[2010.12.27]
2010年の総決算:お客様満足度調査の実施について
こんにちは、小野です。
今日が2010年最後のエントリーになります。
後5日で年が変ります。皆さんは来年をどんな年にしたいですか?
どんな年になることをイメージしていますか?
ワタシも来年に向けていろいろなプランや新たなビジネスコンセプトを考えていますが、と同時に2010年の総決算というか、課題の棚卸しもしっかりしておこうと思っています。
具体的には「お客様満足度調査2010」を計画しています。つまり、これは今年ご縁のあったお客様、発注してくださったお客様に当社のサービスの評価をしていただき、様々なお声に対して真摯に向き合って改善しようというプロジェクトです。
一般に、顧客満足度調査で重要なことは、お客様の期待とその結果における「ギャップ」がどこにあるのかを知ることです。同じ満足でも、元々期待されていたことに対する満足なのか、そうではなく意外な出来事としての満足なのかによって、意味合いは大きく異なります。反対もしかりです。
しかも、基本はサービス業なので、成果物への評価もさることながら、プロセスへの評価や、もっと間接的なことへの評価もされているはずです。
そんな調査を来年早々実施したいと思っています。
初めてのCS調査ですが、お世辞抜きの本音でご回答いただければ幸いです。
ご多用中誠に恐縮ではありますが、ぜひご協力賜りますようお願い申し上げます。
2010年はみなさんにとってどんな年でしたか?
そして、2011年をどんな年にしたいですか?
さて、以下3行ははおまじない。。。
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思ったからといって,そうなるとは限らない。
でも、そうなるためには、そう思うことが重要である。
なぜなら、思わないでそうなることは極めて稀であるから。
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2011年を良い年にしたいものですね。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
[2010.12.20]
過去の経験にとらわれないための経営サーフィン
こんにちは。小野です。
12月20日の今日は、今年最後から2番目の記事になります。そんなわけで、今年1年間と自社の26年間を振り返りつつ、今という時代について感じていることを書きます。
かつて応用力は環境適応力だった
PR会社として発足したグラスルーツは、84年の創業から数年後に、いわゆるPR会社という立ち位置から広報系の企画制作会社へと軸足をシフトさせましたが、今もその原点にはPR会社の思想というものがあります。企業とステークホルダーとの間のより良い「関係づくり」を行うこと、それが使命でした。ご存知の方も多いと思いますが、PRという言葉は、Public Relationsの略です。
ここでは「関係づくり」と書きましたが、それは絆と言ってもいいし、ツナガリと言ってもいいし、Good Will(好意)と言ってもいいし、Sympathy(共感)と言ってもいいものです。
そうやってPR会社から出発した後、広報系企画制作会社として仕事をするうちに、世の中にインターネットが誕生し、当社もネット系のコミュニケーションついて対応するようになりました。一方で、クライアントのオリエンテーション段階で自社の打ち出し方を整理できていないケースが多いことからブランディングというサービスを加え、さらにブランディングを提供するうちに、今度は決定した経営意思を内部に浸透させることで困っている企業が多いことから、インターナルブランディングのサービスも提供するようになり、今日に至っています。
言ってみれば、社会の変化や顧客ニーズに合わせて少しづつ自社の事業を変化させてきたのです。そうやって20数年サバイバルしてきたのですが、やがて、これまでに経験したことのない大きな波が押し寄せてきました。これはワタシたちの業界のみならず、あらゆる業界にいえることだと思います。きっかけは、みなさんも記憶に新しいリーマンショックによってでした。2008年秋のことです。当時、100年に1度の大不況などと言われましたが、「不況」という言葉では語り切れないということをワタシも早々に理解しました。社会の構造が大きく変わろうとしているのだ、と。
正直なところ、これまでの少々の変化は「応用」で対応してきました。インターネットの誕生を含めて「少々の変化」と語るのは不適切な気がしますが、それでも応用力で適応できる範囲であったと思います。そうです。かつて応用力は環境適応力だったのです。
知識や経験をゼロリセットして新たな文脈をつくる
ところが社会構造の変化に適応するためには、「応用」という発想では適応しきれません。「応用」は原理原則と既存の経験値をベースとするのが基本ですが、これだけ大きく社会が変化するとき既存の経験値はむしろ発想の邪魔をします。だからこそやっかいなのです。
元来、原理を重んじ、応用で生き延びてきたワタシも、「今回の波は応用ではいかん」と思い、「頭をまっさらにして臨むべし」を経営の基本姿勢に、自分に対して頭の切り替えを課しました。たとえていうなら、頭の中のホワイトボードに長年書いてきた数々のことを潔く消し去る作業をしないといけない。なまじ四半世紀も会社を経営してきているので、その経験をリセットするのはかなり骨が折れます。しかも、そうやって頭をまっさらにしてしまうと(しすぎたのかもしれません)、今度はどこを起点に何時の方向に向かっていくのか、既存資産の何を核にし、何を変えるのか、自分の軸を定めるのに随分時間がかかりました。その軸については、今、ここでは書きません。
とにかくここ2年ほど、本、ネット、人から新たな知見を得ることに時間を割き、また新たな知見に影響されすぎていると感じたら、原点に戻るための本を読んだり…。と、まあ、「応用」を出発点にせず、ゼロベースで考えるというのは、ずいぶんエネルギーがいるものです。しかも、なまじこれまでの資産があるからなおさらです。仮にワタシが5年前に会社を創業した経営者であったなら、もう少し話は簡単だったのではないかと思ったりします。
しかし、そうやって勉強し、考え抜いていくと、自分が得た知見とこれまでの経験がふとしたことを境に自分のものになる瞬間がある。たとえば1冊の本を読んだだけだと、「ふーむ、なるほど」で終わってしまうことが、3方向ぐらいから同じような情報(時として異なる情報)を得たり、トライしたのにエラーしたりという経験をすると、自分なりの文脈でそれが理解できるようになります。
文脈がない段階の理解はただバラバラの知識があるだけであるのに対し、文脈ができると、情報と情報が結びついて頭の中に置かれるようになる。理解とは?ということを文脈という言葉を使って定義づけるのなら、「情報と情報、概念と概念を文脈をもって結びつけること」といえます。別の言い方をするなら、1冊の本を読んだだけだと単なる受け売りで終わってしまうことが、複数の情報源×体験になると咀嚼が必要になり、受け売りではなく自分の言葉になる、というようなことでしょうか。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである」「イノベーションは既存概念の掛け合わせから生まれる」などとよく言われますが、結局ワタシが至った結論もその原則に基づくものです。
ありゃりゃ…、ずいぶん長くなってしまいました。
経営というのは、いってみれば時代の波乗り。ワイプアウトせずに(ボードからコケずに)、この大波を乗り越えないといけませぬな。目の付けどころは悪くない。あとは戦術と体制。
なんとかなるという楽観主義は敵。しかも、何とかなるという楽観主義を味方にもしなくてはいけない。経営とは極めて奥が深いと痛感します。
来年が楽しみです。ではまた。
[2010.12.13]
言葉によるコミュニケーション比率は下がっていくのかもしれない
こんにちは、小野です。
週末の土曜日に家のDVDレコーダーが壊れ、ヨドバシカメラにレコーダーを買いに行きました。今日は、その買い物を通じて感じた世の中の変化の兆しについて書きます。
本題の前にヨドバシカメラのCSの話を少し…
さて、本題に入る前にその背景を知っていただきたいので、ヨドバシカメラで感じたCS(顧客満足)に関する話を先に少しだけさせてください。ニュースなどデイリーで番組を録画して見ているワタシにとって、録画ができないというのは痛手です。ワタシの家から新宿のヨドバシカメラに行くには、渋谷で乗り換えなくてはならず、決して最寄りの量販店というわけではありません。それでも敢てヨドバシカメラに行ってしまうのは、毎回訪問するたびに店員の方の豊富な商品知識と顧客対応の良さに感動するからです。それもただの満足を超えて、大抵「感心」「感動」して店から出てきます。
今回も感動したのは、わが家の環境だとCATVが提供するレコーダーを付けなければ録画できない(録画できる保証がない)ことがわかったにもかかわらず、どうすればいいかを熱心に教えてくれたためです。つまり店頭商品を売れない相手だとわかった上で丁寧に説明してくれる姿勢にまず感動。しかも、ご想像の通り、AV機器の相談は、普通の商品の相談よりもはるかに時間がかかります。ワタシが自分の状況や要望を上手に説明できなければ、相手も適切なアドバイスができないからです。その点、ヨドバシカメラのヒアリング力とコンサル力はとても高く、他の量販店では味わったことのない体験をするので、またまた感動するのです。
モバイルデバイスがもたらすメリットとそれに対する小さな危惧
さて、ここからが本題。実は、ワタシは来店するにあたって最近買ったばかりのiPadを持って行きました。というのは、現在家で使っている機器が何であるのか、何と何を接続しているのかをお店の人に示すのに、言葉だけでは自信がなく、WEBの画面を見せるのが早いと思ったからです。別にマニアというわけではないのですが、わが家のAV機器の配線はマニュアルを作っておかなければわからなくなってしまうくらい、ちょっと複雑なのです。
複雑な情報を説明するときに、ひと目見ればわかるものがあるのと、言葉だけで説明しようとするのとでは時間のかかり方が数倍、いや10倍ぐらい違うのではないでしょうか。iPadはワタシが自分の状況を説明するために大活躍しただけでなく、ヨドバシカメラの店員さんがワタシに説明しようとした「なぜ無理なのか」「どうしなければならないのか」を説明するにも役立ちました。彼は「ちょっとお借りしてもいいですか?」といってワタシのiPadを使いながら、情報を検索し、テクニカルな理由やワタシが取りうる選択肢を提示してくれたのです。
この話を聞いて、皆さんはどう思われましたか? ワタシが感じたのは、複雑な話というのは何もAV機器の説明だけではない、ということです。モノではなく目に見えないサービスも然り、保険や金融商品もしかり、IT系システムの話もしかり、年金や介護などの制度もしかりです。iPadなどのモバイルデバイスは、複雑な内容の説明の時間を10分の1に短縮し、10倍わかりやすく説明可能とするツールだとつくづく感じました。
一方で、メリットの裏側で感じた小さな危惧もあります。目でわかるツールがあると、会話の中に「これ」とか「ここ」「この」などの指示代名詞が増えます。言葉に対して横着できるわけです。言語による意思疎通の比率が下がり、視覚によるコミュニケーションの比率が高まっていくとどうなるのか。言語脳の退化が起こるのではないかと、そんな予感がしました。便利なものは、四の五の言わずに便利なのです。でも、言葉で仕事をしている人間として、そんな時代に向かうかもしれないことについて、しばし立ち止まって考えてしまいました。
[2010.12.06]
おかげさまで11月29日に満26周年を迎えました
こんにちは。小野です。
遅ればせながらご報告ですが、先週11月29日にグラスルーツは満26周年を迎えました。俗に20年続く企業は1000社に3社、30年続く企業は1万社に3社と言いますから、今日まで存続できたことは素直にうれしいです。
俗にと書きましたが、本当のところはどうなのだろうと思い、この機会に調べてみました。9月のソフトバンクの30年ビジョンの発表映像でも、孫さんが「調べたところ30年存続する率は0.02%」と語っていた記憶があったので、まんざらウソではないだろうとは思っていたのですが、鵜呑みにするのも良くないと思い、ネットで検索してみました。
結論からいうと、残念ながら発表元のオリジナルのデータには辿り着けませんでしたが、多くの人が2005年の国税庁が発表した統計をベースに語っていることがわかりました。 私もときどきやってしまうのですが、ネットの記事(ブログ等)の安易な点は、ニュース記事にリンクを貼るのですよね。そうするとニュースサイトの記事は時間が経つと消えてしまうので手がかりを見失いがちです。そして、発表元が「国税庁」とまでわかっても、国税庁サイトの検索機能がイマイチなうえに、あるいは国税庁の発表データを元にさらに誰かが計算して出したためなのか、求めるデータはまったくヒットしないということになります。ま、そんな文句は言っても仕方ありません。概要を網羅していたブログ記事を引用します。
国税庁(2005年)によれば、日本の株式会社・有限会社を合わせた全法人数は約255万社。その内、大企業も含めて、黒字企業は3割、7割は赤字だ。設立3年で企業の35%が倒産または解散などで消える。5年たつと、なんと85%が消えてしまう。10年以上存続できる会社は、たったの6.3%にすぎない。20年続く会社は、0.3%。千三つという通り、1000社に3社である。30年続く会社は、0.025%。1万社に 2.5社しか残らない。生き残るのは至難の業、まさにサバイバルレースである。
グラスルーツは20年以上30年未満なので、勝手な想像でいえば、今現在は4000社に1社ぐらいの生存率というところにいるのでしょうか。そう考えると神妙な気持ちになります。
グラスルーツが、今日までなぜ存続できたか。それは神のみぞ知る。
少なくても自意識的に言えば、「自分たちが生き残るためにどうすればいいか」とか「どうやって他社とのサバイバルレースに打ち勝とうか」ということはありませんでした。ハイ、良くも悪くもです。
その自意識を端的に言えば、「クライアントであるお客様にとって『本当に重要なこと』は何か」を最初に考える、同時に「正論ではなく状況的に達成可能なことを考える」。多分、この2点です。
「本当に重要なことを考える」というのは、本当に重要であると考えたら、たとえそれがお客様にとって耳が痛いことであっても伝える姿勢を持つ、ということを意味します。と同時に、「状況的に達成可能なことを考える」というのは正論だけでは解決できないことがあるという現実に対してクライアントサイドに立って一緒に向かうことを意味します。我田引水かもしれませんが、「本当に重要なことを考える」は稀なポリシーだと思っています。なぜかといえば、それを伝えたからといって、当社にとって直接的なトクはないからです。それでも、良心に則って行動する、そんなことを大切にしてきました。
この機会に改めて振り返ってみると、グラスルーツは、26年間、そんな価値観を重視してきたのですね。
これまで存続してきたのは、果たしてそれが支持されたからかどうかはわかりません。でも、もしもそれを嫌う企業が多かったなら存続できなかったような気もします。
これまで、ありがとうございました。
そして、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
以上、26周年の節目に際しての私からのご挨拶になります。