ブランディング、コミュニケーション、チームワーク…。週1回の社長ブログです

ブログ:2020年4月

社長の脳みそ整理mono-log モノログ

最近いくつかの番組で、テレワークが進み、
働きぶりの"見える化"が広がっているという報道を見ました。
私が番組で目にしたのは、
社員に自分の行動、たとえば「着席」「退席」などを
細かくボタンを押して報告させるしくみや、
社員がPCの前に着席しているかどうかをモニターで監視するといったものでした。


人事用語で言えば、「勤怠管理」の一環なのでしょうけれど、
悪く言えば、いかに社員を「監視」するかです。


そこで、今、世の中ではどんな「監視」が存在しているのか調べてみました。
上の例のほかにも、PCの表示画面を録画してモニターしたり、
PCの操作内容を記録したり、GPSでどこにいるかを監視したりと、
様々な技術によって監視サービスが提供され、
それを導入している企業があるのだと知りました。


私自身は、そうした流れに疑問を感じますが、
日本の労働基準法への防衛対策だったり、
過去のネガティブな経験からの対策かもしれません。
各社の事情がわからないだけに、ここではその賛否を論じようとは思いません。


しかし、今、働き方への価値観をリセットする時期にあるのも確かです。
「監視」をしようとする動きの根底にあるのは、
「性悪説」なのではないでしょうか。
人は放っておけばサボる、
人は自分に都合よくウソをつく、
という考え方に立っているから、
「監視」によって抑止したいという発想になるのでしょう。


では、「性悪説」の観点で見た場合、
いったいどのように働いている人が「是」とされているのでしょうか。
それは、決められた時間に決められた場所で、
コツコツとマジメに就業する人...です。


マジメな勤務態度であるかどうかが、
長い間、人の評価に大きく関わってきました。
ここで言うマジメの意味は、まさに上に書いた
「決められた時間に決められた場所で働くこと」です。
所定労働時間が8時間なのに、
7時間しか働いていないのは「非」という考え方です。


しかし、果たしてテレワークを推進しようとしたら、
そのような価値観が通用するのでしょうか?
私は、もはやその価値観を捨てて、
何を「是」とするのかを変えないことには
テレワークは機能しないと思います。


具体的には、期待通りの、あるいは期待以上の
パフォーマンスを発揮した人を「是」とするという考え方です。
でも、これ、別に新しい考え方でも何でもありませんよね。
これまでもパフォーマンスは求められていますから。


けれど、その前提には、時間と空間の約束が守られていることがありました。
その約束を守った上でのパフォーマンスだったわけです。
なぜなら日本の労働基準法がそういう考え方だからです。
テレワークを導入しながら、「監視」をしたくなってしまうのも、
ひとつには法的な背景があるのだと思います。


たとえば、企業防衛的にはこんな発想になるのでしょうね。
悪用する人が出たらどうしよう?
悪用して、本当は実体がないのに、自分は月100時間残業をさせられた...
と主張する従業員が出たら、どうしたらいいんだろう?
それも、一人や二人ではなく、みんなが水増し申告をしたら、どうしよう...。
だから、ちゃんと何らかの形でエビデンスを残すべきだ...。
こんな発想になってしまうのかもしれません。
実際、湘南にドライブに行っちゃう人が大勢いたり(笑)
「テレワーク」「サボり方」で検索すると、いろんなコンテンツが...。
だから、防衛的になるのも、わからないではありませんが、
真っ当な人にとって、不信が不信を招く悪循環が起きるのは目に見えています。


だから、今大切なのは、ある程度、
時間と空間の制約を是非の判断基準の脇に置き、
会社は、何を個々の社員に期待しているかを明らかにすると同時に、
社員がパフォーマンスを上げられるような
コミュニケーション支援をすることだと思います。


スケジュールが遅れてしまいそうな状況にないか、
質が低下しそうな状況にないか、
相談しやすい状況をつくったり、
相談されたときに「なぜ」と詰め寄らないコミュニケーションを取ること。
物理的に離れていても、それができる状況をどう作るかが大切なんだろうな、と
そんなことを感じます。


これは「監視」というアプローチでは決して生まれないもので、
「性善説」に立たないと成立しません。


でも、もちろん、簡単だとは思いません。
当社も社員に対し、成長を支援する、創造的な活動を促す、
気分を察知してサポートすることができないなどの面で、
どうしたらいいのか悩みはあります。
期待するパフォーマンスを明らかにするというのは、どういうことなのか、とかも。
また、私自身、仕事に没頭していて、相談メールへの返信が3時間後になるみたいな。
私の生産性は上がりますが、
その間、社員の生産性は下がっているのかもしれません。


テレワークには良い面も悪い面もあります。
でも、理想の働き方を考えるいいチャンスでもありますよね。
私はテレワークは「信頼」を前提とした働き方だと思います。
これは、とっても素敵なことです。


いよいよGW。Stay Homeで参りましょう!

先週7日に政府が緊急事態宣言をしてから、今日が最初のブログになります。
今日は、社会に向けて出されている「新型コロナウイルス」に絡んだメッセージから、
「わかりやすさ」の共通点について考えたいと思います。


今、政治や業界のリーダー、スポーツ選手など、
いろいろな方がメッセージを出され、人々を励まし、道しるべを示しています。
特に、政界や業界のリーダーたちのメッセージは重要性を増し、
それがわかりやすいかどうかもポイントになってきていますよね。


私が共感した例を3つほど紹介します。


わかりやすさでダントツに光っているのは、小池百合子東京都知事です。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/governor/governor/kishakaiken/2020/04/10.html
わかりやすさの直接的な理由は「言葉」にありますが、
それ以上に大きいのが、都民が求めていることを話してくれることではないでしょうか。


また、言葉の源にある「考え方」もわかりやすいです。
たとえば、国は、状況に応じて段階的に制限を拡大する方針だったようですが、
小池さんは「最初に早く大きく制限をかけて、徐々に緩和していくのが、
危機管理の要諦(キッパリ!)」と言って、
自分の意思とその理由を示していました。


「大義」を明確にするのも、小池さんの特長です。
考え方がわかりやすく、伝える言葉がわかりやすい。
まあ、政治家ですから当然と思うかもしれませんが、
話がわかりにく政治家も大勢いますよね。


小池さんは、若者に人気のユーチューバーHIKAKINとも対談するなど、
できることは何でもするという意気込みが行動に現れていて、
それ自体もメッセージとして機能させている印象です。


イギリスではジョンソン首相が感染し、入院中ですが、
今、小池さんが入院することになったら、本当にたいへん!
ご自身の身を守りながら、指揮を取っていただきたいと思います。


2つ目は、東京都医師会の尾崎治夫会長と、そのメッセージです。
4月5日には「もしも6週間みんなで頑張れたら」というメッセージを、
4月8日には「専門家を大事にしよう。」というメッセージを
facebookに出されています。
前者は東京都医師会のHPにも掲載されています。
https://www.tokyo.med.or.jp/17934
こちら↓はFBにログインしていないと見られません。
https://www.facebook.com/haruo.ozaki


抜粋になりますが、たとえば5日のメッセージでは、
こんなふうに語りかけています。
「皆さん想像してみて下さい。
新型コロナウイルス感染症に、もしも今この瞬間から、
東京で誰一人も新しく感染しなかったら、
2週間後には、ほとんど新しい患者さんは増えなくなり、
その2週間後には、ほとんどの患者さんが治っていて、
その2週間後には、街にウイルスを持った患者さんがいなくなります。」


これを読んで私が思ったのは、緊急事態宣言で示された1カ月ではなく、
6週間なのだということ。
ただ感染拡大防止のために1カ月自宅で、と言われるよりも、
ゴールへの道筋がイメージできました。


実は、私、恥ずかしながら、医師会の会長というのは、もっと保守的で
長いものに巻かれるような人物ではないかという先入観を持っていました。
ところが尾崎さん、まったく違います。
リーダーとして明確な意思を示しています。
ちなみに、写真は会長室で飼っているアイボが撮ったものだそうです。


また「専門家を大事にしよう。」では、
西村経済再生相と思しき人物を名指しせずに批判しています。
その主張がもっともだと思うのは私だけではないでしょう。
でも、批判することが目的なのではなく、
専門家の意見にもっと耳を傾けてほしいというメッセージを
伝えたいのだということがよくわかります。
そして、そのメッセージを届けたい相手はおそらく安倍さんです(笑


3つ目は、自動車工業4団体によるメッセージ。
話されたのは自工会の豊田章男会長でした。
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/32286491.html


冒頭で、こんな語りがあります。
「世の中にはコントロールできる話とコントロールできない話がある。
コントロールできないことに深刻になればネガティブになる。
自分がコントロールできることをしっかりやっていこう。
コントロールできないことを誰かがやってくれていたら感謝しよう」。
ニュースなどから不安な情報にどっぷり浸かっている私たちにとって、
自分がすべきことが何なのか、わかりやすくイメージできますよね。
安心感を与えてくれる始まりの言葉でした。


会見では、決定事項のみを発表するのが慣例だそうですが、
中盤では、これから考えていくことも紹介したり、
国内でのモノづくりにこだわってきて本当に良かったという思いを述べたり、
「我々の産業には、生き残るための粘り強いDNAがあるはずです。
なんとしても踏ん張って、生き残っていきましょう!」と
業界関係者を勇気付ける言葉もありました。
18分におよぶスピーチは内容が盛りだくさんでしたが、
4団体の意思と熱い思いの伝わる、素晴らしいメッセージだと思います。


3者に共通するのは、次の2点。意外にシンプルです。
1)聞く人・読む人の今の思いや疑問に添っていること。
2)「大義」を伝え、「意思」を伝え、「思い」も織り込んでいるということ。
それによって、相手の頭と心の両方にメッセージを届けることができ、
結果として共感を生み出しているのではないでしょうか。


さて、「わかりやすさ重視」という観点で、官邸広報にも変化があることを
ジャーナリスト江川紹子さんの執筆記事を読んで知りました。
https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20200408-00172156/


7日に発表された緊急経済対策の会見で、質問に立った江川さんに対し、
翌日の8日に菅官房長官から電話があり、追加説明があったそうです。
「昨日の記者会見で、よくご理解いただけてなかったようなので」と。
発表の晩のラジオ番組で「よくわからなかった」と発言したことが
漏れ伝わったのではないかと江川さんは推測していますが、
これは相当に珍しいことのようです。
そのほかの変化についても紹介されているので、
ご興味があったら読んでみてください。


ニュースや会見、SNSでのコメントを
「わかりやすさ」という視点からチェックしてみると、
いろいろ学びがありますし、気も紛れます。
ありゃ、とても長文になってしまった!!! 
今回のブログ、長いだけでわかりにくかったら、ごめんなさ〜い。

不自由な毎日ですが、くじけずに一緒にがんばりましょう!

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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