というような文脈で英語を公用語にすることには違和感を感じる」など。反対に肯定的な意見では、「英語をしゃべれるようになりたいと思っている人は多いし、会社から要求された方が真剣に取り組めるから良い」という声も聞きました。

 2社に限らず、今、日本の大手企業の多くはグローバルという方向へと向かっています。国際的なコミュニケーション力が必要になれば、英語が重要なのは当然ですが、社員の人たちの間で英語力というイメージが先行してしまい、自分の仕事と自社のグローバル化がどうつながるのか、そのイメージが持てていないケースもあるようです。

 グローバル化が進めば、「英語力」もさることながら「異質性・多様性に対してオープンである」「他人の目を気にせずに意見を述べる」といったことが仕事の上で重要になっていくと思いますが、往々にして日本では他人の顔色で自分のスタンスを決めるという行動パターンが珍しくありません。

 今回の楽天やファーストリテイリングの報道では、もう少しこれからの時代に必要な人材像について伝えてくれればよかったのですが、報道内容はいずれも「公用語」に焦点が当たっていたようです。(発表内容がどうだったのかはわかりません)

 最近、米国ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の講義「正義(Justice)」が話題になったり、国際教養大学に企業が注目しているなどの動きから、今後「グローバルとは?」「地球人とは?」といったことが深く意識されていくのかもしれません。サンデル教授のあの議論についていけるチカラ。あれこそがグローバルな人材に必要なチカラだろうな、と思って見入ってしまいました。

 ワタシが20代の後半から30代のはじめに掛けてクライアントであった方から、かれこれ20年ぶりにお電話をいただき、昨日、再会しました。当時、外資系化粧品会社のエイボン・プロダクツは当社のクライアントのひとつで、私たちグラスルーツは、コーポレートコミュニケーションの一環であった「エイボン女性文化センター」の仕事(エイボン女性年度賞、エイボン・グループサポート、エイボン・タウンコンサートなど)をお手伝いさせていただいたのです。その方は女性なのですが、その後、退職され、現在はナチュラリープラスという企業の広報に携われていました。

 その方にお世話になった1990年前後の時代は、男女雇用機会均等法が施行された1985年からまだ数年。なつかしや、「キャリアウーマン」等という言葉が絶頂期だった時代です。因みに、映画「ワーキング・ガール」が公開されたのは、1988年です。

 うちの会社のスタッフも含めて、今の20代30代の人たちからは想像もできないと思いますが、女性がまっとうに活躍できるようになってから、まだそれほど長い時間は経っていないのです。

 当時は、現在言われるようなIT系ベンチャーはありません。女性が比較的男女格差なく働けたのは、少し極端に言うと、極一部の企業を除いて、マスコミ(特に雑誌)と外資系企業とPR会社ぐらいだと、当時のワタシは思っていました。ワタシは、PR会社の出身なので、PR会社を見る目についていえば、ややバイアスがかかっていたと思いますが。(たまたまワタシが独立前に所属していた会社が、男女格差がない会社だったのか、PR業界全体がそうだったのか、正直よくわかりません)。でも、全体としていえば、まだまだ格差のある時代だったことはまちがいありません。

 そんな時代に外資系クライアントの文化に触れ、女性が活躍しているのを見ると、当然、「すごいな」「日本の伝統的企業とは違うな」という感覚を抱きます。そしてまた、「これが当たり前でない日本は変だよなー」とも思ったりしました。

 でも、日本の企業、外資系企業という差もさることながら、女性世代間の違いというのもあります。ワタシの世代は狭間にあり、頑張って生きるのと、自然体で生きるのとの間の世代。肩パットが入った80年代ファッションは、「頑張って生きる時代」の象徴のようなものですね。自然体で仕事ができるようになってこそ、男女格差は真になくなったと言えると思うのですが、果たして今はどうなのでしょう?

 現在、「ダイバーシティ」という切り口で、再び格差のない社会が標榜されていますが、まだまだ伝統的日本企業は男性中心社会であるのかもしれません。でも、間違いなく進歩はしていますよね。30代の男女間の意識は驚くほど変わっていますもの。とてもニュートラルな関係になっていて、いいことだと思います。

 ここから10年の間に、今の30代が社会の中で発言力を高めていくはずです。そこから先どうなるか、それを見るのは楽しみです。
 一方で、ワタシが社員に望むのは、自分の会社を社会の常識だと思うな、ということ。自分たちの目盛りが中心なのではなく、クライアントの文化や歴史にリスペクトを払い、それを踏まえて仕事をしよう、ということ。自分軸と世の中軸の両方を持って仕事をしてもらいたいと思います。
 さて、今の30代が社会の中で発言力を高めていく頃、ワタシは、日本茶をすすりながら、新聞を読んで、後世の成り行きを見守っているのでしょうね。長生きできるように養生して、見届けたいと思います。
 

 昨日、書きませんでしたが、今週の日曜日から月火と休暇をもらって、蓼科に行ってきました。ワタシの父は男ばかり、父も含めて4人兄弟です。その兄弟会のような催しが年1回あって、母と共に行ってきました。
 4人兄弟の一番下の弟、ワタシから見ると叔父は、ワタシが尊敬する経営者の一人。ある企業でサラリーマン社長をしています。

 この叔父がおもしろいのは、ギラギラとした野心的なキャラクターではないという点です。かといって、それはおとなしいという意味とも違い、これはおかしいと思えば、上司だろうが誰であろうが言っていくような性格です。そんな人物を社長に登用するのですから、その会社の懐が深いのかもしれません。

 そんな叔父が話してくれたことで、経営者のはしくれのワタシが「なるほど」と頷いた話が2つありました。

 1つは、「何よりも社員の声を聞くことに重きを置いている」と語っていた点。片や何千人、片やわずか7名の会社ですが、ワタシもそれは大切にしているので、ヒエラルキーがまったく違うとはいえ、その姿勢には共感しました。ある意味、「聞く耳遺伝」のようなものがあるのかしら?とも思ったぐらいです。

 もう1つは、ダイバーシティ(多様性)について。2年ほど前に着任した自社の女性の管理職の数の少なさに疑問を感じていて、改革をしている、という発言。
 ダイバーシティへのアプローチは企業によって多少異なります。少子化(人口減少)への対応策としてとらえる企業もあれば、CSR的な視点の方が上にある企業もあるようです。
 でも、叔父が言ったのは、もう少しワタシの感覚に近いというか、女性的というか…。ただ単純に、世の中、男女半々なのに、企業だけが男性中心の役員構成、管理職構成であるのは不自然だし、どうなんだ?と思う、と。
 ワタシは、ダイバーシティの推進は、戦略であるよりも、生理的感覚で行われてこそ成功するのではないかと思っているので、叔父の意見には100%賛成しました。

 叔父が大学生で、ワタシが小学生だった頃は、同じ家で暮らしていました。当時も、親とはひと味違う存在として、子どもなりにいろいろなことを教えてもらった記憶がありますが、今は今で、勝手にいろいろ勉強させてもらっている感じです。
 身内のことなのであまりストレートに賞賛するのもどうかと思いますが、叔父はワタシにとって、ベンチマーク的な存在。経営者としての叔父の「柔軟性」と「客観性」、そして「バランス感覚」に、ワタシは敬意を抱いています。
 願わくば、ワタシも、そのDNAの一部を共有していたいものですし、仮にDNAがないとしても、それらはトライ&エラーで身につけたいと思います。

 がんばろっと。

 エコカーの実験を国土交通省が行ったというニュースをテレビで観ました。エコカーは、従来の自動車に比べて、音がしないので、視覚障害や聴覚障害の方たちにとって、恐怖になっていることから、実際、どのくらい知覚しにくいのかを調べたり、どうすればより良いエコカーになるのかの検討材料を出すために実験は行われたようです。

 「騒音公害」という言葉があるように、エコカーが騒音を出さないことは、大多数の人たちにとっては良いことであるはずですが、それをもって少数の人たちの気持ちを無視して良いということにはなりません。ましてや、これからは高齢社会です。ワタシの父もそうですが、大分耳が遠くなってきました。恐らくエコカーではないクルマが後ろから近づいてきても、気がつかないのでは?と心配しています。
 ですから、少数派が安心して暮らせること(何らかの音を発するクルマにすること)を満たした上で、多数派にとっても騒音と感じない心地よい音をクルマに搭載してほしいと思います。信号機に使われている「カッコー」や「ピヨ」や「通りゃんせ」である必要はないはずです。
 そうしたことに上手に配慮した上で、多くの人が納得できる(あるいは、反発を感じない)社会になるといいですね。

 今日、うちのスタッフとの雑談の中で、ダイバーシティ(多様性)が話題に上りました。クライアントの社内的動きでもあったからです。ダイバーシティというと広過ぎますが、今日話したのは、特に企業における女性登用の取り組みにについてでした。
 チカラのある女性の活用に関しても、エコカーと同じようなアプローチが必要だと感じます。企業サイドにおける80年代的な企業イメージ向上目的(単なるカッコつけ)のための女性の登用であったり、女性サイドにおける60年代的フェミニズムを叫ぶのではないやり方、すなわち多くの人がフェアと感じるやり方で、企業のダイバーシティが進むことを望みます。

 キーワードは「フェアであること」。これは、これからの社会、これからの企業のあり方を考える上で、とても大切なキーなのではないでしょうか。

 こんにちは。先日、クライアントからの電話を偶然ワタシが受け、そうしたら「ブログ読んでますよ。(ブログ100選)投票してますから、がんばってください」と言われ、気恥ずかしくも、妙にモチベーションが上がったオノです。みなさんのおかげで、「ビジネスブログ100選」の社長カテゴリーで登録時点より大きくランクアップし、ますますやる気が出ています。一喜一憂せずに、気長にやります。
 さて、今日は、「ゲイ」ネタです。まじめに。。

20090711-h_milk.jpg 先週末、DVDで「ハーヴェイ・ミルク(The Times of Harvey Milk)」を観ました。少し補足しますと、ショーン・ペン主演、ガス・ヴァン・サント監督の「ミルク(MILK)」ではなく、1984年に制作されたドキュメンタリー映画「ハーヴェイ・ミルク」の方です。ハーヴェイ・ミルクとは人の名前で、彼はアメリカで初めてゲイであることを公言しつつも公職(サンフランシスコ市制執行委員)に当選した人物です。しかし、結局は同じ立場にあったダン・ホワイトという人物にジョージ・マスコーニ市長と共に射殺され、生涯を閉じます。彼の功績は、ゲイのみならず、マイノリティ全般の人々の気持ちを吸い上げ、政治に反映させるために闘ったこと。そして、多くの人の信頼を獲得し、歴史を進めたことです。しかも70年代に! 彼の死の直後、ロウソクを灯して集まった群衆の様子がとても印象的でした。

 このDVDは、アップリンクで公開されていた映画を観た一人の社員が「こりゃ、感動もの!」と思って購入したもの。ワタシにそのDVDを貸してくれたその人は、別にゲイではありませんが、何かを固定観念で決めつけたり、フェアでないことが嫌いな人。ワタシ自身もそうなので、彼女がこの映画に感動したのには納得します。そして、ハーヴェイ・ミルクという人物に今また脚光が集まっていること自体に、ある種のムーブメントの始まりを感じます。オバマ政権が誕生した時期と重なっていることとも無関係ではないような気がするのです。

20090711-AXEL_HOTEL_BUENOS_AIRES.jpgDVDを観たのが先週末。その後、今度は別の社員から別の情報をもらいました。今、書店で売れている「小さな会社のブランド戦略」を出したスターブランド社の会報誌の話題です。ゲイフレンドリーホテル<a href="http://www.axelhotels.com/index.php?lang=en" target=_blank">「アクセルホテル」</a>が紹介されていて、そのホテルのコンセプトに関する話題でした。わかりやすくするために、ワタシはここで「ゲイフレンドリーホテル」と書いてしまいましたが、「アクセルホテル」のスタッフは逆に「ヘテロフレンドリー」と書かれたTシャツを着ているそうです。そこには、「ゲイフレンドリー」でありながらも「ゲイのための閉鎖的なホテルではありません」というメッセージを感じます。

 さて。。。
 ワタシは政治的な視点でゲイの権利について書きたいわけではありません。ここで書きたいのは、ワタシたちの中にある固定観念や社会通念についてです。社会通念は大人なら知っておくべきことだと思いますが、縛られすぎると幸せな社会は築けません。固定観念から解放されるためには、「自分なり」の尺度を持ったり、価値観や信念、疑問を持つことが不可欠だと思います。

 ここで紹介した2つの事例から、幸い今、世の中は「開く」方向へ動き出しているような気がします。人種や宗教なども含めて(もちろん性別も!)、世界全体でダイバーシティが許容されるまでには、まだまだ時間がかかると思いますが、個人個人の意識が集まって社会が成り立っているのですから、自分の意識を開くために一人ひとりができることから変えていくことが大切ではないでしょうか。
 みなさんは、どう思われますか?

 MarkeZine発5/21付け記事に「Dellの女性向けサイトが炎上、ジェンダーマーケティングの難しさ」と題するものがありました。他のサイトにも記事提供されているようでしたので、ご覧になった方もあるかもしれません。
 要約すると、Dellは女性向けノートパソコンの情報サイト「Della」を5月にオープンしたのですが、パソコンの活用法を紹介する「tech tips」の内容が、あまりにステレオタイプ的なものであったために、女性から(一部の記事によれば、男性からも)反感を買った、ということのようです。料理のレシピ、カロリー計算などのコンテンツが、それです。確かに、ベタな女性的コンテンツです。

 この記事がことさらワタシの印象に残ったのには、ワケがあります。ちょうどその頃、なぜ家庭用の洗剤や石けん、ティッュペーパーなど、スーパーで買うような諸々の商品に気に入ったデザインのものが少ないかと考えていたからです。そうこう考えるうちに、家電や女性向けサイトのデザインまでもが気になってきました。すべてがそうだとは言いませんが、なぜか女性マーケットを意識したものは、わかりやすく例えるとピンクが多い。ピンクでなくても、パステル系の色彩であったり、花柄であったりすることが多いような気がします。あるいは可愛いイラストやアイコンが描かれてあったり…。ベビー用品のメーカーサイトは、その典型です。

 ピンクやパステルトーンが好きな女性が多いのは確かだと思います。感覚値で言えば、7割前後の女性は好きかもしれません(類は友を呼ぶのか、ワタシの周りでは極めて少ないですが)。
けれども、100%ではない。少なく見積もって1割、多めに見積もっても3人に1人は、むしろピンクは嫌いだと思います。ここに、メーカーはもっと注目すべきなのではないでしょうか。マーケットとしては女性ターゲットであっても、敢て女性っぽさ(って何なんですかね?)を取り除いた商品、いわば中性的な商品があったら、1割から3割のシェアを獲得できる可能性がある。

 Dellのサイト炎上にしろ、プロダクトデザインにしろ、こうしたことが起こるのは私たちの中にある固定観念のせいだと思います。「ターゲット=女性」と設定された時点で、「ターゲット=女性=ピンクorパステルor花柄」というような、ビジネスとしての図式が暗黙知としてイメージされているような気がします。これは、企業の意識の問題だけなのではなく、外部のプランナーやディレクター、デザイナーの意識の問題でもあります。「ほんと?」という自問が足りていない。それを押さえておけば「大半の人は受け入れるだろう」「(だから)クライアントも通すだろう」という潜在意識が、知らず知らずに多くのクリエイティブサイドにあるのではないでしょうか。

 5/17付け日経でも取り上げていたように、最近の企業の動きとして、「ダイバーシティ(多様性)」への活動が活発です。当社のクライアントでも、極最近ダイバーシティ・プロジェクトを社内的に立ち上げた企業があります。
 ダイバーシティの意味するところは「多様性」ですから、女性VS男性という発想はそぐわないですし、そもそもそれがどんな対立構造であれ、対立構造を生んでいる時点で「多様性を受け入れる」こととは相反するように思います。
 ですから、ワタシがここで書きたいことも、男性VS女性ではありません。
 ただ単に、1割から3割の女性がピンク(的なもの)がキライであるかもしれない事実は注目に値する、ということを書きたかったのです。なにしろ、それがシェアに直結しますから。

 固定観念は難儀です。とっぱらいたいものですね。固定観念には逆らって生きていきたいものだと、いつも思って暮らしているオノでした。

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ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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