ディレクターの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーです

ブログ:2016年11月

スタッフの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーアベログ

「ファンタビ、観たい」
息子がそう言いました。


何じゃそりゃ、と思ってよく聞くと、
映画『ファンタスティック・ビースト』のことでした。


何でもかんでも略せばいいってもんじゃありません。
と、まあ、それは置いておいて、
『ファンタスティック・ビースト』と言えば、
あのハリー・ポッターシリーズ完結から5年を経て、
新たに送り出されるシリーズ第一作目とされています。
脚本は原作者であるJ・K・ローリングが手がけています。


先日、そのJ・K・ローリングが2008年にハーバード大学の卒業式で行った
特別講演を聞きました。
彼女が語ったのは「失敗の恩恵」についてです。


ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、
J・K・ローリングがシリーズ第一巻『ハリー・ポッターと賢者の石』を
世に送り出すまでの道のりは苦難の連続でした。
小説のアイディアはそれこそ魔法のように突然浮かんできたと言いますが、
書き上げるまでの間に、離婚、うつ病を経験し、
一時はホームレス一歩手前の生活をしていたと語っています。
彼女はこの日々を「ケタはずれの大失敗」と表現しています。


さて、ハーバードの講演です。
J・K・ローリングは、こう言っています。


「そんな大失敗をしてきた私が、失敗の恩恵について語る理由は、
失敗が不必要なものを削ぎ取るからです。
私は自分以外の何かであるふりをやめ、
自分にとって重要な、唯一の仕事に全精力を傾けました。
私は自由になったのです。
なぜなら、私の最大の恐怖はすでに現実のものとなり、
それでもなお私は生きていて、
愛する娘がいて、
古いタイプライターがあって、
大きなアイディアがあったからです」


彼女は、失敗は自分には強い意志と思っていた以上の自制心があること、
そしてルビーよりずっと価値のある友人たちがいることを教えてくれた、と語っています。


人生は困難で、複雑で、誰も完全にコントロールできない。失敗は避けられない。
でも、だからこそ、
それを知ることで人生を切り抜けることができる、と。


この講演を聞いたとき、私は、毎日なんてくだらないことに悩んでいるんだろう、
という気持ちになりました。
そして何だか勇気がわいてきました。
何か壮大なプランがあるわけではないですが、「やるぞ!」という気持ちになったのです。


少しの失敗なんてなんでもない。
自分にとって大切だと思えることに全力を注ごう!
まずは取り急ぎ、『ファンタスティック・ビースト』観てきます!

読んだ後、観た後に、深く考えさせられる本や映画。
なぜか私は、夏の間はこうしたシリアスな作品と向き合えません。
ギラギラした太陽と蝉の声が
深く考えるという行為に合っていないのかもしれません。
重そうだけど、この俳優でこの監督で、このストーリーなら観たいなあ、、、
私のウォッチリストには、シリアスな映画がどんどんたまっていっています。


ところが、先日突然「よし、考え込もう!観よう!」と思えました。
寒くなったことや、日が短くなったことなどと関係あるのでしょうか。
早速、リストの中の一本『アリスのままで』を観ました。


この映画は、言語学者である美しい女性アリスが
若年性アルツハイマーに冒され、
徐々に記憶と言葉を失っていく日々をつづったものです。
観るのが辛いシーンがいくつもありましたが、
主演のジュリアン・ムーアの演技はすばらしく、
アカデミー賞主演女優賞を受賞したのも納得でした。


さて、昨夜、あることから「思いやり」について考えさせられることがあり、
ふと、この映画のワンシーンのことを思い出しました。
夫、長女夫婦、息子、次女とともに食卓を囲んでいるアリスが
演劇をしている次女の公演について何度もたずねる場面です。
何時からなの? 劇場はどこ? スペルを言って。
次女は、時間と名前、スペルを丁寧に伝え、
アリスは真剣な表情でスマホにメモしています。


優等生タイプの長女は、いたたまれなくなり、
当日は私が付き添うから大丈夫、ママは覚えなくてもいい、
心配しないで、というようなことをアリスに言います。
すると次女が、どうして?なぜ止めるの?本人はメモすると安心するのよ。
ママをばかにしないで、と言います。
アリスは依然としてじっとスマホの画面を見つめています。


私がアリス本人だったら、、、、
たぶん必死でメモするだろうと思いました。
覚えられないかもしれないけど、覚える努力はやめたくない。
そう考えるのではないかと想像しました。
だから、嫌な顔一つせずに質問に答えてくれる次女の行動は
とても思いやりに満ちているように思いました。


一方で、長女の言動も理解できます。
優秀な学者であった母のそんな姿を見るのは悲しいし、
何度も同じことをたずねる母を不憫に思ったのでしょう。
一緒にテーブルを囲んでいる家族の気持ちを思いやったのかもしれません。


「思いやりを持って」と簡単に言われることが多いですが、
思いやることって、難しい。そう思いました。


「思いやり」でもう一つ。
未来の雇用についてのある論文で、
将来、人工知能に代替されにくい職業ランキングが発表された、という記事を読みました。
それによると、上位にランクしているのは、
手助けや思いやりなどが重視されるセラピストやカウンセラーだそうです。
記事には、勉強して知的レベルを上げることも重要だが、
人間らしさの原点となる思いやり力を磨くことは強みになる、と書かれていました。


家族、友人、同僚など、身近な人を自分はちゃんと思いやっているだろうか。
改めて考えてみようと思いました。

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