ディレクション型とコラボレーション型の違いとは? ~協働を機能させるためのヒント
組織の中で協働しようとする時、 
特に難しいのはコンセプトメイキングなどの創造的なプロセスでの協働です。 
会議一つとってみても、どのようなミーティングだとうまく行き、 
どのようなミーティングだとうまく行かないのか。 
今日は、協働がなぜうまく行かないのかを考えながら、 
どうしたらうまく行くのかのヒントを探してみたいと思います。
創造的なプロセスへのアプローチには、大きく分けて2つの方法があります。 
1つは、ディレクション型、 
もう1つは、コラボレーション型です。
ディレクション型の方は、 
映画に例えるなら、監督とスタッフという関係です。 
大枠の方向性や肝になるアイデアを決めるのは監督です。 
スタッフはそれを理解し、根幹をブラさずにより良い形にする役割です。 
もちろん、アイデアを出すこと自体はスタッフが出してもいいのですが、 
みんなの総意で決めるわけではありません。 
こちらのタイプのミーティングは結論への合意形成が目的というよりも、 
・結論を生み出す材料になるアイデアを出し合ったり 
・結論に対して、事後の合意を形成すること(理解を促すこと)が 
目的になるでしょう。
一方のコラボレーション型を例えるなら、 
ビートルズ時代のレノン&マッカートニーのようなアプローチ。 
彼らは、曲や歌詞を作るに際して、二人の発想や意見をミックスして、 
二人でベストの答えを出し、ひとつの作品を作りました。 
だからこそ、常に二人の名前「レノン&マッカートニー」で 
作品を発表しました。 
コラボレーション型は、 
・アイデアを出し合うのみならず、 
 それらのアイデアのどれを採用するのか、 
 どう具体案に落とし込むのか、 
 その結論をも一緒に出すアプローチ方法だと言えます。
どちらが優れているということはなく、 
どちらの方法で協働してもいいのですが、 
協働がうまく行かない原因の多くが、 
アプローチ方法の不明確さにあると私は思います。 
言い換えれば、どちらのアプローチ方法で行くのかを決めずに進めている、 
ということです。 
つまり【ヒントその1】は 
「最初にアプローチ方法を明確にする」ということです。
では、、、、 
例えばコラボレーション型で行くということを 
先に合意して進めたとしましょう。 
それでも、しばしばうまく行かないという事態に陥ります。 
そんな時、ミーティングで起きるのは、どんなことでしょうか?
私の分析(推測?)ではこんなことが起きがちです。 
・まず、それぞれのメンバーが「こうしたらいいんじゃないか?」と 
 自分なりにイメージを持っている。 
・と同時に「こういうのはイヤだな」というイメージも持っている。 
・自分が望ましいと感じる方向に同意してくれる人が多ければうれしいし、 
 スムーズに結論が出てラク...と思っている。 
 →一般に、多くの人は結論を早く出したい。 
・銘々が自分の案を口にする最初の段階では、 
 各自、相手が自分の案に同意してくれないかな?と思っているが、 
 個々のメンバーも自分とは違うイメージがあるようなので、 
 主張もしきれないという状況が生まれる。
つまり、この段階で生まれているのは、 
他の人の案に賛同もしかねており、 
かといって自分の案を主張もできないという「行き詰まり状況」です。
さて、、、 
この行き詰まり状況が生まれる原因はどこにあるのでしょうか? 
私は、結局、ディレクション型とコラボレーション型の違いや 
それぞれの場合の立ち振る舞いがわかっていないということにある、 
と考えています。
コラボレーション型では、 
「私のアイデアに賛同してほしい」と思うことはそもそも間違いです。 
では、どう思うべきなのかというと、 
「私のアイデアを誰かいじって、もっとより良く変えちゃってほしい」です。
一緒に作ろう、コラボレーション型でやろうと言いながら、 
でも「私のアイデアに賛同してほしい」と思うなら、 
それはむしろディレクション型でやった方がいいということ。
ところが、その整理をしないままにプロジェクトが始まってしまうので、 
まやかしのコラボレーション型が生まれてしまうのではないでしょうか。 
私自身も、何度も自分がまやかしのコラボレーションにいることに気づけず、 
その罠に陥りました。
では、コラボレーション型を目指すなら、何を変えていくべきなのでしょうか? 
ヒントは2つあります。
【ヒントその2】最初のイメージとの向き合い方を変える。 
自分が抱いた最初のイメージ「こうしたらいいんじゃない?」を、 
あくまで「にんじん、じゃがいも」と捉え、「カレー」だとは捉えない。 
平たく言えば、完成形に固執しないということです。
【ヒントその3】自分のスタンスをチェックする。 
自分のスタンスが「賛同してほしい」なのか、 
「もっとより良く変えちゃって」なのか、セルフチェックをかける。 
前者になっていたなら、心の持ちようを変えるということです。
ディレクション型もコラボレーション型も、 
うまく機能する組織は、相当に成熟した組織ですよね。 
新入社員の皆さんが社会に入ってくるこのシーズン。 
私たちもリセットして、当たり前を疑って 
組織内のコミュニケーションをもっとより良くしたいものですね。
どうぞ良い1週間をお過ごしください!

 

 
 
 
