心理的安全性を高める「あの人たち」
先日、家事をしながらテレビのトーク番組を見ていたら、
企業のまじめな会議にギャルを送り込む
「ギャル式ブレスト」というサービスを
提供しているという女性が登場しました。
なに、なに、それは!
強く興味を引かれ、完全に手を止めて
じっくり見てしまいました。
自身もギャルだったと語るその女性は大学生。
中学生までは優等生で、
高校は、ほとんどの生徒が東大を目指すような
地元の進学校に入学したらしいのですが、
突如、何のために勉強するのかわからなくなり、中退。
ふらふらしていたときに、
たまたま遭遇したギャル同士の闘争(笑)を見て、
エネルギーの強さと素直さに圧倒され、
憧れてギャルになったのだとか。
その後、少し落ち着き、ギャルから離れて
大学に進学するも、やはりギャルのパワーが忘れられず、
ギャルが持つ、まっすぐで熱いエネルギーが
今の日本に求められていると考え、
ギャル式ブレストというアイデアに
たどり着いたのだそうです。
番組では、老舗文具メーカーで実際に行われた
オンラインでのギャル式ブレストの様子も
取り上げられていました。
会議に参加する先方社員のニックネームを
ギャルが決めるところからスタート。
忖度一切なし。もちろんタメ口。
最初は戸惑っていた男性社員たち(実は社長も出席)も
リラックスして発言し、
最後は全員笑顔で終了していました。
会社員とギャルのブレスト、機能するの?
と思っちゃいますが、
参加した社員からは
「とにかく自己肯定感が上がった」
「商品の機能ばかりにフォーカスしていたが、
文房具はエモいという発言が多く、
ユーザーの感情や思いも大切だと思った」
という感想が。
いやあ、とてもおもしろいと思いました。
世の中、自分の意見が言えない会議、
少なくないと思います。
言ったらばかにされるんじゃないか、
おまえが言うなと思われるんじゃないか、
いやな思いをするなら黙っていよう。
そんなメンバーが集まって会議をしても
いいアイデアが出るわけがありません。
会議で発言できないということは、
たぶん日頃もそんなに自由に発言できる
雰囲気ではないのだと思います。
そういう社風だと、会議のメンバーが
数名変わったくらいでは、雰囲気は変わらない。
ギャルがとんでもない角度から、
本音をズドーンとぶつけるくらいの
インパクトがないと、
チェンジできないのかもしれません。
番組を見終わって、ちょっと感動してしまった私は
このサービスについてさらに調べました。
ギャル式ブレストのバリューは次の2点だそうです。
(サイトから引用)
1― ギャルがぶっちゃけた意見をくれます。
彼女たちの先入観のなさから新しい発想が生まれます。
また忖度なく彼女たちの感性で感じたことを
そのままフィードバックしてくれます。
2― ぶっちゃけられる環境を作ります。
ギャルの空気感に飲み込まれることで、
ギャルだけでなく、
周囲もぶっちゃけられるようになり、
アイデアを出せる環境を作ります。
社内のメンバーじゃない、
コンサルタントなど企業の人でもない、
ギャルという完全に別世界の
立ち位置にいるからこそ、
その場をフラットにできる。
企業側の参加者も、スーツを着た人に言われると
カチンとくるようなことでも、
ギャルに言われると「仕方ないな」と
感じるでしょうから、
一見、ふざけたサービスのようですが、
このサービス、機能するだろうなと思います。
ところで、ここ数年で「心理的安全性」というワードを
よく耳にするようになりました。
1999年にこの概念を提唱したハーバード大学の
エイミー・C・エドモンドソン教授によると、
チームの心理的安全性とは、
「チームの中で対人関係におけるリスクをとっても
大丈夫だという、チームメンバーに共有される信念のこと」。
つまり、
「このチームは、恐怖や不安を感じることなく
発言し合える、とメンバーが思える状態のこと」です。
心理的安全性が高いチームは、
メンバー同士がコミュニケーションをとって助け合い、
高いパフォーマンスを発揮すると言われます。
エン・ジャパンが実施した
職場でのコミュニケーションに関する調査によると、
職場でのコミュニケーションが取れているか
という問いに、
「どちらかといえば取れていない」と回答した人が27%
「取れていない」とした人が9%いました。
そして「どちらかといえば取れていない」と
回答した人の8割、「取れていない」とした人の9割が
「職場に心理的安全性がない」と答えています。
企業が元気になり、日本が元気になるためには、
場の心理的安全性が高いことが必須。
未来の明るい日本のために、
ギャル式ブレストのギャルたちには
ますますがんばってもらいたいと思いました。
今週もあと少し。
元気にまいりましょう。
それ、本当に苦手ですか?
「人間の行う仕事の約半分が機械に奪われる」
英オックスフォード大学のオズボーン准教授が
そんな内容の論文を発表して
世の中を騒がせたのが8年前。
AI時代を生き抜くために必要な力として
「創造力」が挙げられるようになりました。
アドビが2020年に日本の高校生1200人を対象に
行った調査によると、「自分には創造力がある」と
答えた生徒は55%。「創造力がない」(45%)を
少し上回っています。
創造力をどう捉えているかという問いでは、
「自分らしい個性を自由に表現する力」(63%)
「芸術性の高いものを生み出す力」(46%)
「何もないところから新しいものを生み出す力」(46%)
「育った環境や努力によって培われるもの」(45%)
という回答でした。
SNSで写真や動画を日常的にアップしている
彼らなので、自分には創造力があると
感じている人はもっと多いのかと思ったのですが、
それほどでもなく、
「自分には創造力がない」が45%かあ。
うーむ、「ある」と答えた人が半数を超えたとはいえ、
半数近くの高校生が「創造力がない」と
感じているとは、なんとも残念だなあと思います。
だって、まだ高校生ですよ。
さらに残念だと思ったのは、「ない」と答えた人が
創造力に対する自信を失ったきっかけが
小学校高学年の図画工作の時間や
中学校の美術の時間にあると答えていること。
とくに中学校の美術の時間に自信を失ったと
回答した人が多く、そう感じた理由として
「成績が悪かった」
「周りの人より下手だった」
「アイデアが浮かばなかった」
との声があがっています。
生徒の創造力を伸ばすべき美術の授業が
逆に創造力を失わせてしまっているのは、
悲しいなあと思います。
これは私の想像ですが、
小学校のとくに低学年くらいまでは、
どんな絵を描いても、先生が褒めてくれると思うのです。
「わあ、大胆でいいね」とか「個性的でいいね」とか。
でも、中学校になると内申点というものがあるので、
学校側がおおらかに成績をつけなくなります。
生徒も、おかしな絵を描いて成績を落としたくないから
自由に描かない。
お手本のように、すごくきれいに描ける人、
テストの点数が高い人が良い成績をとるので、
それができない人は自信を失うことに
なるのではないでしょうか。
さらに厄介なのは、
ここでいったん苦手意識が芽生えると、
それ以降もずっと苦手と思い込んでしまうこと。
芸術系のものはとくに苦手意識が
刷り込まれやすいように思います。
創造力は、単に絵をうまく描く力ではなく、
ビジネスのあらゆるところで
必要になってくる力。
創造力がないと思い込んでしまうのは
とてももったいないと思います。
なんて書きながら思ったことは、
小・中学校で感じた苦手は
実は苦手じゃないのかも?ということ。
成績や評価を気にして苦手と思い込んだり、
嫌いになったもの、案外あるのかもしれません。
伸び伸びと自由にやってみたら、
苦手と思っていたことでも案外楽しめたり、
むしろ好きと思える可能性もありますね。
2022年、スタートしたばかりです。
皆さんは今年、どんなことにトライしますか?