ディレクターの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーです

ブログ:2020年7月

スタッフの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーアベログ

作家の辻仁成氏のブログが好きで、よく読んでいます。


息子さんが我が家の長男と同学年であり、
パリでの子育ての話、教育の話、料理の話がすごく興味深いのです。


辻氏は小説家やミュージシャン、映画監督など、
いくつもの顔を持っていますが、
ここ数年注目されているのは、やはり料理人としての顔。
今では高校生になった息子さんのために
辻氏が作り続けてきた料理の数々は、
『パリのムスコめし』という料理本にもなりました。


しかし、辻氏、
昔から料理が得意だったわけではありませんでした。
7年前、突然息子さんと2人家族に
なってしまったときは、
毎日ハンバーガーを食べていたとか。
パリでどうやって2人で生きていくのか、
途方に暮れていましたが、
ある日、なんとか家の中を明るくしなくてはいけない、
という思いで、食卓から元気にすることを決意。
キッチンに立つようになったのだそうです。


辻氏のブログには、その日作った料理が
紹介されていることが多いのですが、これがすごいレベル。
簡単なフランス料理、和食はもちろん、
デザートまで軽々作っています。
フルーツタルトやショートケーキ、
バケットまで焼いてしまう。
オリジナルのレシピも多く、
料理歴7~8年でこんなに自由自在に
料理ができるなんて、びっくりです。


これは私の勝手な推測ですが、
辻氏のように料理がどんどん上手くなる人、
しかもオリジナルレシピを考案できる人は、
料理中、見えていないところで
自分が何をしているのかをつかむ力があるのだと思うのです。


どういうことかというと、
たとえば、レシピをただ追っているだけだと、
酒大さじ2、みりん大さじ2、しょうゆ大さじ1.5を
単純に計って入れているだけなのですが、
何をしているのかをつかむのが早い人は、
ここですでに割合の法則を理解している。
さらに、それぞれの調味料がどんな役目を
果たしているのかも、おそらく理解している。
そこがわかると、たぶん別の料理にも
応用できるようになると思うのです。


辻氏は、たぶん、そんな要領で、
フランス料理も、デザートも、
調味料のだいたいの割合や役目、
それらを使うとどんなできあがりになるのかを
感覚的に把握されたのではないでしょうか。


これは料理に限ったことではありません。
たとえば、スポーツでも同じことが言えます。
スポーツの上達が速い人も、
直接、見えていないところで
自分が何をしているか、気づいているのだと思います。
見えているところではラケットに
ボールを当てているだけなのですが、
実は重心の移動がポイントだと気づいている、とか。


何年か前、雑誌のインタビューで
当時のレノボの社長、留目氏が、
「物事の本質をつかむには、因果関係を見極めて、
何をどうすればどんな結果が出るのかを
理解することが必要だ」と言っていました。
料理もスポーツも、ほかのことも、
たぶん、上達が速いということは
本質をつかんでいるということなんだろうなと思います。


なんて書きながら、いろいろ考えてみると、
毎日取り組んでいる様々な物事の中にも、
見えていないことがたくさんあるような気がしてきます。
そこを見ようとしたら、
今まで「作業」と思って淡々とこなしていたことが、
突然そうじゃなくなり、飛躍的に上達したりして・・・
ちょっと楽しくなってきたので、
身の回りの「見えていないこと」、見つけてみたいと思います。

「人よりほんの少し努力することが
辛くなくて、ほんの少し簡単にできること。
それが君の得意なことだよ。
見つかったら、それにしがみつけ。
そうすれば必ず道は開くよ」


NHKの朝ドラ『エール』で
主人公・古山裕一が通う小学校の教師が
裕一にそう言っていました。


運動がまったくだめで、緊張すると吃音が出てしまうため、
先生に怒られ、仲間からもいじめられている裕一。
得意なことをたずねられても
「ない」と答える彼に、先生がそう声をかけたのです。


先生の一言で、裕一は未来に光を見出していきます。
そして、後に、
高校野球のテーマ「栄冠は君に輝く」や、
「オリンピック・マーチ」など、
心に響く数々の名曲を生み出すのです。


ああ、いい話。
そして、主人公の裕一はラッキーですね。
作曲家になったのは、
もちろん本人の努力があったからですが、
子どもの頃に自分の得意なことが見つけられ、
背中を押してもらえたのですから。


さて、私も得意なことを考えてみました。
うーむ。もしだれかから「得意なことは?」と聞かれたら、
「ないかなあ」と答えるかもしれないと思いました。
好きなことはどっさりあるけど、
得意なことかって言われると、
どれもそこまでではないと思ってしまう。
それは、得意なことというものを、
人よりも数倍上手なこと、と捉えているからかもしれません。


でも、『エール』の先生が言うように、
「人よりほんの少し努力することが
辛くなくて、ほんの少し簡単にできること」
と捉えると、
私の場合、書くことはそれに当てはまるかもしれないと思います
(正確に言うと、簡単にはできていないんですが)。


得意なことが「ある」と捉えるのと、
「ない」と捉えるのとでは、
毎日のエネルギーが違ってきます。
多少へこたれることがあっても、
「得意なことがある」と思えば、
乗り越えていけるのかもしれません。


ここで思い出したのは、片付けコンサルタントのこんまりさん。
今や世界のこんまりです。


こんまりさんは子どもの頃から
片付けが大好きで、自分のものはもちろん、
家族のものも、どう片付けるとよりきれいで、
取り出しやすいのかを日々考え、
仕切りなどを使って、収納をテストしていたりしたのだそうです。
それが最高に楽しかったとインタビューで語っていました。


これは完全に「得意なこと」です。
片付けが得意なところで・・・と、
普通なら思ってしまいそうなところ、
こんまりさんは本当にその道に進んでいきました。
『エール』の先生風に言うと、
「得意なことにしがみついて、道を開いた」ことになります。


「人よりほんの少し努力することが
辛くなくて、ほんの少し簡単にできること」
皆さんの得意なことは何ですか?

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