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平田オリザ氏のコミュニケーション四方山話がおもしろかった!

150525_oriza.jpg平田オリザ氏の「わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か」 (講談社現代新書)が、とてもおもしろかったので、改めて紹介します。


この本の内容は、体系的に書かれたコミュニケーション論というよりも、コミュニケーション談義とか、コミュニケーション四方山話というイメージに近いです。コミュニケーションというものに携わる人が、まるでお茶でも飲みながら自分の意見や考えを述べている...と形容したくなるような、そんな本でした。学問的ではないからこそ、むしろおもしろく読めます。


いつも思いますが、「コミュニケーション」という言葉は、よく使われる割には、わかったような、わからないような、私も含めて多くの人が意外と曖昧な捉え方をしているのではないでしょうか。残念なことに、平田氏も「コミュニケーションとは?」という定義を本の中で明らかにはしていないのですが、社会の中にある「コミュニケーション」という概念への違和感を率直に語っているところに、共感しました。


たとえば、日本人は本音と建前を使い分ける傾向がありますが、これがコミュニケーションを巡っても起きていると、平田氏は指摘します。企業は、人を採用する段階で、説明能力やディスカッション能力があり、多様な価値観をまとめていく能力を持つ人物を求めますが、実際に入社すると空気を読んだり、上司の考えをくみ取ったり、出る杭にはならず、あうんの呼吸で協調していく能力が同時に求められます。人は、矛盾するメッセージが交錯している状況(ダブルバインドの状況)に置かれ続けると、統合失調症に陥る等、健康には暮らせないと平田氏は言います。


多くの企業が、社員にコミュニケーション能力を求めていることは、誰もが承知しています。プレゼンスキル、交渉スキル、相手の話を正しく聞いて理解する力、リーダーシップ、グローバルコミュニケーションスキルなど、コミュニケーションに関連する本が、次から次へと出てくるのも、それだけ需要があるからです。しかも、企業にとっては、「売上」も、「ブランド」や「顧客満足」も、社員一人ひとりのコミュニケーションの積み上げによって、初めて築けるものなので、コミュニケーションの良い状態を作り出すことは、個々人の問題であると同時に、企業全体でも考えるべき問題となっています。

それだけに、コミュニケーション能力を養うこと、コミュニケーションの良い状態を作り出すことの必要性/重要性は高いのですが、社内および社員のコミュニケーションの問題をどう解決し、どうやって状況をより良くするか、そもそもどのような状況を目指すのがいいのかという事柄に対し、本気で取り組む社会にはなっていないように見えます。


平田氏は、表現方法こそ異なれど、恐らくは同じような問題意識に立っているものと思われ、コミュニケーション教育のあり方から見直すことを説いています。


この本の中で印象に残った点をピックアップしました。

●若者のコミュニケーション能力が低下しているとよく言われるが、実は能力の問題ではなく、意欲が低下しているのではないか。人は、分かり合えない体験がないと、分かり合いたいとは思わない。

●社会に出るまで、親と先生以外の大人に会ったことがないという若者は一定数いる。それによって、慣れている/いないが生じるが、慣れの問題なら、早く慣れてしまおう。

●コミュニケーション下手であることを人格と捉えがちだが、混同してはいけない。

●どんなコミュニケーションが快適かは、国や文化によって違う。列車やエレベータで気軽に挨拶する方が快適と感じる文化圏もあれば、無言でいる方が快適でいられる文化圏もある。

●明治の近代化以降、人と人の間で、異なる価値観や情報について交換し合ったり、擦り合わせを行う「対話」という概念が未成熟なまま、日本は歩んで来た。会話はあるが、「対話」が弱い。「対話的な精神」とは、異なる価値観の人と出会い、それを通して、自分の意見が変わっていくことを受け入れる態度のことである。

●その人がどんなつもりでその言葉をつかっているかという、背景にある意味:コンテクストが分からないと、分かったことにならない。言外のコンテクストを理解しようとすることが、コミュニケーションを左右する。


もしご興味があったら、ぜひ読んでみてください。

では、今週も楽しい1週間でありますように!

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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