ブランディング、コミュニケーション、チームワーク…。週1回の社長ブログです

ブログ:2012年4月

社長の脳みそ整理mono-log モノログ

こんにちは。

社内広報の仕事をしていると、トップのメッセージについて、ご依頼やご相談をいただくことは珍しくありません。今までの例を見せられて、感想を求められることもあるのですが、時として内容に疑問を感じるケースがあります。そこで、今回は、年頭や新年度、社長就任時に社員に宛て発信するメッセージのあり方について、考えてみたいと思います。

新年度のメッセージで現状やこの1年間について振り返る、これ自体は極めて一般的なことです。しかし、1年の間にかんばしい成果が出ていない場合、しかも、それは外的要因、すなわち経済情勢と無関係でない場合、経営者の心境は複雑なものになるものです。

最も悪いのは、「現在の社会的経済情勢は、非常に厳しいものがある。この1年間も、また現在も、できる限りの手は打っている。しかし、残念ながら、まだ成果が出ていない。」というニュアンスで書き出してしまうことです。メッセージの冒頭で、このようにネガティブに語りかけてしまうと、気分はもうブルー一色。その先を読みたくなくなります。しかも、言外で「これは仕方なかった」「自分のせいではない」と語っているようにさえ聞こえます。その後で「現在の方針に従って、着実に計画を実行すれば、必ず成果が出ると確信している」というようなことが書かれてあっても、社員は「信用できない」と思うのではないでしょうか。

しかし、このパターンはどこかで見たことがある、と思いませんか。それは、IRレポートにおける社長から株主に向けた挨拶文です。たとえば、「今期の経済情勢は大変厳しいものがありました。こんなことも、あんなことも起きました。そんな中、当社としては利益を確保すべく、徹底したコスト削減など、様々な努力をいたしましたが、残念ながら減収減益の結果となりました」というような流れの挨拶文を目にしたことはないでしょうか。このような文脈での挨拶文がIRレポートで多く見られるのは、業績が悪いときには、株主に対して「神妙な姿勢」を示すべきという考え方が根底にあるからなのだろうと思います。

私はここで、IRの挨拶文のあり方を語ろうと思っているわけではありません。もし、IRレポートのような形式をひな形にして社員に向けたメッセージを作成しているのであれば、それはいかがなものかと思います。そうでなかったとしても、社員に向けたメッセージの書き出しが、「厳しい経済情勢」から始まるのは論外ではないでしょうか。

年初や新年度に向けた社長メッセージは、どんな状況にあっても「ネガティブな印象」で終わるものであってはいけません。一方で、単なる「楽観」や「カラ元気」で終わってしまっても、それはそれでNGです。
社長メッセージを書くのは、社長本人の場合もあれば、社内広報担当者の場合もありますが、真摯かつポジティブなものにまとめたいものです。もし、自分が社員ならどう感じるか、その気持ちに立てばわかるのではないでしょうか。

ありがちな問題点を挙げますと、

社長メッセージでやってはいけない5つのこと
1.社員に要求ばかりしている内容である。
2.言いたいことが多すぎて、何も心に残らない。
3.経営者の視点での話になりすぎて、社員の視点でない。
4.「上から目線」の印象を与えている。
5.ネガティブな印象になってしまっている。

社長メッセージを軽んじていると、痛手を被ります。しかも、一度信頼できないイメージができてしまうと、挽回するのは相当難しくなります。特に、就任当初のメッセージは、選挙戦に臨むぐらいのつもりで取り組む。それが、今の時代に必要な経営感覚ではないでしょうか。

 

<追記>下記に「社長就任時、社員の心をつかむスピーチ・原稿の作成のポイント」(2014年3月31日付)を掲載しています。https://www.grassroots.co.jp/blog/monolog/2014/03/140331.html

3月4月は年度変わりの企業が多いことから、面談などもそちこちで行われているような気がします。その際に行われるフィードバック。もともとどんな意味があるのでしょうか。

一説によれば、フィードバックというのは、電気工学の用語が語源だとか。「入力と出力のあるシステムで、出力に応じて入力を変化させること」だそうです。軍事用語では「砲弾の着弾点が目標からどのくらいずれているかを射手に伝える」という意味があったり、心理学用語では「行動や反応をその結果を参考にして修正し、より適切なものにしていく仕組み」という意味であったりするようです。

一般に、各企業がどのようなシステムでそれを使っているかはわかりませんが、意外に聞くのは「うちの会社はフィードバックがない」という意見。実際のところはわかりませんが、昔はフィードバックが大切だなどという概念自体がなかったので、それが今も続いていたとしても、まったくもって不思議ではありません。

人は、フィードバックを得ることで視点が広がり、より深く現在地を把握できるようになるといいう考え方に対し、ワタシも同意見です。だからこそ人の成長にとって、フィードバックは重要だと考えています。けれど、その視点で自分の会社を振り返ったときに、どこまでシステマティックに、あるいはコンスタントにフィードバックできているかと言えば、十分にはできていないなという気持ちになります。

一方で、フィードバックというのは、自ら積極的に得ようとすれば、すんなりと得られるものです。要するに「聞かせてください」という姿勢を相手に示せば、多くの場合、何らかの声を聞くことができます。つまるところ、会社の状況とフィードバックが得られない現状とは実は関係がなく、自分次第でいくらでもフィードバックは得られるのです。自分を育てるのが上手な人は、フィードバックを得るのが上手な人です。上司も部下も、双方でフィードバックを大切にしていく姿勢を持つことが必要なのでしょうね、きっと。

さて、フィードバックでは、入力と出力のギャップを明確にすることが重要なのだと思いますが、ということは、入力の「前提」が何だったのかがより重要だということになります。「前提」があって、はじめて検証もでき、問題や原因を探ることができるからです。ところが、この「前提」がとかく曖昧になりがちです。

「前提」というのは、自己分析があって、その上で「だから、こうしよう」という一種の仮説めいた計画をつくることだと思うのですが、多くの場合、自己分析でつまずきます。なぜ、自己分析が難しいのかといえば、たとえばプライドと上手に折り合いをつけることができず、今の自分の弱い点を直視するのが難しいからなのかもしれません。直視すべきは、弱い点だけではなく、強い点もなのですが、後者だけを見つめていては、井の中の蛙になりかねません。両方をバランス良く、素直な気持ちで受け入れることが大切だと思います。自分の弱い点だって、自分の一部なのですから、愛すればいいのですが、なかなか簡単には割り切れないところが人間の人間たるゆえんなのかもしれません。

エラそうなことを書きましたが、フィードバックは上司から部下へとは限りません。上司も、部下からフィードバックを得なくては自分を成長させられません。
なるべく部下の成長に役立てるようなフィードバックをし、と同時に、上司であるワタシ自身も部下からフィードバックを得ないといけませんね。

当社も面談が始まっています。成長に役立つ、前向きなコミュニケーションの場にし、みんながフィードバックされ上手、し上手になりたいものだと思います。

こんにちは。

週末、友人の誕生日パーティに参加しました。
事前に、本人から、その人個人のブランド戦略についてのプレゼンを頼まれていたので、プロジェクターを作って発表したのですが、依頼された意図は、おそらく余興的な意味合いだったのかもしれません。けれど、ご両親や学生時代の友だちを前に、「本気」のプレゼンをしてきました(笑)

題して「○○のブランド戦略と年収3000万円の道」。「年収3000万円の道」は頼まれてもいないのに、ワタシが勝手に付け加えたものです。とてもタレント性のある人なので、セミナーや講演会のエンターテイメント化という新しいジャンルでそのパイオニアになるというのが発表の主なテーマだったのですが、ワタシはその人にはそんな才能があると本当に思ったから、単なる「よいしょプレゼン」ではなく、本気で(ただし、ほろ酔いで)プレゼンをしました。

本人が、まともに受け止めたかどうかはともかく、この経験を通じて、改めて実感したことがあります。それは、ワタシは人の才能やすぐれた点に着目し、それが開花できるように背中を押すのが好きなのだということ。誰しも、いろいろな能力があるけれど、多くの場合、他人から「ここがスゴイね」と言われて、初めて自分の良い点に気づくのではないでしょうか。あまりお世辞は言わないワタシが「スゴイね」と言っているときは、本当に思っているときなのです。そんなワタシが本心から言ったからこそ、自分のこの点はスゴイのかもと本気で受け止めてくれて、その人がその力を生かそうと思うきっかけにしてくれたなら、こんなにうれしいことはありません。

実は、ワタシのこういった傾向は仕事にも通じているのだと思います。光ったものを持っているのに表現下手な企業や、自社の良い点に気づかず、発揮しきれていなかったり、自信をなくしている企業に出会うと、何とか本来の良さを光らせるために後押ししたいという気持ちになります。来月から始まるある外食企業に対するコンサルの仕事についても、源にはそんな心情があります。

120409_ono.jpg今回のパーティはドレスコードが「下町」や「下町の粋」だったので、何十年かぶりに着物を着ました。おばあちゃんの形見の着物です。一度着てみたかっただけにいい思い出になりました。そして、二度とないでしょうね、着物でのプレゼン!

こんにちは、小野です。

月刊「近代中小企業」という定期購読誌(書店売りではない)の5月号で「経営理念の浸透」という特集を行うらしく、その中で私も1コーナーを担当し、原稿を執筆します。何人かの専門家の一人として書くので、特集の全体像について、私は承知していません。本日が原稿の締め切り日です。依頼内容は、4ページ程度の記事になる前提で5000字程度の原稿です。

この特集で私に対する編集部の期待は、クライアント支援サービスという視点からと、経営者として自社経営で経験した経営理念の浸透活動という視点から、汎用的なノウハウや知見を紹介してほしいということでした。

これは僭越な想像なのですが、様々なコンサルタントが執筆する中で、自らが自社の経営理念の社内共有で葛藤してきた人、あるいは経営者の立場で、経営理念とは何か、どうして伝わらないのか、どうすれば伝わるのかについて、トライ&エラーを繰り返してきた人…は、そう多くはないと思っています。つまり、自社の経験や悩みを原点に「社内広報」や「インターナルブランディング」に取り組めるのは、私の強みであり、当社の「強み」だなと、この機会に改めて思いました。

さて、すでに原稿は書き上げました。書くテーマがはっきりしている以上、「5000字、4ページ」というのは、ある意味あっと言う間です。あれも書きたい、これも書きたいと詰め込みすぎると、仕上がりが浅い印象になってしまいます。雑誌の性格からして「浸透方法」というハウツーへの期待は高いのでしょうが、それでも敢えて私は読者の方たちに「経営理念とはなにか?」という問題提起に重きを置いて、事例を交えて書かせていただきました。

みなさんは、「経営理念」とは何だと思いますか。
私は、「経営理念」について、以前はこんなふうに考えていました。
理想の社会像とその中でこんなふうに貢献していたいという理想の自社像である、と。ほかにもいろいろな定義があり得ますが、多くの企業で、概ねそんな理解をしているのではないでしょうか。

それは間違っていないのですが、私の体験では、それだけでは不十分であると今では思っています。なぜなら、私は、社員から幾度となく「当社の存在理由は何か?」とか、「当社のビジョンは何か?」と聴かれ、上記のような趣旨から、それなりに応えたつもりだったのですが、納得してもらえたなかった経験があります。
当時、なぜ納得してもらえなかったのか、私にはわからなかったのですが、今はこう思います。社員が私に尋ねていたのは、単なる「理想の自社像」ではなく、市場において「競争可能な自社像」だったのだ、と。

どういうことかと言いますと、人は誰でも「自分の存在理由」を求めています。だから、自分が所属する「組織の存在理由」も明快であってほしいと望みます。この場合の「存在理由」というのは、どの企業も掲げているようなことではなく、独自性のある考え方や共感できる思いです。他社との違いやそれにもとづく戦略も含まれています。当時を振り返ると、社員は私にわかりやすい差別化を求めていたのだと思います。たとえば、名刺を交換したときに、その数秒の間で自社をどう語るのか、そのようなことが重要なのですね。 つまり、あれもできる、これもできるではなく、エッジを立たせる、削ぎ落すというブランディング視点で「競争可能な自社像」について答えを出すことが求められていたのだと思います。

こうした体験から今回の記事では、「How(どうやって経営理念を浸透させるか)」よりも「What(何を浸透させるか/理念が何か)」の方がよほど大切だという視点で書かせていただきました。

今回、記事を書きながら、この手の話については書きたいことがたくさんあると痛感しました。もう少しボリューミーに体系的に書きたいな、とも。そのためには良いインプットが不可欠です。ご質問やリクエストは刺激的なインプットになるので、ぜひお気軽にお寄せください。

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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