鼻、きかせてますか?
我が家にウクレレベースという楽器がやってきました。
ウクレレくらいの大きさのベースです。
弦はゴムですが、鳴らすとしっかりベース音がします。
弦楽器は、高校生のときにギターにトライし、
指が痛くてまったく弦が抑えられずに諦めてから、
再チャレンジしていませんでした。
ベースを弾けたらいいのになあと思ったこともありましたが、
ギターであんなに指が痛いのに、
もっと弦が太いベースなんて弾けるわけがないと思っていました。
しかし、ウクレレベース、
軽いし、小さいし、弦はゴムだし、もしかしたら弾けるかも。
ちょっと触ってみたら、
なんとなくいけそうな感じです。
早速、ベースを弾けたら、これ弾きたい!
と思っていた曲の譜面を入手。
椎名林檎が作詞・作曲し、
TOKIOに提供した『雨傘』です。
弾いたこともないのに、いきなりそれ?
と言われそうな難易度ですが、
これが弾きたいのですから仕方ない。
たったワンフレーズでも、
できるとテンションがあがります。
さて、この曲、出だしの歌詞はこんな感じです。
「待って。鼻をきかせなよ。
今宵は雨だろう。傘ぐらいたずさえてゆけ」
ちゃんと自分の力を使って感じよう。
自分の力を信じよう。
そんなことを歌っています。
そうですよね。
今は何でもスマホ頼り。
私、Googleなしでは目的地にたどり着けません。
雨が降るかどうかはもちろん
雨雲レーダーでチェック。
自分で空の色や雲の形を見たり、
匂いで判断なんてしません。
でも、雨が降りそうなときの空気、意識してみるとわかります。
とくに雷が鳴る前は、風もなく、音も静かになって、
独特の空気感ですよね。
我が家の猫たちを見ていると、本能ってすごいなあと思います。
マンションの隣の棟のアンテナ先に
カラスを見つけると、身を低くして近づき、
(といっても窓ガラス越しですが)
「カカカ」と威嚇の声を出します。
1日1回、全力で獲物狩りごっこもします。
ものすごいスピードで家の中を移動します。
ああ、あなたたち猫なのね、と感心してしまいます。
そう考えると、人間は生き物感が薄いな、
と思います。
嗅覚も鋭くないし、目も良くない、
最大の特徴である思考力も
スマホ頼りの生活で衰えていっているような気がします。
イギリスのガーディアン紙の記者が
集中力を上げるために、1週間Google断ちをしてみた、
という記事を読みました。
彼は何でもスマホで検索し、
買い物もすべてネットで済ませるという生活でした。
1週間のチャレンジの結果、
彼はやりたいことがほとんどできなかったと言っています。
理由は、なんといっても時間がかかるから。
コーヒーメーカーの部品を取り寄せるのは電話。
まずオペレーターにつながらない。
やっとつながったと思ったら、型番がわからない。
郵送でカタログを手配。そんな調子です。
そんなわけでイライラしただけで、
集中力が上がることもなかったようですが、
発見したことはいくつかあったようです。
たとえば、買い物は路面店のほうが安いこともあるし、
選択肢も多いと気づいた、とか、
電話のオペレーターがとても親切にしてくれたので、
人の優しさに触れられた、とか、
自分はスマホの検索ボックスにただ疑問を
打ち込んでいたのだと思ったが、
疑問を自分の中でアレンジして
打ち込んでいたことがわかった、など。
共通するのは、気づきが得られた、ということでしょうか。
気づき。大事です。
そこから思考が深まります。
テクノロジーは便利ですが、ちょっとスマホの画面から目を離して、
空を見上げてみたり、外の匂いを嗅いでみたり、
周りを観察してみたり、
そういうことを大事にしていけないなあと思いました。
挑戦しやすい雰囲気づくり
ある夜、猫の鳴き声で目が覚めました。
夜中に暇を持て余した飼い猫に起こされるのは、
日常茶飯事なのですが、鳴き方がいつもと違います。
起き上がって声の主を探すと、
冷蔵庫の上で助けを求めていました。
鳴いていたのは2匹の飼い猫のうちの1匹です。
この猫は、猫なのに、身のこなしが軽くありません。
高いところに登るのもそれほど得意ではなく、
もう1匹の猫が、自分の3倍以上の高さの場所へ
音もなく移動するのを下からじっと見ていたりします。
でも、見ているだけではないのです。チャレンジャーなのです。
先日、憧れていた冷蔵庫の登頂に
成功したところを目撃しました。
キッチンカウンターの端っこから、
じっと冷蔵庫の上のスペースをしばらく見つめて、
距離を測り、華麗にジャンプ。
半分ずり落ちましたが、腕力で上がって行きました。
ところが、下山のことは考えていなかったようです。
幅15cmほどしかないキッチンカウンターの
端っこに下りることができず、
この時は、私が段ボールの箱を持ち上げて、
エレベーターのようにして下ろしました。
で、2度目の夜。
一度チャレンジしていますから、
登頂には自信があったのでしょう。
しかし、またもや下りられない。
エレベーター用の段ボール箱がなかったので、
椅子に乗って、だっこで下ろしました。
猫としてそれでいいのか?と思いましたが、わりと表情は誇らしげ。
困った猫です。
さて、何の話かというと、挑戦の話です。
パーソルラーニングが2017年に発行した人材開発白書によると、
25~34歳の企業人の約半数は、
「今の限界を超えてもっと自分を大きくしたい」という
成長志向と自信を持つ一方で、
職場の調和を乱すことなく、
着実な成果を見込めることを
手堅く実行しようとする傾向があるそうです。
半数以上の人は、現状に満足することなく
さらなる成長を目指す意欲を持っているのに、
「場の雰囲気を乱すような発言や行動はしたくない」
「他者から批判されたり、反発されたりしないように
ふるまいたい」という思いから、
場の雰囲気を読むこと、
その場に適したふるまい方をすること、
周囲との衝突を避けて調和をとることに
敏感になってしまうといいます。
同様に、何かに挑戦するときも
周囲からも賛同されること、
確実性が高く労力に見合う見返りが見込めることなど、
着実な成果を見込めることを
手堅く実施しようとする傾向があるといいます。
変化に柔軟でなくてはならない今の時代、
周囲の評価を気にしすぎることなく、
行動を起こすにはどうしたらよいのか。
白書では、ビジョンを持つことだとしています。
「仕事を通して実現したいこと
(ビジョン)を持つこと」
「ビジョンを実現するために実践すること」、
さらに「経験から得た学びをふり返ること」が、
行動を起こす上で役立つとまとめています。
また、ビジョンを持って挑戦する人を
応援する文化が職場にあることも重要です。
シリコンバレーでイノベーションが
持続的に生まれるのは、
失敗しても挑戦し続ける人に寛容な
文化的な特徴があるからだと言われています。
失敗を責めたり、批判したりすることなく、
協力し合って、次の挑戦に向かっていく
そんな雰囲気を大切にしたいものです。