自己満足になっていませんか?
少し前の話で恐縮ですが、母の日のことです。
毎年、母の日にはネットでお花を注文し、届けています。
毎年していることなのに、いつも気づくと
「あ、そろそろ注文しないとまずい!」という時期になっているので、
私がネットを見る頃には、だいたいどのお花屋さんも
「まだ、間に合います!」、「今ならまだ当日にお届けできます」
というコピーを掲げています。
毎年お願いするお店を決めているわけでないので、
アレンジ画像を見て、ピンときたところに注文するのですが、
値段で絞ると、実はアレンジは大きくは変わりません。
その中から、「この色合いはちょっと...」、「この花器はなあ...」と、
消去法で省いていって、残ったいくつかから決めることになります。
あと、ポイントとなるのは「当日届くかどうか」でしょうか。
そんな感じで、同じようなアレンジ画像と「間に合います」という
お店のコピーを順番に眺めていたら、
あるコピーに目が止まりました。
「母の日当日は、朝からお花があると、母の日モードが高まります。
前日の夜にお届けすることをお勧めしています」
「そうだ!そうだ!」。このアドバイスに大いに納得し、
一瞬でこのお店にすることに決めました。
と、同時に反省しました。
私は「当日にきちんと届けたからね」、「私は失敗なくちゃんとやりましたよ」
とでも言いたかったのでしょうか。
受け手の立場に全く立っていなかったと気づいたのです。
前日にお花を届けるというのは、お店としては、
母の日当日に配送が集中することを避けるためでもあるでしょう。
でも、受け手のことを想像すると、朝起きた時にきれいにお花が飾られているのと、
母の日当日ではあっても、夕方にお花が届くのでは、一日がまったく違うでしょう。
「前日に届けましょう」は、すばらしいアドバイスだと思いました。
考えてみると、贈り物って、贈る側の自己満足になってしまっている
ケースがあるような気がしますね。
お祝いのお返しなんて、まさにそう。
贈られる側のことを考えると、バスタオルなんてこれ以上もらっても困る、
という家庭が多いと思うのですが、
バスタオルが一般的らしいから、とりあえず贈る。
贈ったほうは、「はい、お返し終了」で、それ以降のことは気にしない。
もらった家庭は、使わないから箱のまま押し入れにしまう。
あーあ、という感じです。
気がついたら、自分のことしか考えていなかった。
これは、贈り物に限らず、よくあることです。
相手はどう考えるだろう、と、立ち止まって考えることを
いつも意識して行わなくてはいけないなあと改めて思いました。
あれ? これ、W杯でも言えたのかも。ブツブツ...。
勝負強くなるためには
「10点とっても勝てない試合もあるし、
1点だけで勝てる試合もある。
勝負とはスコアに関係なく、相手に差をつけることです」
メンタルトレーナーとして多くのアスリートの
コーチングに携わっている杉澤修一さんが、
著書『勝負強さの秘密』でこう述べています。
プロレベルのゲームになると、どんなスポーツでも、
技術力での勝負は全体の1割程度に過ぎないのだそうです。
では、残りの9割を何で勝負するかというと、
ゲームの間に何度か訪れる「相手に決定的な差をつける場面」で
能力を発揮する力、なのだそうです。
決めるべき場面で決められる、つまり勝負強くなるためには、
勝負練習が必要だ、と杉澤さん。
その練習内容の一つが、まず試合をし、結果を振り返り、内容を分析すること。
これを繰り返すことだと言います。
勝っても、負けても、そのプロセスをしっかり振り返って、分析するだけです。
この時のポイントは、真っ向勝負をすること。
野球で言えば、ど真ん中のストレートを投げる。
強烈なホームランを打たれることもあるかもしれませんが、
バッターが変われば、三振に打ち取れることもある。
勝負がいろいろな要因で変化することを体感することが大事なんだそうです。
日本人アスリートの多くは、負けが込んだり、失敗が続くと、
原因はすべて自分の技術にあると思いがちだと言います。
なので、負けるとひたすら技術練習に走る。
これでは、いつまでたっても勝負強くはならないのだそうです。
うーむ。これはビジネスでも言えますね。
ばっちりの企画書を準備して、プレゼンに臨んだのに通らなかった場合、
原因がすべて企画書の内容にあるとは限りません。
プレゼンの仕方にあったのかもしれないし、
服装がよくなかった、なんていう場合もあるかもしれません。
ダメだった場合は早く忘れて、次、次。これでは、いけませんね。
ところで、勝負強くなるためには、
頭と体を切り離すことも必要だと言います。
「ああ、もうダメだ」、「もう負ける」と考えるのは頭で、
体はあきらめていないのだそうです。
前述の『勝負強さの秘密』には、
そのためのトレーニングが紹介されていて、興味深いです。
仕事をしていても、
「あ、これ、なんだか嫌な感じに進んでいるなあ」と考え始めると、
どんどん考えてしまって、
勝手に調子を落としていってしまう、なんていうことはないでしょうか。
頭と体を切り離す方法が身に付けば、いろいろなところで役立ちそうです。
いやあ、しかし、勝負とは単純ではないですね。
ワールドカップを観ていると、つくづくそう思います。
点の取り合いで、最後の1分で勝負が決まる試合もあれば、
相手が勝手に自滅していった、というような試合もあります。
相手を罵倒したかと思えば、内輪もめするチームもあります。
何が起こるかわからない。だから勝負はおもしろい。
私の寝不足、まだまだ続きそうです。
できているつもり
テレビスポーツ教室という番組を見ていたときのこと。
学んでいる子どもたちの様子を観察していて、
「へえ」と思ったことがありました。
この日はサッカー。ゴールキーパーがどうボールを受けるか、
基本的な指導を日本代表の第3ゴールキーパーである権田選手が行っていました。
学んでいたのは、サッカーチームの子どもたち。
小学校5~6年生なのではないかと思います。
権田選手が、ボールをキャッチした後の倒れ方を説明します。
「ボールをキャッチしたら、下から順番に地面に着地します。
お尻、わき、最後に背中。絶対にしてはいけないことは、
腕から倒れること。腕だけでなく、肩も傷めます」
指導の後、子どもたち全員が教えられたことをやってみます。
でも、腕から落ちている子が大勢。
「あれ? さっき絶対にしちゃいけないって言ってたでしょ。
腕から落ちちゃだめでしょ」と、言いたくなります。
そこで、権田選手が一人ひとりを注意。
「腕から落ちてるよー」
注意された生徒は再度トライ。でも、まだ腕から落ちている子もいる。
普段、サッカーをやっている子たちなのに。
運動神経はいいだろうに。なぜ? ちゃんと聞いてないのかなあ。
気をつけてないのかなあ。と思いました。
でも、見ていて、そうではないことに気づいたのです。
子どもたちは、むしろ一言も聞き逃すまいと一生懸命に聞いている。
そして、言われた通り、お尻、わき、背中の順に落ちているつもりなのです。
ただ、頭で考えた通りに、体が動いていないだけなんです。
腕から落ちていると指摘されて初めて、できていないことに気づいている。
首を傾げて、何度もトライしています。
考えてみると、思った通りに体を動かすことは簡単なことではありません。
背筋をまっすぐに伸ばしているつもりでも、鏡を見たら全然まっすぐじゃない、
なんてことはよくあります。
以前、タレントの武井壮さんがテレビでこんなことを言っていました。
「アスリートに一番必要なのは、思った通りに自分の体を動かすこと。
常にこの訓練をする。これができる状態でスポーツを修得するのと、
これができずに修得するのでは、伸びるスピードが全然違うんです」
例えば、まっすぐ立ったまま、目を閉じて、両手を真横に上げる。
真横だから高さは肩の位置です。
武井さんによると、多くの人は、真横に上げているつもりでも、
肩より高かったり、低かったりしているのだそうです。
これを目で見て修正する。
すると再度トライする時には、ほとんどの人が真横に上げられるのだそうです。
こういうことを一つひとつ調整していくことが、
とても大事だと武井さんは言っていました。
武井壮さんと言えば、陸上十種競技の元日本チャンピオン。
この競技で彼が出した、100mの10秒54というタイムは
未だに破られていないのだそうです。
驚くのは、陸上を始めたのが大学に入ってからだということ。
わずか5~6年で、優勝するまでの実力をつけたということです。
そんな彼が言うのですから、この話は説得力がありますね。
「できているつもり」でいてはいけない。
これが大切だと思いました。
できているはずだと思っても、確認する。
そして、できていないことがわかったら、修正。
これを何度も繰り返すことで成長スピードがぐんと増す。
スポーツに限らず、とても重要なことですね。
「なぜ」と「なに」の思考法
「落ち込まないですね。いいことも、悪い事も、すぐに忘れてしまう。
ヘタすると、自分が今戦っている試合のスコアもわかっていないときがある」
落ち込みやすいタイプですか?
というインタビュアーの質問に対して、
こう答えたのは、テニスの錦織圭選手。
「え? そんな感じなの?」と、驚きました。
錦織選手は、現在、世界ランキング9位。
世界ランキング1位のナダル選手との
マドリッド・オープン決勝では、
残念ながら、負傷で棄権してしまいましたが、
いやあ、強い!
そのプレー同様、コートの外でも、
ものすごい気迫の人なんだろうなあと
勝手に想像していたのです。
私の驚きは、さらに続きました。
今後の目標を聞かれた錦織選手は、
「どの試合でも、安定したプレーをすること。
調子のいい時、悪い時の差がないように。
いつも自分のプレーができるように」
と答え、
さらに、自身にとってテニスとは? という問いには、
「完全に趣味です」
と言い放ったのです。
そうなんです。錦織選手、力みがないのです。
そしてこれが、世界ランキングトップ10入りという、
とんでもないことを成し遂げた強さなんだな、と思いました。
以前、このメルマガでご紹介したことがある
『やってのける 意思力を使わずに自分を動かす』の著者、
社会心理学者のハイディ・グラント・ハルバーソン女史は、
取り組む課題の難易度によって、
アプローチする際の思考法を変えるとよい、と述べています。
女史によると、「なぜ、これをするのか」を考える、抽象的な思考は、
小さな行動を大きな意味や目的に結びつけられるため、意欲を高めやすく、
単純作業や面倒な作業に取り組む時に有効な思考法なのだそうです。
確かに、「あと20枚も報告書を書かなくてはならない」と考えるよりは、
「キャリアアップにつながっているから」と考える方が、
モチベーションを維持できそうです。
一方、「なにをするのか」を考える思考法は、
難しく、不慣れで、複雑な行動や学習に取り組む時に効果を発揮するのだそうです。
達成が困難だと思える課題に取り組む時は、
「なぜ、これに取り組んでいるのか」という全体像を考えるよりも、
取り組みの具体的な内容のことだけを考えるほうが
乗り越えやすいということなのです。
そうか。錦織選手は、「なぜ、するのか」ではなく、
「なにをするのか」の思考法でやってきたのですね。
「世界ランキングトップ10に入るために、がんばろう」ではなく、
「このボールを打ち返そう。このセットをとろう。この試合に勝とう」と。
目の前のことに集中しているから、重圧を感じにくいのだなあ。
課題の難易度によって、アプローチする思考法をあえて変えるなんて、
考えたことがありませんでした。
ちなみに私、いつでも「なぜ」を考えがちです。
「なに」の思考法、使えるのかな。
「なに」に集中している間に、
「いや、ちょっと待てよ。私はなぜこれをやっている?」と、ならないかな。
少々不安ではありますが、「なぜ」と「なに」の思考法の使い分け、
試してみようと思います。
