ディレクターの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーです

ブログ:2016年1月

スタッフの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーアベログ

我が家には思春期の息子がいます。
朝、そして夜、何度も「イラッ」と来る時間が訪れます。


普通に会話していても、どんどんおかしな方向に話題がそれて、
話のポイントが何なのか、どこに向かっていくのか、
わからなくなってきます。
低学年の時は
「あー、そうなんだ! 地球が何回回ったら?」や、
「じゃあ、一生できないじゃん!」
などと、思わず笑ってしまうような返しをしてきていたのですが、
高学年になるとこれがもっと高度になってくるからです。
そのため、言い争いになることも少なくありません。


後から冷静になって考えてみると、
息子の反応は、防御だと気づきます。
私から攻撃されると思って、
自分を守るための行動を無意識にとっているのでしょう。
そう思うと、
もっとこういう言い方をすればよかった、
などと反省します。


そんなわけで、私自身も子育て勉強中なので、
参考書的書籍にもよく目を通します。
最近、読んだ本にこんなことが書いてありました。


キーワードは「安心」


不安な状況にいると人は注意力が散漫になり、
その反対に安心できる環境の中では集中力が生まれる。


動物的な本能なのでしょうか。
いつ攻撃されるかわからないと思っていたら、
そわそわして、なかなか落ち着くことができませんが、
「大丈夫、ここは安心だ」と思えば、
リラックスして人の話に耳を傾けることができます。


「○○は終わったの?」
「早くやらなきゃだめでしょ!」
「ちゃんと人の話を聞きなさい!」


これは、攻撃。
相手が安心できる環境を作っているとは言えないですね。
そんな状況で、人の話を素直に聞けるわけがありません。


「あなたは大丈夫。困ったことがあったら私が助けるから。」
というメッセージをいろんな形で発することが、
もっと必要だなと感じました。
伝わっているだろう、わかってくれているだろう、
ではダメだなあ、と。


そして、これは、親子関係に限ったことではありませんね。
あの人と話すと何だか毎回会話がトゲトゲしてしまう、
ということがあったら、
もしかしたら、それは相手が自己防衛し、
反撃してきているからなのかもしれません。
相手に何か困っていることがないか聞き、安心してもらう。
これだけで、その後のやりとりが変わるかもしれません。


それにしても、コミュニケーションって奥が深い。
まだまだ勉強です。

「『スターウォーズ』の監督をしてくれませんか?」


ルーカス・フィルムから新エピソードの監督を依頼された時、
J・J・エイブラムス監督は断ったと言います。
(これから映画を観る方、安心してください。内容の話はしません。)


断るだろうなあ。そうだろうなあと思いました。
なぜなら、絶対に失敗できないプロジェクトだからです。


失敗できない理由の一つは、
熱狂的なファンが、目をギラギラさせて待っていること。
『スターウォーズ』は、
ジョージ・ルーカス監督が長年メガホンをとり続けて来た名作。
全世界に熱狂的なファンがいて、
彼らは常に新エピソード公開を今か今かと待っています。
思い入れが強いと、いろいろ言いたくなるもので、
実際、これまでも公開の度に
「このシーンはいらない」、「あのキャラクターはいらない」
などという意見が飛び交い、
ジョージ・ルーカス監督もうんざりするほどでした。
新監督ともなれば、彼らが黙っているはずがありません。


失敗できない理由その二は、なんと言っても、
ディズニーのロゴが出る最初の『スターウォーズ』であること。
2012年にジョージ・ルーカス氏は
ルーカス・フィルムと『スターウォーズ』の全権利を
40億ドル(日本円で4800億円)で米ディズニーに売却しました。
つまりこの映画は40億ドルのプロジェクト。
40億ドルの失敗できない映画の監督、なかなか引き受けられません。


しかし、J・J・エイブラムス氏は一度断ったものの、
最終的には監督を引き受けます。
驚いたのは、
一度断った一番大きな理由も、引き受けた理由も同じだということ。
それは「彼自身が『スターウォーズ』の大ファンだから」なのだそうです。


「10歳の頃、初めて公開された『スターウォーズ』を観たことが、
その後、映画の道に進むきっかけになった。
リスペクトがある作品だからこそ、
簡単に監督を引き受けるわけにはいかないと断ったんだ。
でも、時間がたつと、憧れの『スターウォーズ』の乗組員にならないなんて
どうかしている、と思うようになった」
そう、インタビューで語っています。
(ファンが怖いわけでも、40億ドルにプレッシャーを感じたわけでも
なかったんですねえ。そんな人だからこんなオファーが来るんだなあ。。。)


さて、こうしてメガホンを取ったJ・J・エイブラムス氏。
ミッション・インポッシブルやスタートレックを手がけた人気監督が、
『スターウォーズ』をどう撮ったのか注目が集まる中、
撮影後のインタビューでこう答えています。


「『スターウォーズ』は、コンセプトデザイン、撮影、美術、
どの分野でもすばらしいスタッフによって支えられてきた作品だ。
1977年から続くシリーズだから、
スタッフの中には、亡くなってしまった方もいる。
今回のアプローチはマネやコピーではないことが大前提だけど、
僕はこのサーガに関わってきた
すべてのアーティストたちを祝福したいと思ったんだ。
この世界を作り上げて来た人々に対するセレブレーションだ」


私、公開日翌日に早速観てきました。
映画が終わって、会場が明るくなった時、
もしそこにJ・J・エイブラムス氏が立っていたら、
勢い良く駆け寄って、ハグしたことでしょう。
まさに「セレブレーション」だったから。


大作を引き継ぐ。
関わった人々の期待に応え、成功させる。
大変なことだと思います。
この映画で、私は、それを可能にするものは「リスペクト」なんだ、
と思えました。
どんなに責任感や度胸があっても、
リスペクトがなければ作り上げられないことがある。
そう感じました。
公開からしばらくたって、またいろいろな意見が出ているようですが、
私はJ・J・エイブラムス監督に大きな拍手を送りたい気持ちです。

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