「いい情報もらった」と思ってもらうには
先日、息子たちとサッカーシューズを買いに出かけたときのこと。
向かった店は、わりと専門性の高い店で、
今までもそこでシューズやらボールやら、いろいろと購入してきました。
店に入ると、ディスプレイしてあったシューズが
偶然次男のサイズと同じだったので、試着。
そこへ店員の男性がやってきました。
見たことがない人だったので、新しい店員さんだと思いました。
紐を結び終えたシューズの足を外から無言でタッチし、
彼はこう言いました。
「大きすぎますね。これは転びますよ。
足も遅くなるし、シュートもミートしません。
外反母趾にもなります」
次男のシューズは前回も同じ店で購入し、
同サイズを半年以上履いています。
私は「!?」と思い、こう言いました。
「ええと、前回もこちらで購入して、
これでちょうどいいと本人も言うので、
もう半年以上このサイズなんですが」
すると彼、
「お子さまの感覚ですからね、正確ではないです。明らかに大きいです。
大きいサイズに慣れちゃったので、
そう言っているのではないですか?」
そして続けて、次男にこう言いました。
「サイズ、どう?」
大きすぎる、という会話をずっと聞いていた次男は答えました。
「まあまあ、ぴったり」
すると彼、
「まあまあ、ぴったりって答えはないよね。
小さいか、ぴったりか、大きいかだよね。
ぼくがさっきから大きいって言ってるから、
そういう答えなの?」
こりゃ、だめだ、ここじゃ買えないわ、と思った私。
立ち上がろうとした瞬間、その様子をそばで見ていた、
反抗期中の長男がこう言いました。
「おれ、この店で買わねえ」
店員さんは、そこではじめて雰囲気の悪さに気づいたようで、
小さいサイズをすすめることもなく、
急いで店の奥に消えていきました。
この日、私たちはほかの店で無事シューズを購入できましたが、
私はこの店でのやりとりがかなりひっかかりました。
どうひっかかったかというと、
あの店員さんは、何がしたかったのだろう、と思ったのです。
だって、店員である限り、売りたいのは当然。
はじめから客を怒らせようとするわけはありません。
で、気づきました。
彼はコンサルティングがしたかったんだなあ、と。
「みんな少し大きいサイズを履いている。
でも、それは正しくない。
もっとパフォーマンスをあげるために、
長くサッカーを続けるために、
正しいサイズを履かなくちゃいけない。
専門知識がある僕がきちんと教えてあげなくては!」
そんな感じだったのかもしれません。
その思いが強いばかりに、上からの口調になってしまい、
結果、相手を否定することになってしまった。
そんなところではないでしょうか。
もし、私が「正しいシューズ選びセミナー」という
講演会を聞きに行っていて、
そこであのやりとりがあったなら、
たぶん「いい情報もらっちゃった」と思ったでしょう。
でも、私はその店にシューズを買いに行ったのです。
買いたかったのに、その思いが消えてしまった。
彼が言っていた情報自体はいい情報だったのに、伝え方が間違っている。
もったいないですよね。
と、ここまで考えて、またまた気づきました。
こういうことは、仕事をしている中で起こりがちだ、と。
たとえば、クライアントと接していて、
もっとこうするとよくなりますよ、と伝えたいとき。
たとえば、スタッフに、
こうするといいんじゃない、を言いたいとき。
その思いが強すぎると、
相手から見ると押しつけのようになっていることがあります。
こちらは、相手のことを思っているつもりなのですが、
相手は否定されたようにしか感じない。
よくあるのではないでしょうか。
そしてこれ、家族感や友人間でも起こりますよね。
よかれと思ってしているのに、
そう伝わらないとしたらもったいない。
「こうしたらいいかも」を思いついたときは、
口に出す前にまず相手の立場に立って考える。
相手を否定するような言い方にならないように注意する。
このワンクッションをもっと意識しなくてはいけないと思いました。
相手に「いい情報もらっちゃった」と思ってもらいたいですもんね。
さて、今日で7月も終わり。
本格的な夏が始まりますね。どうぞすてきな1週間を!
「緊張」はリスペクトの表れ
先日、友人たちと「緊張」についての話題で盛り上がりました。
私の友人たちはリラックスタイプが多く、
緊張しがちな人が少ないように思うのですが、
それでも若い頃は緊張からくる失敗がいろいろあったようです。
ある人はバイトの面接で緊張しすぎて、
その場から走って逃げたと告白。
またある人は、職場で、大事な話があると言われただけで、
緊張して泣いてしまったと言い出し、、、。
大人になったよね、私たち、と言って大笑いしました。
大阪ガスグループが発表した調査結果によると、
「自分は緊張しやすいタイプ」だと認識している人は
8割を超えるそうです。
仕事で一番緊張するシーンは、
「社外でのプレゼンや発表の時」(38.0%)が最も多く、
次いで「初対面の人と話す時」(21.0%)、
「外国人と話す時」(12.4%)。
緊張防止のための事前策については、
6割以上(62.7%)が「ない」と答えていて、
女性に比べて男性の方が対策に無頓着な傾向が高く、
年代が上がるほど対策を講じない人が多いとのことです。
ちなみに、事前策があると答えた人に聞いた具体的な行動としては、
会議に参加するメンバーのリサーチや資料作成などの「入念な事前準備」、
自分の発言や行動を事前練習する
「イメージトレーニング」や「シミュレーション」などでした。
『NHK式+心理学 一分で一生の信頼を勝ち取る法』の著者で、
スピーチコンサルタントの矢野香さんによると、
緊張するのは「いいこと」なのだそうです。
なぜなら、
適度な緊張感は、その話の聞き手、
その話をする場に対する尊敬(リスペクト)の表れだからだそうです。
相手に話をすることを大事に思っているからこそ、緊張する。
もしも人前で話すときに緊張を感じたら、
「このスピーチを大切に思っているんだな。いいこと」
と思うべきなのだそうです。
大事なことは、その適度な緊張を保つコントロール法を知ること。
それはつまり、緊張するような状態をやめるということだといいます。
むむむ? どういうことだ?と思いますよね。
矢野さんによると、
「緊張シーンで、やってはいけない行為ワースト5」があるのだそうです。
それが次の5項目です。
●ワースト第5位 「まったく緊張しない」
緊張感をまったく持たないで話す場に臨むと
「態度の失礼な人」という印象が、
話の内容よりも如実に伝わるのだそう。
「私、まったく緊張しないんですよ」と自慢げに言うのも
やめたほうがいいそうです。
●ワースト第4位 「準備不足」
準備不足は、不安感をあおり、結果として緊張を高めてしまいます。
「ここまで準備をしたから大丈夫」と自分が納得するまで、
しっかり準備をして臨むようにするといいそうです。
●ワースト第3位 「間違った深呼吸」
深呼吸は「吸って、吐いて」という順番だと思っていますが、
これはますます緊張を高めるそう!
緊張で身体が過呼吸の状態になっているときは
「吐いて、吸う」が正しいのだそうです。
まずは息を吐ききって、次に口を押さえて鼻から息を吸い、
その後は自然に息をスーっと口から吐くといいそうです。
●ワースト第2位 「手を身体の前で重ねる」
お辞儀をするときのように手を前で重ねると、
身体に余計な力が入り、ますます緊張するのだそう。
両手は身体の横に自然に沿わせるのだそうです。
●ワースト第1位 「気をつけの姿勢で立つ」
え? 身体の横に手を沿わせると気をつけになっちゃうけど、
と思いましたが、この気をつけは特に「足」のこと。
両足をぴったりとそろえて立ってはいけないそうです。
緊張しないための立ち方は、
まず、効き足を一歩前に出して重心を置き、
逆の足は添えるだけで、体重を乗せないのだそうです。
いかがでしょうか。
緊張してしまったとき、「緊張はだめだ!」と思うと、
ますます緊張することがよくありますが、
「緊張するということはこの場をリスペクトしているということ。
適度な緊張にコントロールしよう」
と思えば、かなり気が楽になりそうです。
その上で、立ち方などの工夫をすると、
何だかうまくいきそうな気がしてきますね。
私は、というと、リラックスが過ぎないよう、コントロールしたいと思います!
今週も暑そうですが、元気にまいりましょう。
それ、本当に「おもてなし」になっている?
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、
「おもてなし」への関心が高まっています。
「おもてなし」と聞いて、思い浮かべるキーワードはどんなものでしょうか。
私は、「感謝」、「思いやり」、「くつろぎ」、「心地よさ」など、
場の演出みたいなものをイメージしました。
「ごゆっくり」という声かけがありますが、
「リラックスして、ゆっくりしていってほしい」
という気持ちがベースにあるような気がしました。
雑誌WIREDが行った興味深い調査があります。
「おもてなし」を「ホスピタリティ」に置き換えて、
そこから思い浮かべるキーワードを調査したものなのですが、
国が違うと、出てくるキーワードが全然違うのです。
たとえば、アメリカ人の場合、キーワードは、
1:迅速さ
2:徹底的
3:信頼
4:有益さ
5:使いやすさ
「サービスの基本と考えられる
『迅速さや正確性』をとにかく望み、
対価も払う心づもりのようだ」
と解説されています。
イギリス人の場合は、
1:効率性
2:安さ
3:思いやり
4:親しみやすさ
5:友好的
「たとえるなら、主人と執事といった
『サーヴァント型』ととらえられる」
と書かれています。
アジアの人々は、
1:おいしい食べもの
2:サプライズ
3:差別しない
4:素早い対応
5:リラックス
「クオリティを求め好奇心旺盛に活動する彼らに
応えることがおもてなしにつながる」
と解説されていました。
おもしろいですよね。
「おもてなし」の中身は、
相手が違うとまったく違ってくるということなのです。
よく考えると、
「そりゃ、そうだ」と思えるのですが、
相手のことはそれほど考えず、
いわゆる「手厚いもてなし」をすると、
おもてなしをした気になってしまっていること、
あるような気がします。
おもてなしと言えば、
真っ先にその名が挙がる「帝国ホテル」の社長であり
東京総支配人の定保さんは、
雑誌のインタビューでこんなことを言っています。
「五輪決定から、『おもてなし』というキーワードが
一人歩きしているような感じも受けます。
しかし、毎日実践し、追求しようとしている我々からすれば、
そんなに簡単なものではない、と思います。
何よりサービスを提供している側の自己満足であってはいけない。
お客様が望むことができて初めておもてなし、
といえると思います。
押し付けのサービスでは、『おもてなし』ではありません」
なるほど。
確かにそうですよね、、、。
あれこれ思い出して、反省しますね、、、。
相手の声を聞く前に、自分が盛り上がってしまっているのは、
本当の「おもてなし」じゃありませんね、、、、。
さて、いきなり猛暑の7月です!
暑さに負けず、すてきな1週間をすごしましょう。