人類最速の舞台へ!
陸上の桐生祥秀選手がゲストコーチとして指導する
かけっこイベントに次男が当選し、週末、参加してきました。
応募者4400人から選ばれた200人に入ったらしく、ラッキーでした!
とはいえ、200人も参加するのだから、
桐生選手はステージで少し指導するくらいだろうと予想していました。
ところがご本人、さらっと登場し、
参加者の目の前ですべてのトレーニングの見本を見せてくれました。
子どもたちと一緒に走ったり、話しかけてくれたり、とっても親切。
100mを9秒98で走る人の動きを、じっくり観察することができました。
それにしても、コンマ何秒を縮めるために、
トレーニングを重ねる陸上競技、
チームスポーツの経験しかない私から見ると、
とても気が遠くなりそうな世界です。
試合で勝った、負けたがなく、ただタイムがシビアで出るのですから。
完全に自分との戦いですよね。
解説者の為末大さんも、以前テレビで、
陸上競技は練習した成果が出るのが1年後だったりするので、
自分を信じて我慢してトレーニングを続けなければいけないと語っていました。
ところが桐生選手、かけっこイベントで、
「陸上はタイムが出るので自分が成長していることがわかって楽しい」
と話していました。小学校の頃はサッカーをしていたそうなのですが、
サッカーでは自分がうまくなっているのかどうかを感じることが難しい、と。
なるほど、そんな考えもあるんだなあ。
楽しいと感じているから強いんだな、と思いました。
リオ五輪で桐生選手らが男子400メートルリレーで銀メダルをとったとき、
私は大興奮しました。
陸上のトラック競技で日本人が銀メダルをとるなんて、
人類最速の世界に日本人が入っていくなんて、信じられない思いでした。
翌年、桐生選手が9秒98というタイムを出したときは、
これは本当にすごいことになっていく!とドキドキしました。
為末さんはこう解説していました。
「すべてのスポーツで、日本選手というのは、
フィジカルが弱い、だから技術を鍛えるんだと言われてきたが、
これだけ身体能力が影響する陸上100メートルで9秒が出ると、
日本人はフィジカルが弱い、って思い込みは捨てた方がいいんじゃないか。
それ自体がただの思い込みだったのではないか」
世界最速の男、ウサイン・ボルトも昨年来日した際に
「多くの日本人選手から自信を感じた。おそらく2年で10秒を切るだろう」
と語っていました。
桐生選手が9秒台を出したのはその4日後でした。
思い込みを捨てて、自信を持つ。そして楽しむ。
この力はやはり偉大なんですね。
これを実行するのは決して簡単なことではないですが、
どんな世界にいても通じることだなと思います。
さて、東京五輪もすぐそこ。
桐生選手のほかにも9秒台を狙う日本人選手が何人もいます。
人類最速の舞台、今からワクワクしてきます!
心がザワッとしたっていい
次男が図書館から『十五少年漂流記』を借りてきたので、
一緒に読んでいます。
SFの父とも呼ばれたジュール・ヴェルヌが1888年に発表した作品。
15人の少年が無人島に流れ着き、力を合わせて暮らしていく話です。
小さい頃、秘密基地作りが大好きだった私も大好きな作品でした。
さて、本の中に、大きなウミガメを捕まえる場面があります。
少年たちがみんなで協力してどうにか捕え、
そこから20キロ以上の肉をとることができて、
船の食料がだいぶ助かった、と書かれています。
ここで我が家の次男は「え? 食べるんだ」と、
ちょっとびっくりしながら言いました。
確かに、ウミガメは助けなくてはならない、
保護しなくてはならないというテレビ番組や本をよく目にするので、
驚きなのかもしれません。
無人島に流れ着いたんだから、
食料にできるものは何でも捕まえなくてはならない状況なのだ、
と説明しました。
これをきっかけに、
今の子どもたちが観るアニメや本の内容について考えていて、
気づいたことがありました。
それは、今は「それはちょっとひどい」と思ったり、悲しい思いをしたり、
怒りの感情が芽生えるような内容のものがほとんどないなあ、
ということです。
私が子どもの頃は、世界名作劇場というテレビアニメがあって、
『フランダースの犬』や『母をたずねて三千里』などが放送されていました。
いじわるな大人がたくさん出てきて、主人公がかわいそうで、
毎週観終わった後に胸がザワザワして眠れませんでした。
今、そういう思いをするような内容はあまり見かけませんね。
子どもの教育に適していないと思われているのか、
勉強不足でよくわからず申し訳ないのですが、
私は、楽しくて前向きになる話ばかりじゃなくていいのではないかなあ、
というより、悲しんだり怒ったりする感情がわいてくる内容も、
心を育てる意味で必要なのではないかと思ってしまいます。
(あ、描写が残酷なアニメは流行っていますね、、、。
感情のバランスがどうなってしまうのだろうとちょっと心配になります)
以前、20代の女性と話していたら、
「怒るのが苦手。怒るってどうするのかわからない」と言っていました。
怒るという感情自体がとても嫌、だから感情的にならないようにしている、
という話も聞きました。
楽しい感情はマル、悲しみや怒りの感情はバツ。
そんなふうに思っていると、健康に過ごせなくなりそうです。
悲しいときには悲しみ、ムッとしたときには怒る。
心がいつも穏やかでなくてもいい。ザワッとしたっていい。
そう思います。
2015年に公開されたアニメ『インサイド・ヘッド』も、そんな内容でしたね。
なんて言っていますが、我が家は、
反抗期少年との戦いで心がザワッとし過ぎる毎日。
でも、これも健全なことだなあと思って今年も幸せに過ごすことにします!