ブランディング、コミュニケーション、チームワーク…。週1回の社長ブログです

ブログ:2018年2月

社長の脳みそ整理mono-log モノログ

グラスルーツの仕事は、人の心の動きというものへの関心なくして、成り立ちません。
媒体を通じて何かを伝えたいのなら、 相手の心の動きに添っていくことが不可欠だからです。
そんな仕事だからか、日常生活でもそういう方面へのアンテナは自ずと立ってしまいます。
先日も、両親との会話を通じて、
人の記憶の不思議、理解の不思議を痛感しました。


私の両親は父が今年90歳、母が85歳で、
昨年秋から、二人一緒に同じ介護付きの老人ホームに入居しています。
歳相応に短期記憶というものが衰えていますが、
普通にコミュニケーションは取れていますし、
自分のことは概ね自分でできています。


で、先日、その短期記憶について考えさせられるこんなエピソードがありました。
母は2月4日が誕生日なのですが、
先月末から少し体調を崩して10日ほど入院をしていた関係で、
遅ればせながら先週お祝いの外食をしました。
母はお刺身が好きなので、施設からほど近いたまプラーザの、
あるお鮨屋さんにランチどきに行きました。
昼間でしたが、父は日本酒、母はビールを飲み、
大いに満足してお店を出ました。
そして、父が本を買いに行っている間に、私と母はお茶を飲み。。。
かれこれ3時間ほどの外出でしたが、
いざ施設に戻って1−2時間した頃に、
「今日は表参道に行って久々に華やかな気分を味わえて良かった」と言った母に、
父が「渋谷に行ってから新宿に行っただろ?」と。
私は、「今日行ったのは、たまプラの駅前だよ」とは言いはしましたが、
目くじらを立てる程の事でもありませんからね。
そんなわけで、二人は「表参道に行った」「渋谷・新宿に行った」と
銘々に思い込んで、記憶したようです。


いったい二人の中で何が起きたのでしょうか?
私はこう解釈しています。
母は「今日は華やかな場所に行った」と感じ、
父は「人通りの多い場所に行った」と感じた。
で、自分の記憶にある華やかな場所、人通りの多い場所というのは、
表参道であり、渋谷・新宿だったのだろうな、と。
つまり、今いる場所、今日行った場所がどこという観点で記憶するのではなく、
印象を記憶して、そのような印象の場所はどこであると推測して記憶をつなげているんですね。
なので、高々たまプラーザでの外食が、
思った以上にビッグイベントとして記憶されてしまったようなのです(笑

この話を聞いて、これは老人だからでしょ?と思った方も多いかと思います。
でも、、、私は実はそうではないと思ってこれを書いています。


私も含めて、多分皆さんも心当たりがあると思いますが、
私たちは何かを記憶するとき、事実ベースの情報よりも、
その時のムードだとか印象だとか、
どちらかといえば感じたことをより強く記憶するのではないでしょうか。
例えば旅行をして、それがいつだったのか、どこだったのかは覚えていないけれど、
土地や風景の質感は覚えていたりしませんか?


けれども、感じることそれ自体は人それぞれです。
先ほどの私の両親の例では、
どちらかといえば二人が似たようなことを感じていましたが、
たとえ同じ時間、同じ場所に居たとして、
感じたことが違ったとしても、なんら不思議ではありません。


同じ場所にいながら、違うことを感じる...
これは、旅行などだけでなく、仕事でも起こります。
例えば、私たちがお客様の会議のファシリテーションをする時、
大抵は2名で行いますが、
終わった後の振り返りで、感じたことがまったく違うというケースもあります。
参加メンバーは満足していたのではないか、していなかったのではないか、
ポジティブな気持ちでいたのではないか、ネガティブな気持ちでいたのではないか、
判断が大きく分かれたりします。
私自身は楽観的だからか、どちらかというと良く受け止めがちなのですが、
部下から「イマイチな空気があったのではないか」と言われて、
「そうだったのかしら?」と認識を広げることもしばしば。


では、実際どうだったのでしょうか?
実は、正解は誰にもわからないんですね。
なぜでしょうか?
仮にその会議に10人が参加していたとしたら、
その10人の感じたこともそれぞれ違ったりしますし、
ミーティングの前半と後半で場の空気が変わったりもするからです。
さらに、印象を判断する人の個人的フィルターによって、
その場をどう判断するかが変わるからです。
そのフィルターというのは、その人の人生経験であり、
そこからくる価値観です。


では、この印象のズレについて、いったい私たちはどうしたらいいのか。
どう記憶されたのか、どう理解されたのか、
人それぞれ違うことにどう対処したらいいのでしょうか。


私見でしかありませんが、私はこう思います。
どれが正しいのか、ではなく、
すべて正しいと思って、多面的に理解しようとすることが大切なんだろうな、と。
要するに「Aと感じる人もいたし、Bと感じる人もいた、
自分はBとは感じなかったけれど、そう感じた人もいたらしい...」
そんな理解の仕方をすべきなのかな。


人が抱く印象。
同じものを見て違うことを人が感じるというその事実。
それを前提にすることの大切さ。
今日はそんなことをシェアさせていただきました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

平昌オリンピックも残すところ1週間。
週末の、羽生結弦選手、宇野昌磨選手の金銀の活躍、素晴らしかったですね!
さて、目下私が一番興味があるのが、スピードスケート女子団体パシュートです。
本日19日が予選、21日に決勝が行われます。
最初はパシュートと聞いても、ピンときませんでしたが、
NHKスペシャルで日本代表が取り上げられているのを見て、
あまりの知的な戦略に魅了されてしまいました。


ソチ五輪で敗退した日本代表チームは、
その後の強化によって今やワールドレコードを更新中。
スケート王国オランダに数秒の差をつけて優勝を続け、
金メダルへの期待が高まっています。
代表メンバーは、高木美帆、菊池彩花、佐藤綾乃、高木菜那の4選手。
監督はオランダから招かれているヨハン・デビットさんです。


私が興味を持った最大の理由は、
オランダの代表メンバーが個人種目トップ10の選手ばかりなのに対して、
日本代表は高木美帆選手以外トップ10に入っていないという点。
それなのに、なぜ勝てるのか、興味津々でした。


この記事はパシュートを説明することが目的ではないのですが、
どんな競技か、少しでもイメージしていただけるように、
競技の特徴について簡単に紹介しますね。


1チームは3人1組。
2チームで、それぞれがリンクを6周し(女子の場合です)、
そのタイムを競うトーナメント式の競技です。
面白いのは三人が縦1列になり、先頭走者を順番に交代しながら、
レースを進める点です。
最低でもチーム全員が1周は先頭を滑らなくてはなりません。
逆に言えば、均等に分担しなくてもいいというところがミソです。
百聞は一見にしかずなので、「パシュート」で動画検索してみてください。


自転車競技などもそうですが、トップを走る選手が感じる風圧は
2番手以降とは比べものにならないくらい強烈らしく、
だからこそ先頭走者の後ろで滑る間に体力を温存し、
先頭走者になったら、それを使い切ってレースを引っぱります。


では、なぜ日本がそこまで強くなったのか。
その理由はもちろん1つや2つではないはずですが、
NHKスペシャルで大きな理由として挙げられていたのは、
「一糸乱れぬ隊列」と「高速の先頭交代」でした。

具体的には、徹底した風圧の研究に始まり、
時速50kmで走行中でも接触しない絶妙な距離を追求した結果、
選手間の間隔を1mより短く保ち、前の選手を盾にして滑るスタイルを確立したこと。
さらに、スピードを均一化しオランダの半分のスピードで
先頭交代することにもこだわりました。
いずれも、体力の消耗を最小限にすることを狙ったもので、
それが勝利への戦略の要と考えたようです


しかも、、、
日本代表は、ワールドレコードを最初に更新した後も、
さらに戦略的に戦い方に変更を加えています。
先頭役は、3人で均等に滑るのが一般的であるのに対し、
エースである高木美帆選手がなるべく長く先頭を滑る
という戦略に出たのです。
W杯第3戦で高木美帆選手は、
1回目の先頭役で1.75周、4回目の先頭役で1.75周と、
合計で3.5週を先頭で滑りました。


あーん、こんなふうに説明しても、
彼らの戦略のスゴさ、ちっとも伝わる気がしません。。。(息)


私がこの番組を見て学んだことは、
チーム力というものは必ずしも個人の力の総和ではない、という点です。
個人と個人をつなぐ「間」を見直すことで、
個人の力の総和という発想で戦っている競合相手に勝つことができる、
これがとても新鮮でした。

つまり、日本代表チームが行なったのは、
チームとしてどう戦ったら個人の力の総和以上の力が出るのか、
こう戦うべき、こう戦うしかないという思い込みを捨てて、
個人と個人をつなぐ「間」の工程を徹底的に見直し、
全体最適のために「戦い方」自体のPDCAを回した、ということだと思います。
「間」に目を向けるというこの発想、企業という組織にも有効ですね。


今日からいよいよ本番です。
女子団体パシュート日本代表の皆さんを
ぜひ一緒に応援しましょうね!

昨日5日(月)に配信するはずだったメルマガ、
悲しいことに、記事を書いて保存しようとするとクラッシュしてしまい、
それを2日間繰り返したので、配信を諦めました。


日の目を見なかった原稿には、テレビに出ていた高梨沙羅選手を見ていて、
気づいたことや学んだことを書いたのですが、
今、もう一度それを書く気になれないので、今回は別の話題でお届けします!


さて、、、、
「マイクロアグレッション」という言葉をご存知ですか?
最近は「ダイバーシティ(多様性)」を重んじよう...という流れに乗って、
時々目にしたり、耳にしたりしたことがある方も多いのではないでしょうか。
その意味は、端的に言えば「自覚も悪意もないのに、
差別的と感じさせてしまう言動や行動」のことです。
覚えやすくするために、私は「自覚なき差別」と覚えています。


今回、なぜ、これを取り上げようと思ったかというと、
昨晩、NHKがニュースで取り上げていた豊洲市場の話題の中で、
アナウンサーが読み上げた原稿の中に「業者」という言葉が入っていたからです。
自覚なき差別の一種だと私には思えました。


私の感覚では、
「業者」「下請け」「出入り業者」という言葉は、
何かしらの見下しが感じられる表現だと思っていたので、
NHKが躊躇なく使っていることに、不愉快とは言わないまでも違和感がありました。
「業者」とは言わず、「協力会社」「パートナー」「取引先」と言う。
この感覚は、良識ある企業の間では既にかなり一般的になっていると思います。
私たちも自社の取引先に対しては、そのような感覚で言葉を選ぶようにしています。
あなたが「え、そうなの?」と思われたなら、
「業者という言葉の是非」「業者 言い換え」「業者 差別用語」などの
ワードで検索してみてください。
いろいろな体験や意見が出てきて、興味深いですよ。


これは私の記憶ですが、もう20〜30年も前のこと、
あるクライアントの会議に、複数の協力会社が集まっていました。
そこである印刷会社の方が抗議をしたそうです。
「印刷業者ではなく、印刷会社の方と言ってほしい」と。
私自身はそれを目の当たりに見ていないのですが、
それを聞いてから、より一層言葉の重みに対しての認識を改めました。


さて、、、、
私は、今、ここで「業者」という呼称はけしからん...ということを
書きたいわけではありません。


私たちの中にある、無自覚・無意識の差別...ということに対して、
私たちはどう向き合ったらいいのか、が今日のテーマです。


そもそもなぜ無自覚・無意識になるのか?
私はこう考えました。
人の言動や行動というのは、少なからず知識と結びついています。
例えば、
「業者」という言葉は見下されていると感じる人が多い言葉であると知ったら、
「使わない方がいいな」と意識する人が増えると思います。
でも、知らないと、何の意図もなく使ってしまいますよね。
つまり、知識がないと行動を変えられません。


例えば、次のような言葉もマイクロアグレッションになりかねませんが、
あなたに、そのような認識はありますか?


・(外国の方に対し)日本語がお上手ですね
・(外国の方に対し)お箸の使い方がお上手ですね
・(容姿と国籍の違いから)ご出身はどちらですか?
・アジアの方の割に、すごく背が高いですね
・女手一つで、よくここまでやって来ましたね
・女性なのに、男性並みの決断力ですね
・男性とは思えない、繊細さを感じます
・あなたには、いつか結婚して幸せになってほしいです
・彼/彼女はいるの?
(ストレートであっても不愉快。まして同性愛の人はダブルで不愉快)
・私には、そっちの気(け)はないから。
(ストレートでない人は、自分の存在が否定されたようで不愉快)
・そんなに真面目にやってないで、もっと人生楽しもうよ!
(楽しんでいないと決めつけられたら不愉快)
・お子さんは何人?
(不妊症の人にとってはいるのが当たり前とされたくない)


えーっと、私の場合なら、「女手一つで、よくここまでやって来ましたね」とか
「女性なのに、男性並みの決断力ですね」と言われた経験はあります。
別に目くじら立ててどうこう思いはしませんでした。
理由は、素直に褒めようとしてくれたか、
あるいは多少のお世辞か、好意的な表現だと受け止めたからです。
でも、それを語った人の女性への目線としては、
「弱き者」という目線なんだなーと感じたような気がします。
はるか昔の記憶ですが。


また、30代の頃かな、ある友だちが私にシェアしてくれたこと。
「あなたには、いつか結婚して幸せになってほしい」と人に言われて、
ムカついた、と。別に自分は今、幸せなのに、と。
そう言われて不愉快に思うシングルは、今どきはもっと多いでしょうね。


当然ながら、上の例は、あくまで例でしかありません。
大切なのは、多様性が重んじられる社会で、
画一的な価値観を前提としたコミュニケーションを図ろうとしては、
うまくいかないということです。


では、発言する際の原理原則はあるのでしょうか?


...考えてみましたが、ありそうでない。
というのは、結局相手がどう思うか、どう感じるかだから、です。
これは、ハラスメントとほぼ同じですね。
嫌がらせのつもりがあったかどうかは問題ではありません。


としたら、常に意識を広く敏感に持つしかありません。
まずは、自分とは別の立場や価値観の人たちに対する知識をいかに仕入れるか。
そして、その人たちは、どう思うだろうか?、と。
グローバルも、ダイバーシティも、マイクロアグレッションも、
どのキーワードについても私たちに必要なのは、きっと他人に対する想像力ですね。


「他人への想像力」。
まずはそっちに意識を向けてみますか。。。


珍しく火曜日発信のメルマガです。
どうぞ今週の残る日が良い日々でありますように!

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

社長メッセージを見る >>

これまでの記事

視点発見の旅
メルマガ【開-CAY】お申し込み

ご一緒に「視点発見の旅」へ!
メルマガは「開-CAY」で届きます

詳細を見る >>

「個人情報の取り扱いについて」

このページのトップへ