やりたいと思ったら、やればいい 〜キャロラインを巡るエピソード
昨年4月から参加していた10カ月のCTIリーダーシッププログラムは、今週の水曜日から日曜日までのリトリート(合宿研修)をもって終了します。通称「リト4」と呼ばれる今回の合宿は、4回目。大テーマが「すべてからつくる」で、1回目から共に歩んで来た24名の仲間たちと創り出す集大成の場となります。最終回のこの合宿がとても楽しみであると同時に、終了後にどう実践するのか、武者震いするような気持ちでいます。
さて、このプログラムを通じて学んだことはとてもたくさんありますが、その一つにやりたい!と思ったら、臆せず即座にやればいい、周りがどう思うだろうか、うまくいくだろうかといった思いに行動を縛られる必要はない、というものがあります。人は、とても多くのことを考えて、自分の行動を決めています。それが、どんな小さなことでも、周囲の反応を気にします。日本人は「KY」などという言葉があるくらいですから、国際的に見ても気にしやすい国民なのかもしれません。私自身も、なまじ立てているアンテナの影響で、行動するのを躊躇してしまことがあります。それを座学ではなく、体験型で学べたことはとても大きかったです。
このプログラムに参加したからといって、そんなに簡単に軽々とできるようになるわけではありませんが、でも、行動の軽さの大切さは痛感しましたし、そういう目でセルフチェックができるようになっただけでも大きな収穫だったと思います。「やりたいと思ったら、やればいい」。これは、とてもシンプルな行動基準です。
プログラムの主催者CTIサイドにいて、私たちを指導してくれるリーダーは、山田博さんと、アメリカ人のキャロライン・マクニール・ホールさんです。二人ともとても素敵な方たちで、尊敬を集めています。特に、キャロラインに当たったのは宝くじに当たったのと同じぐらいラッキーだというのが参加者の評。なぜなら、彼女がアサインされたのは、今回限り、イレギュラーなものだったからです。
彼女があまりに魅力的で、影響された人が多かったからか、このプログラムのメンバーの間に起きた、それを象徴するようなエピソードがあります。KHさんは、「キャロラインとインティマシー」という読書会を立ち上げました。これは、キャロラインの著書(原書)を読む会で、私も参加メンバーの一人です。KHさんは、キャロラインが大好きな一人であると同時に、彼女には彼女の願う社会の姿があり、その実現に貢献できる自分でありたいと願っています。その姿とは、人との関係やコミュニケーションに関し、身構えてしまう人が多い中、オープンで身構えない社会/組織を実現させたいというものです。そういうことに向かって行くために、この読書会が小さな一歩になると考えたのだと思います。
最初の読書会では、英語に対して、どんな意識を持っているかをオープンに話し合いました。すると、いろいろな声が出てきます。間違ったおかしな英語を話していると思われたくないとか、話せる日本人がいると萎縮してしまったり、依存してしまうとか、反対にちょっと話せるだけで、相当話せる人だと思い込まれてプレッシャーだとか。そのほかたくさんの自己制限的な感情が出てきました。
さて、1回1時間のスカイプでの対話。回を重ねるごとに、小さな変化がありました。
まず、毎回10分ほど英語だけで話す英会話タイムが設けられたのですが、最初は限られた人だけが話していたのに、最後の方になればなるほど、話に入る人が増えました。私も、最初の頃はあまり発言できませんでした。日本語でさえ発言するのが難しいようなテーマだったからです。
また、進行役は当初KHさんともう一人の男性がメインでリードしていましたが、途中から持ち回りになりました。リードする上でハードルになるのは、もちろん英会話タイムです。KHさんほど英語ができない人たちも、自主的に進行する役を務めるようになったのは、なぜか。それは、私も含め、自己制限的な自分でありたくないと思う人たちばかりだったからです。そうなると、いろいろな工夫が出てきます。日本語でさえ話すのが難しいようなテーマはやめて、簡単なテーマにしようとか、ロールプレーをしようとか。「自己制限的な自分でありたくない」ということは、言い換えると「自己解放的な自分でありたい」ということです。やりたいなら、やればいい。ありたいなら、あればいい。そのシンプルな原則に、みんなが従ったのだと感じました。ついでに言うと、そのメンバーの一人、KTさんは、キャロラインともっと会話ができるようになりたくて、先月、1カ月の語学留学にカナダへと旅立ちました。これもまた、やりたいなら、やればいいの実践だったのだろうと思います。
「やりたいなら、やればいい」という信条で、会が変化していったこと、それはみんなでつくっていったことです。しかし、それ以上に、最初に提案したKHさん。彼女が、賛同する人がいるだろうかなどと気にせずに、軽くfacebook上で発言して呼びかけたこと、つまり「やりたいなら、やればいい」に基づいて、言い出しっぺになったことは、とても象徴的な行動でした。実は、これは唯一無二の事例ではなく、こういう象徴的な事例が10カ月の間に多々見られました。もちろん、上手く行ったり、行かなかったりだったでしょうけれど、仮に上手く行かなくても、周りは勇気をもらっていたりして、無駄なことなどないんだなとわかりました。そこから、とても良い刺激をもらいました。
一緒にやってみませんか? 「やりたいなら、やればいい」を。
自分次第という価値観
「史上最高のセミナー」という本を読みました。これは、当社社員のYさんから推薦された本です。借りてから、しばらく読めずにいたのですが、正月休みを機に、ようやく読むことができました。この本は、成功し億万長者になった人々にインタビューするというあるアメリカのあるラジオ番組の内容を書籍化したものです。インタビューされているのは、全部で7名。
アンソニー・ロビンズやマーク・ビクター・ハンセンに影響を与えたとされるジム・ローン、チョコチップクッキー会社の創業者であるウォーリー・"フェイマス"・エイモス、「金持ち父さん」シリーズの共著者シャロン・レクター、「はじめの一歩を踏み出そう」の著者マイケル・ガーバーなど、日本人からするとたとえばビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズほどには有名ではありませんが、究極の成功者であることは間違いありません。
この本を読んで、なんだか同じようなことが繰り返し述べられていて、おもしろくないと思うのは間違いだと思います。むしろ、この本の優れた点は、成功した人たちのさまざまな談話から、いったい何が彼らに共通しているのか、その共通点を探るというお楽しみを得られることです。実際に、読んでみて、とても多くの共通点があることがわかりました。
(1)自分の人生は自分次第という人生観である。だからこそ自分の人生を他者のせいにせず、コントロールすることが重要だと思っている。
(2)自分がそれにふさわしい人間になれたら、富は後から付いてくると思っている。
(3)自分が望む未来を書き出したり、視覚化することの重要性を認識している。
(4)得たものの10%は社会に還元するのは当然と考えている。
(5)マスターマインドグループというものを持っている。
(6)同じような本を読み、影響を受けている。
他にもあるかもしれませんが、最低限、上のような点が、この本に登場する人々に「共通している」と感じました。そして、共通していないこと、その人特有の事柄の中にも、大変感銘を受けることが多々ありました。すべてに触れきれませんが、そのひとつを挙げるなら、ジャック・キャンフィールドのこんな言葉、「頼み方をマスターすれば、自分が望むものを手に入れることができるんだよ」です。彼は、多くの人は、頼み方を知らないか、あるいは頼んで拒絶されるのがイヤで、頼むことをしないと言います。これは、真実を言い当てていると思いませんか? そんなふうにハッとさせられる指摘が多々ありました。
さて、登場する人たちが口を合わせて語っていることの(1)番目、(2)番目について。すなわち、人生の結果は、誰のせいでもなく、自分次第である、金持ちになることは目的ではなく、どんな人間になったかの結果である...ということについて、あなたはどう考えますか? 私は、私自身の人生観に、とても近いものがあると感じました。
ところが、人間ですから、邪念というものと格闘することがあります。たとえば、私は、原則「自責」ですけれど、邪念が起きることがあります。
たとえば、今起きていることは、自分にはどうしようもないことだし、これは自分の責任ではない...と思おうとしたり、何でこんなことになってしまったのか、こんなはずではなかった、なんで?なんで?...と思ったり。現実を受け入れるのに、すんなりいかない場合があります。そういうときは、自分でもゲンナリします。
でも、成功した人たちの考え方はそうではないんですね。彼らは、素早くリセットして、むしろ早めに失敗して立て直すことを前提にしているようにさえ見えます。
そういう人生を送りたいものですね。
私たちは、自分の人生をコントロールできる。実にシンプルな原理原則だと思います。なのに、多くの人は「自分の人生をコントロールするのは簡単ではない」と考えがちです。そこを疑ってみること、人生を変えるためには大切かもしれませんね。
人生への思い込みを払拭したい時、この本はお勧めできます。ご興味がありましたら、ぜひ読んでみてください。
「下町ロケット」を読んで考えた、チームって何だろう?
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
皆さんは、どんな年末年始を過ごしましたか?
私は実家の両親を訪ねた以外は、さしたるプランもなく、家でオンデマンドで映画を観たり、本を読んで過ごしました。
読んだ小説は、「下町ロケット」(著:池井戸潤/小学館文庫)。12月に退職したOさんが贈ってくれた1冊で、池井戸潤の直木賞受賞作品です。
作品は、町工場と大企業の攻防の物語で、会社とは? 仕事とは? 夢とは? 生きるとは?という問いかけとともに、大企業と中小企業の構図や、反対する/協力する/傍観する人々の心理とその変化が興味深く描かれています。
7年前に宇宙科学開発機構の主任研究者だった主人公・佃航平は、ロケット打ち上げに失敗し、責任を取って辞任。現在は、ロケットエンジンのバルブシステムで世界最先端の特許を持つ佃製作所の2代目経営者です。そんな彼の会社に、次から次へと困難が押し寄せてきます。突然の取引中止、特許を巡る攻防、いずれも相手は大企業ばかり。それでも屈せず、困難を切り抜ける中で、利害で敵対するロケットメーカーに対し、自分たちが開発したキーデバイスの納入を求め、プライドを賭けて戦います。その間に社内は意見で対立。経営者である佃航平に対して、若手社員が猛反発を繰り広げたりする。それでも、ロケットメーカーからの屈辱的で不当な扱いに対し、自社のアイデンティティに目覚め、プライドを軸に社内は団結。高度なテストを乗り越え、ロケットエンジンのキーデバイス、バルブの納入を実現させます。
痛快なのは、侮辱することが目的であるかのようなメーカーテストの過程で、「相手は所詮中小企業」と舐めてかかっている審査員に対し、「なにか勘違いされていませんか」と迫るシーン。一気に形勢が逆転します。
さて、この本を贈ってくれたOさんは「この本を読んだ時、もしかしてオノさんが目指している"チーム"とは、こういうことなのかな、と思ったのを覚えています」とカードに書いてくれました。それで改めて、自分が何を目指したいのだろうと考えてみました。感想とともに記します。
この物語において、佃製作所のメンバーが自社のアイデンティティにこだわり、プライドを賭けて、同じ価値観で1つのゴールを目指す姿はまさにチームの理想であると思いました。また、反発が源とはいえ、社長に対して社員が意見を言えている社風も、私が目指すチームの姿に近いです。かといって、社長の佃航平は「非の打ち所のない経営者」というわけではありません。社内の若手から受けた反発を見ていると、気の毒に思うくらいでした。意地悪な口調で批判する社員に対し、プロセスに問題があったのかな、とか、でも自分にだって夢があり、社員の希望に添うことが第一なら自分の夢は置き去りにしろというのか、などと逡巡する経営者で、そこにむしろ親近感を抱いたとも言えます。
反発がありながら、なぜ社内がまとまったのか、それは帝国重工という仮想敵があったからです。社長の佃航平も社員も、仮想敵というよりも、リアルな敵だと感じたことでしょう。社内がまとまったのは、有事だったからです。また、皮肉なことに、反発が起きたのも、経営危機があったから、すなわち有事だったからです。このような有事の時に、社員がどう感じるのか、私も経験したことがあるので、想像できます。
反対に、もし順風満帆で経営がうまく行っているとしたら...? 生じる出来事も、社内に流れる感情も、まったく違うものだったはずです。ここまでガッチリとまとまらなかったかもしれません。
私が考えるチームは、尊敬し合いながら、率直に意見やアイデアを出し合え、恊働しながらも持ち場持ち場で責任を全うし、100%力を出し切っての誰かの失敗をナイストライと捉え、力を出し切らなかった失敗は何やってんだ!と(愛をベースとした)厳しい声を掛け合い、むしろ早めに失敗して学習するメカニズムを持った組織です。
書きながら思いましたが、相当にハードルが高いですね〜 この中でも一番重要なのが、「尊敬し合いながら、率直に意見やアイデアを出し合える」環境をつくることだと思います。周知を集める環境なくして、後のことはありえないと思います。ただし、当然、人それぞれ意見は異なりますから、リーダーは、意見の対立があったときや、自分と異なる意見が出されたときに裁く技術が求められるでしょうね。
チームのあり方に正解はありません。当社も、チームとしての理想を常に追求し、お客様や社会に対し、良いアウトプットをしていけたらと思います。
2015年、良い1年としたいものですね。