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「わかる」の壁

私は、仕事柄か、人や自分の頭と心の動きに対し、いつも興味を持っています。
仕事柄と書いたのは、一つにはクライアントの組織に何かを伝える仕事、
もう一つは自社の社員に何かを伝える仕事、という2つの視点からです。
どちらも相手に「わかってもらう」ことが重要なので、
人の心理や認知、わかるということについて、好奇心を持って眺めてきました。


特に、社員に何かを伝えるケースでは、反応を見ながら、いろいろと考えます。
当社は小さな会社なので、私が直接スタッフに教える機会も少なくありません。
そして、その過程で、ただ教えるだけなら簡単ですが、
「わかってもらう」をゴールにすると、途端に難しくなります。
まだまだ自分の技量が乏しいなーと思います。


たとえば、先日社内で「プロット」の本質について、話をしました。
プロットというのは、原稿を書いたり、コンテンツを立案する時に考える、
いわば話の筋道であり、構成のことです。
あなたもパワポでプレゼン資料を作ることがあると思いますが、
何かを伝える姿勢として、いきなり作り出すのではなく、
構成を先にすることはとても重要です。
でも、、、意外と世の中ではないがしろにされているような気もします。


プロット、すなわち話の流れというのは、
そのコンテンツでどんなメッセージを伝えたいかによって変わります。
ですが、今度はメッセージとは何かというその本質がわかっていないと、
プロットもわからないし、上手く組み立てることができません。
プロットもメッセージも抽象概念なので、
だからこそ教えたり、理解するのは、簡単ではありません。
そういうことを社員に伝えようとするたびに、「わかる」とは何か、
どうすると「わかる」のか?を考えます。


話は飛ぶようですが、最近養老孟司さんが書いた「バカの壁」を読みました。
平成のベストセラーであり、ロングセラーでもありますが、
私はずっとこのタイトルにある「バカ」という言葉が嫌いで、
読まずにきました。
でも、先日、TUTAYAに行ったら、帯にあった文字、
「445万部突破! 120刷超 驚異のロングセラー」が目に飛び込んできて、
いったいなぜこんなに売れたのかを知りたくなって、今更ながらに読んだ次第です。


編集者が聞き書きしているためか、1冊の本としては散漫な印象で、
良質な読み物とは言い難いと感じましたが、
それでも、その中に人の「わかる」が方程式として表されていて興味深かったです。
「わかる」の方程式と書きましたが、それは私の意訳で、正確には、
脳が入力された情報をアウトプットするまでの間を表した方程式です。
その式は、こうです。


ーーーーー
y=ax
ーーーーー
「y」は出力。情報を得てからの脳の反応。
私はこれを「わかる」の到達レベルと捉えました。
「x」は入力。人が得た情報です。
「a」はその人にとって、その事柄の重みや関心度。
当然ですが、「y」は「x」と「a」の乗算ですから、
「a」がゼロだと、「y」もゼロになって、「わかる」に到達しません。


「a」は、その人の経験や知識、志向などによって個々に差があります。
つまり、教える人は、相手の「a」(経験、知識、志向)に添って教えること
が大切だということですね。
ま、当たり前といえば、当たり前ですが。。。。
それができれば、「わかる」に近づけるということです。
だから、教えたい相手が、今、何をどこまでどう理解していて、
そう理解しているベースには何があるのかを聞き出すことは、
わかるために結構重要だってことになりますよね。


また、この式を見ていると、こんなことも言えるのではないでしょうか。
どんな方法で「x」(インプット情報)を得るかによって、
「わかる」「わからない」が変わるということです。


「認知特性」とか「優位感覚」と言う言葉を聞いたことがありますか?
人は、物事を理解する際に、五感を使っています。
どの五感が強いのかは人それぞれで異なり、それに合った教え方をされると、
スッと入ってくるけれど、合わない教え方をされると、迷子になる、、、
そんなことが認知心理学では言われています。
たとえば、親切心で図解して説明したら、
相手は図が苦手だった...というようなことは避けたいですよね。


どんなタイプがあるのか、その分類は学説によって若干異なりますが、
3つから6つのタイプがあるとされています。本質は一緒です。
(「認知特性」「優位感覚」で検索すると、出てきます)


1つのわかりやすい分類例としては、、、、
視覚優位、言語優位、聴覚優位という大分類と、
さらにそれぞれを二分し、合計6分類にしているものです。
ニコこどもクリニック院長の本田真美医師はテストなども公開しているので、
自分の優位感覚を知りたければやってみるといいかもしれません。


さて、、、「わかる」は教える側以上に、教わる側の意識のありようも重要です。
「わかる」に早く到達する人は、どんなことをしているのでしょうか。
私が見る限り、最低3つの点で共通しています。


①自分がわかっているのかどうか、アンテナを立てて、自己チェックしている。
②わからないときは、何がわからないのか、問いを立てながら、思考を深めている。
③インプット内容やアウトプット内容(考えたこと)をまとめ的に整理している。
つまり、「わかりたい」という欲求が根底に強くあります。


反対に「わかる」に到達しにくい人の特徴は、
①わかろうとせず、覚えようとする。
②まずは処理が大切で、処理したら完了とする(わかろうとしない)。


実は、「わかる」と「覚える」は別のことなのに、
その違いはあまり理解されていないような気がします。
「わかる」の最大のメリットは、次に応用が利くようになることです。
簡単だとは思いませんが、教える人も教わる人も「わかる」を大切にして、
そのメリットを享受したいものですね〜
今週も素敵な1週間でありますように!

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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