恐怖に打ち勝つには
ラグビーW杯準決勝、残念でした、、、
試合前、そして直後に選手たちが見せた涙、
そしてその後の笑顔、
いろいろな思いを感じて、じーんときました。
今回のW杯を通じて、ラグビーに全然詳しくない私も、
少しはプレーを理解できるようになりました。
でも、やはり目が行くのはプレー内容よりも、
あの激しいぶつかり合い。
防具一切なしで、あの勢いでぶつかるなんて、何度見ても信じられない。
「わ、痛い!今のは痛い!」
「今、骨折れたんじゃない?」
試合を見ながら、何度も口にしてしまいました。
それにしても、選手たちは、怖くないのでしょうか。
あんな大男たちが、前から突進してくる。
大男たちに全力で突っ込んでいく。
本能的に恐怖を感じてしまいそうです。
元ラグビー日本代表の平尾剛氏は、
初めてサモア代表チームと試合をしたとき、
相手選手の気迫に圧倒され、試合前から恐怖を感じたと、
著書『近くて遠いこの身体』で書いています。
このとき、平尾氏は試合開始15分で
肩を脱臼してベンチへ下がったそうですが、
それはたぶん本能的に恐怖を感じて、
ひるんでしまったからだと語っています。
そしてこの恐怖はその後も、完全に消えることはなかったといいます。
平尾氏の「恐怖」との向き合い方についての考えが変わったのは、
ニュージーランドの「オールブラックス」出身選手に
こう聞いたときだったそうです。
「プレーで恐怖は感じない。
その選手一人だけを見たら、怖いと思うかもしれないが、
タックルの技術とシステムとしてのディフェンスが確立されていたら、
チームで止められるからだ」。
個人対個人で見ると、恐怖は消えない。
でも、戦術をしっかり実行できるチームで挑んでいると思えば怖くない。
平尾氏はこのとき、彼らが自分の想像を遥かに超えたレベルで
ラグビーをしていたことを知り、驚いたのだそうです。
なるほど。
代表選手レベルでも当然恐怖を感じるけれど、
それを技術とシステムを確立した
集団の力でおさえ込んでいるんですね。
そのためには、とてつもない練習量をこなすことが必要。
今回の日本代表の選手たちが
「4年間、いろんなものを犠牲にして頑張ってきた」
という内容のコメントをしていましたが、
想像を絶する努力で、チームの力を築いたんですね。
「ONE TEAM」って、
そういうことでもあったんだ、と思いました。
そうか。考えてみたら、
『ワンピース』も『アベンジャーズ』も、
そういうことですね。
仲間たちを信じて、力を合わせるから恐怖に打ち勝っていけるんですよね。
さて、これをビジネスの現場に
置き換えてみたらどうだろうと考えてみました。
「恐怖」を感じるのはどんなときだろう。
思い当たったのが、「発言」する場です。
たとえば会議の場ですでに出ている意見とは
異なる意見を持っているとき。
こんなこと言ったら変だと思われないだろうか、
こんなこと言って会議の流れを止めてしまったら、
後で上司に何か言われるのではないか、と感じてしまう。
そこで抱いているのは
小さな「恐怖」なんじゃないかな、
と思いました。
このとき、自分一人だと思っていると、
なかなか発言できないのかもしれません。
でも、プロジェクトチームだったり、
課だったり、組織で発言していると思うことができれば、
恐怖は和らぐのではないでしょうか。
そう考えると、必要になってくるのは、
やはりコミュニケーション。
普段からしっかりコミュニケーションをとり、
関係を築くことが大切だと感じました。
あ、ラグビーのぶつかり合いからの連想が
こんなところまできちゃいました。
今週もすてきな1週間を。
バランスと演出
学園祭シーズンです。
先週、高校で軽音部に入った
息子のライブを聴きに行ってきました。
本番の数日前、
ライブでは3つのバンドに出ると息子がボソッとつぶやきました。
「3つのバンドって何曲やるの?」と聞くと、
「7曲くらい? 知らね」との返事。
おいおい、知らんのかいな。
当日、一緒に行くのを楽しみにした次男も、
「お兄ちゃん、弾けるの?」と心配する始末。
まあ、反抗期という
長いトンネルに入っているので仕方ないか。
家にいるときはほとんど自室から出て来ず、
4月に買わされた、なかなかの値段の
ベースを弾いているんだか、いないんだか。
そんなわけで、
当日はおそるおそる聴きに行きました。
会場を見渡すと、
次に演奏するバンドがステージの近くに座っていました。
息子の姿もありました。
が、手にしていたのはドラムスティック。
ドラム?
なんと息子は最初の曲はドラムを叩き、
2曲目以降、ベースを演奏していました。
しかも、予想よりもいい。
これにはびっくり。
知らないところで、いろいろできるようになっていくんだなあ、
と思いました。
おそるおそる聴く必要がなくなったので、
その後、私たちはすっかりリラックス。
2つの会場で行われていたライブを
行ったり来たりしながら、結局、
朝から夕方まで音楽を堪能しました。
そして、楽しみながらも、あることに気づきました。
やっぱり、バンドも全体のバランスと、
強弱を含む演出が大事だな、と。
高校生の軽音部なので、レベルはバラバラでしたが、
うまい子たちが集まったバンドはすごい迫力。
何が違うかというと、ボーカルも含めた、
それぞれの楽器のインパクトです。
メリハリがあると言ったらいいのでしょうか。
たぶん、各楽器の演奏がうまかったことに
加え、アンプの調整など、
バンド全体の音のバランスコントロールもよかったのだと思います。
さらに、曲ごとの、楽器の際立たせ方も
上手だったように思いました。
何より、ステージ慣れしているようで、みんな堂々としている。
だから全体の印象がはっきりしていて、
強いパワーが届くように感じました。
保護者に配慮したのか、あるバンドは、
90年代初頭のアメリカのロックばかりを
演奏していましたが、
(次のフレーズのギター! 次、次)と
こちらが期待を膨らませたところで、
期待通りの音を、期待通りの強さでくれるので、
何度も叫びたくなりました(叫びませんでしたが 笑)。
聴かせどころがわかっているんだなあ。
ところで、先ほど、バンドも全体のバランスと、
強弱を含む演出が大事だな、と書いたのは、
この感じ、職場やスポーツのチームワークと
似ていると思ったからです。
ボーカルのような主役だけではなく、
それぞれの役割が際立つこと、
それもベストのタイミングで際立つこと。
そこも含め、全体のバランスコントロールが
うまくいくと、たとえばプロジェクトが
成功したり、試合に勝利したり、
するんだろうなと思いました。
なんてことをたまに思いながら、
息子たちの演奏を聴いていたので、
今思うと、音に合わない頷きを
していたかもしれません。
独特の間合いだな、と思われたかな。