ディレクターの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーです

ブログ:2020年10月

スタッフの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーアベログ

日本で暮らす外国人から、
日本の文化や風習について様々な意見をもらい、
日本のいいところを再認識しよう、
という趣旨のテレビ番組『Cool Japan』。
番組MCで演出家の鴻上尚史氏が
ある時、雑誌でこんなことを書いていました。


「よく外国人に言われるのが、日本人の笑顔について。
日本人は真剣な話をしているときにも笑う。
自分の意見を言った後も笑うし、失敗しても笑う。
怒っているときも笑う。
ノーと言った後も笑う。
不思議だ、と彼らは言います」


なぜ、日本人は真剣なときや怒っているときでも笑うのか。
実際に番組で日本人の笑顔について
取り上げたときに、外国人から出た意見は、
次のようなものだったそうです。


「自分の意見を言うことが
相手にとって失礼だと思うからじゃない?」
「相手を失望させたくないから笑うのでは?」
「自信がないんじゃない?」
「いつだって場を和ませたいと
思っているから笑うのでは?」
「日本人は、いつでも笑顔でいなくては
いけないと思っているからじゃない?」
「いつも笑顔で、は違う。
廊下を歩いているとき、知らない人と
目が合っても日本人は微笑まない」


うむ・・・。どの意見も
当たっている気がしますね。


その場を和やかにしたい。
反対意見を言って、場を乱したくない
(でも、反対意見は言うから、せめて笑うことで和ませたい)。
意見は言うけど、自信がないから笑顔でごまかす。
断言する感じになると、
気が強い人だと思われるから、笑顔で和らげる。


「社会」の存在が大きい日本人の間では
普通に行われていることですが、
グローバルな視点で見ると、やはり奇妙ですよね。


脳科学者の中野信子氏は、
日本人の笑顔についてこう説明しています。


「笑顔には大きく分けて2種類あります。
おかしくてつい、思わず笑ってしまう、
いわばボトムアップ型の笑い。
そして、社会的な場面に合わせて笑顔を作る、
脳内プロセスとして意思が笑えと命じて
笑いを演じる、トップダウン型の笑いです。
日本人には後者の笑いが多いということが
調査からも知られています」


「日本人にとって笑顔は単なる感情表現ではなく、
社会性を形成する重要な要素であり、
相手に対する礼儀や思いやりでもあり、
自分の心を守るための戦術で、
日本社会で生きていくためには
外せないスキルの一つなのでしょう」


確かにそうかもしれません。
考えてみると、笑顔の役割が多すぎる。
でも、脳が命令するスキルとしての
笑顔ばかりだと疲れちゃいそうですよね。


無理に笑顔を続けているうちに、
職場や友人とのやり取りの場面ばかりでなく、
家族の前でさえも作り笑顔が消えなくなってしまう
「スマイル仮面症候群」
というものがあるのだそうです。
精神科医である夏目誠氏が名付けた症状で、
笑顔の仮面を外すことができなくなり、
心身に負担がかかっている状態を指します。
夏目氏によると、そういう状態にある人は、
自分が笑顔でいること、笑っていることに
気づいていないことが多いのだそうです。


いつも笑顔の人は穏やかに見えるし、場を和ませるのも事実。
でも、だからと言って、どんなときも
無理に笑顔でいる必要はないですよね。


「私、今、怒っているのに、笑っていたかも」
自分の笑顔に意識を向けて、
笑顔のクセに、少しずつ気づいていくことが
大切なのかもしれません。

ベランダで日よけのために育てていた
フウセンカズラが9月に入ってからぐんぐん伸び、
もうツルが絡まる場所がありません。
それでもどんどん伸びるので、
上のほうで行き場を失い、
ツルがお互いに絡み合ってモサモサになっています。


フウセンカズラは、花が咲いた後に
緑の小さな風船をつけますが、
モサモサで、大混戦状態にもかかわらず、
上のほうに風船を多くつけていることに気づきます。
なるべく遠くに種を落とすためなのかもしれません。


遠くに種を落とすと言えば、
ネットで映像を見た
アルソミトラ・マクロカルパという植物の
種の飛ばし方がステキでした。
蔦性の植物で、森の高い木に絡みつき、どんどん上へと伸びて、
高い場所で大きな実をつけます。
実が熟すと、実の下の方に穴が空いて、
中から透明の羽を持ったような種が
ハラリ、ハラリと空中へ放出されます。
種は、グライダーのようにゆっくりと
空を舞い、遠くへ遠くへと飛んで行きます。


遠くへ種を飛ばすために、綿毛を持ったり、
人に運んでもらおうと、服にひっかかりやすいように
棘を持ったりする植物は知っていますが、
グライダーのように飛んでいく植物を見たのは初めてでした。
賢いですよね、植物は。


さて、植物がなるべく遠くに種を
運ぼうとするのはもちろん子孫を増やすためですが、
アルソミトラ・マクロカルパの映像を見ながら思ったのは、
人間もいつまでも成長するためには、
遠くに行って、遠くの景色を見たり、
いつもとは違うことをして、
好奇心を維持しなくてはならないなあ、ということ。


『「好きなこと」で、脳はよみがえる』の
著者、瀧 靖之氏によると、
「知的好奇心」を持つ人の脳は
老化しにくいのだそうです。


「知的好奇心」とは、知りたい、学びたい、
達成したいといった気持ちのこと。
こうした気持ちを持っていると、
脳内にドーバミンが分泌され、
「前頭前野」が刺激されるといいます。
前頭前野は、思考を深めたり、
コミュニケーションをとるなど、
人間らしくイキイキと生きるための能力
「高次認知機能」を担当する場所です。


仕事や勉強、趣味にイキイキ、ワクワク
取り組んでいる人ほど若々しいのは、
実際に脳が若いからなんですね。


実は、前頭前野は、子どもの頃に発達するのではなく、
10代から20代にかけてできあがっていくのだそうです。
ちなみに、子どもの脳は、
後ろ(後頭葉)から前(前頭葉)に向かって発達するのだそう。
小学生の子どもは、なかなかしっかり
コミュニケーションがとれないけれど、
中・高校生になると、だんだんと話が通じるようになるのは
そのためなんですね。納得。


瀧氏によると、大人になって年を重ねると、
脳は、子どもとは逆ルートで萎縮していくそうで、
まず、思考を司る前頭前野に影響が出るのだそうです。
高齢になると、だんだん話が通じなくなるのは、
このためか・・。これまた納得。


そう考えると、ワクワクする、楽しい、
もっと知りたいと「知的好奇心」を持つことは、
本当に大切だと実感します。


とはいえ、いきなり新しい勉強って
いってもハードルが高いし、
新しい仲間を作るのも面倒、と思う方もいるかもしれません。


その場合は、いつものルーティンの順番を
変えてみるのはどうでしょう。
いつもの道ではない道を通ったり、
いつも買い物をしている店ではない店に立ち寄ってみたりすると、
意外な発見があるかもしれません。
また、しばらく会っていない友人に
声をかけるのもいいかもしれませんね。
そこから新しい人間関係が生まれる可能性もあります。


もう10月(ひいいー)。
涼しくなったので、
知的好奇心をもたらすアクティビティーに
とりかかりやすい季節です。
アルソミトラ・マクロカルパの種のように、
ふわーっと飛んで
新しい世界に触れたいものです。

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