ディレクターの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーです

ブログ:2018年5月

スタッフの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーアベログ

大人ってどうして、
「納得」したり「理解」したりしたいんでしょう。


先日、ふとそう思いました。


例えば、子どもが好きなマンガがあるとします。


「へえ、それ、おもしろい?」
「うん」
「どういう話?」
「えっとね、、、怖い学校に行く話」
「だれが? どういうこと?」
「、、、、(めんどくさい)」


なんてこと、ないでしょうか。
私は知りたがりなので、どんどん聞いてしまうのですが、
これ、子どもはうんざりしますよね。


思い起こせば子どもの頃、興味を持つ理由は、
「おもしろい」「かわいい」「かっこいい」で十分で、
子ども同士のコミュニケーションは、
それだけで満足できていたように思います。


でも、大人になるにつれて、
どうしてこの人はこれをおもしろいと思っているのか、
なぜこれをかわいいと思うのか、
背景にある理由が知りたくなってきます。


一つ目は仕事をするようになると、
背景を知ることが必要になっていくからだと思います。
商品を開発するには、
今こういうものが流行っている、こういう理由のようだ、
というような分析が必要になりますし、
私のような編集や制作の企画をするときも、
そこをしっかり把握することでブレないようにするわけです。


二つ目は、人に興味を持つようになるから。
学校や社会でいろいろな人と出会う中で、
この人のことをもっと知りたい、
という気持ちになるのではないでしょうか。


そして三つ目。
これは二つ目とつながるかもしれないのですが、
大人になると「納得」したい、「理解」したい、
という欲が強くなるからではないかなと思います。
「なるほどね」と思いたくなってしまう。
私はそうです。「そうなんだ! なるほどね!」は気持ちがいいですから。


でも、これ、気をつけないとコントロール欲につながる場合もあるようです。


根本裕幸さんというカウンセラーの方がこんな例を挙げています。
好きな人から別れを告げられたが、理由がよくわからない、というケースです。
「納得できない」「理解できない」から、
「納得したい」「理解したい」ために、
会って話を聞きたい。
でも、この場合の本当の目的は、
「納得」するためでも「理解」するためでもなく、
よりを戻すため。
これは「納得できないという執着」なのだそうです。
だから、相手からどんな説明を受けても、納得も理解もできないのです。


我が家でも、似たようなことがありました。
思春期ど真ん中の長男との関係です。


反抗期に入りたての頃は、よく聞いていました。
「どうしてそんなことしたの?」「どうしてそんな言い方するの?」。


しかーし、相手はティーンエイジャーです。
まさに「理由なき反抗」なわけです。
質問をしながら、私もそのことをうすうすはわかっていました。
でも、なぜか聞き続けてしまう。
それは、今思い返すと、
「そういうことはしてはいけない」「そんな言い方をしてはいけない」と教え、
行動や言動を修正させたかったのです、たぶん。
無意識に、
小学生のときみたいないい子(ではなかったですが、、、笑)に戻ってほしいなあ、
と思っていたのかもしれません。
だから、質問して彼なりの理由が出てきたところで、
「ふーん、それならしょうがないか」なんて、ならなかったでしょう。


カウンセラーの大門昌代さんは、
自分は「納得」したいと思っているだけなのに、
相手にとっては「説得」になっていることがあると言っています。
自分の中のモヤモヤを消そうと思ってどんどん質問してしまっているときは、
一瞬、相手の立場に立ってみる。
相手にとって、
「説得されている」「コントロールされている」状況になっていないか、考える。
そう感じたら、やめる。
これが大切なのだそうです。


わー、いろいろ思い当たる、、、
これから気をつけます!

「一番怖いのは、理由もなく怖がることよ」


これは、ディズニーのアニメ『ズートピア』で、
主人公のウサギ、ジュディが、
見事ウサギ初の警察官となってズートピアという都会へ旅立つときの台詞です。
ウサギが警察官になるなんて、しかも大都会で...と心配する両親が
ジュディにキツネよけスプレーなどのグッズを渡す場面で、
ジュディがこう言うのです。


この映画、2016年の公開時に劇場で観ているのですが、
次男が録画したものを繰り返し家で観るので、
私も10回以上観ているかもしれません。
それでも毎回、感心してしまう。
大人にとって学びが多い作品だからです。
思い込みや偏見についてすごく考えさせられます。
ご覧になっていない方はぜひどうぞ。


さてさて、「理由もなく怖がること」で、
先日読んだ新聞記事を思い出しました。
その記事は、愛知県の蒲郡市にある竹島水族館について書かれていました。


竹島水族館は、イルカもラッコもいない、
サメが泳ぐ大水槽もない小さな水族館。
それでも休日は、朝から行列ができるほどの人気だそうです。
人気の秘密は、飼育員による手書きの解説。
たとえば、
仰向けに寝る習性のあるために死んでいると勘違いされるオーストラリアハイギョの水槽には
「安心してください。生きています」と書かれた解説が。
学術的な解説よりも、そのキャラクターや生い立ち、
食味などをていねいに手書きで紹介したことが
来館者を増やすきっかけになったそうです。


あ、「理由もなく怖がること」の話、でしたね。


実は、この手書き解説の取り組みは7年くらい前にスタートしたもの。
それまでは、閉館寸前の田舎の小さな水族館だったそうです。
来館者がほんの15分ほどで、つまらなそうに帰って行く姿を見て、
当時新人であった現在館長の小林さんは、
新しい取り組みを次々と上司に提案しました。
水族館の裏側を見せるツアー、飼育員が水槽の前で解説する、などです。


でも、実績がない新たな取り組みはどんどん却下されたそう。
そうしているうちにも来館者は減り続け、
とうとう解説板を注文することもできないほどになりました。


そこで小林さんが行ったのが、今や大人気となっている手書き解説。
しかし当時、これを水槽に貼ったところ、
「手書きなんて」「内容がふざけている」と反発にあったそうです。
はがされて机の上に置かれていたこともあったとか。


それでも、小林さんはあきらめず、
手書き解説を貼り、読んでいる来場者の様子を観察し、
滞在時間が長くなったことを数字で上司に示し続けたそう。
そうして、少しずつ周囲の理解を得ていった結果、
来場者が少しずつ増えたのだそうです。
さらに、竹島水族館で働きたい!という人が増え、
1人の求人に80人の応募がきたこともあったそう。
来場者が増えるのはもちろんですが、
一緒に働きたいと思ってもらえることは、
小林さんにとってすごく嬉しかったでしょうね。


それにしても、やったことがないことをやろうとすると、
はっきりした理由もなく反対に合い、
なかなか先に進めないということは、
職場ではよくあることだと思います。
新しいことやチャレンジに対して、
前例がないなどの理由で反対するのはやめたいですね、
というようなことはよく言われますよね。


でも、思わず反対してしまう反応は、考えてみると自然なことです。
「新しいことがうまくいくかどうかわからない」「失敗するかもしれない」
という思いは誰にでもあるもの。
とくに竹島水族館のように経営が厳しい状況のときは、
新しいことを始めようという前向きな気持ちにはなりにくいのですよね。


脳神経科学的にも、この反応は自然なのだそうです。


脳×教育×ITの掛け合わせで、
世界初のNeuroEdTechという分野を研究しいている青砥瑞人さんによると、
新しいものに出会った時、脳は太古からの反応により、
「もしかしたら、それは自分の生命に危害を加えるかもしれない」
と守りに入ってしまう。
なので、新しいものに対してネガティブな反応が出てしまうのは、
自然なことだと言います。


では、どうやって挑戦する方向へシフトするのか。
青山さんによると、
まずは不安でビクビクしている自分に気づくことだといいます。
不安に思っている自分に気づいたら、
「命の危険がありますか?」と問いを立て、
そこで自分がどう感じているかを俯瞰的に感じ、認めること。


さらに、新しいことは大抵失敗し得るものであること。
失敗したときは「ネガ反応」が出るということも
しっかり頭に入れておくことが大切だといいます。
こうして、一つ一つ自分の反応を認めていくことが、
ネガティブをポジティブに変えることにつながるのだそうです。


なるほど。
私は、自分のことは後先考えずにやり始めるタイプです。
そこでうまくいかなくても失敗と認識しない楽天家。
そういえば、「死ぬわけじゃないし」とよく思っていた気がします。
でも、身近な人のことになると話は別。
不安や心配がかなり出てくることに気づきました。
心がザワザワするときは、そう感じている自分に気づき、
認めることが必要なんですね。
そして、うまくいかないときの反応にも準備しておく。
なんだかちょっと安心したような気がします。

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