ディレクターの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーです

ブログ:2020年3月

スタッフの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーアベログ

先日次男が所属していたサッカーチームの
卒団式がありました。


例年は室内での一大イベントですが、
今年は感染対策のためグランドの片隅で
時間を短縮してササッと開催というスタイル。


長男が卒団するときは、ビデオ上映あり、
選手一人ひとりからのお手紙ありで、
保護者全員、感極まって号泣しましたが(笑)
今回は泣く暇がないだろうな、と思っていました。


でも、横一列に並んで保護者やコーチたちに
挨拶する子どもたちを見ると、
幼稚園の頃のみんなの顔が思い出され、
途端にウルウルきてしまい・・・。
みんな、本当に大きくなった(涙)。


さて、次男のチームは強いチームではありませんでした。
見事に「やさしい子」の集団。


何がなんでもボールを奪ってやる、とか、
何がなんでもゴールを決めてやる、
という気性の子がいなかったので、
全体的にホンワカした雰囲気で、試合は負けてばかり。
一人ひとりは下手ではないのに、戦う集団になれない。
コーチにとっては扱いが難しかっただろうな、と思います。


勝負に負けてばかりだと、負け癖がつく、
と言われますが、
元陸上400メートルハードル選手の
為末大氏は、本当に負け癖がついている人は、
実は、負けていない、と言っていました。
なぜなら、そもそも勝負していないから、勝っても負けていないのだ、と。


次男のチームはこれだったのかもなあ。
勝負していないから、負けてもあまりくやしくないし、
勝負していないから、勝ちたいという気もそんなにない。


そうは言っても、試合なので、
毎回、「負け」という結果を告げられる。
コーチからも「また、負けた」と言われる。
「負け」という響きにすっかり耳が
慣れちゃっていたのかもしれません。


もう卒団してしまいましたが、
もう少し、どうにかならなかったのかなあ。
そんなことをぼんやり考えていたら、
先日観たテレビ番組のことを思い出しました。
Eテレの『奇跡のレッスン』。
世界の一流指導者が日本の子どもたちに1週間のレッスンを行い、
技術だけでなく心の変化まで呼び起こす、
という趣旨の番組です。


私が観た回のコーチは
大坂なおみ選手を世界一に導いた、
サーシャ・バイン氏でした。
教えたのは、大阪の高校の女子テニス部。
県内では強いチームでしたが、
メンタルが弱いという弱点がありました。


強豪が相手になると、毎回メンタルで負けてしまって、
崩れていってしまう彼女たちにバインコーチが言ったのは
「試合は、勝つか学ぶか、だ」
という言葉でした。
「負けはないんだ」と言っていました。


ああ、必要なことはこれだったなあ、と思いました。
たぶん次男たちは負けても、
そこから何も学んでいなかっただろうと思います。
負けました。終わり。
そんな感じだったでしょう。
「今回も学んだね。何を学んだ?」
そんな声かけができていたら、全然違ったかもなあ・・・。


なんて、後悔しましたが、考えてみたら、全然遅くないですね。
これから彼らはいろんな勝負をしていかなくちゃいけません。
そして、私たちだって、そうです。


「勝つか、学ぶか」
いいこと教えてもらったなあ。

人間の判断や決定は、
「感情」と「理性」という
脳内の2つのシステムで担われている。


行動経済学の視点から書かれた、そんな興味深い記事を読みました。


行動経済学者である友野典男氏によると、
人間は物事を判断し、何かを決定するときには、
直感的にすることもあれば、よく考えてからすることもあり、
前者の直感的な判断や決断を
脳内の「反射システム(システム1)」が担い、
よく考えてからの判断や決断を
「思考システム(システム2)」が
担っているのだといいます。


システム1は、無意識のうちに自動的に発動するのが特徴。
素早く、労力をかけずに判断を下し、
同時並行で複数の作業をこなすことが可能です。


これに対してシステム2は、
思考・熟慮を伴うため、意識的に起動しなければならず、
時間がかかり、労力やエネルギーを要します。
それゆえシステム2は、なかなか起動しないし、
起動しても長続きしないという特徴を持っているといいます。
「感じる」ことはいつでもできるが、
「考える」ことは、少々手間がかかることだからだ、
と説明されていました。


さらに、記事には、
生活上のたいていの意思決定は、
システム1で十分こなせる、とありました。
日常の買い物や世間話なら、
いちいちシステム2による熟慮を経なくても、
システム1の直感的な素早い判断で
十分に用が足りるから、だそうです。


ここまで読んで、私は、
もやもやが晴れて、すっきりしました。


「考える」のが得意とか得意じゃない、とか、
好きとか、好きじゃないとか、
そういう話をよく耳にしますが、
それがどういうことなのか、よくわからなかったからです。
でも、そういうことだったのか。
脳内のシステム2を起動するか、しないか、
という話だったんですね。


でも、じゃあ、システム1だけでまあまあやっていけるの?
ということになりますが、記事を読み進めると、
システム1、2の連携がいかに重要かが書いてありました。


というのも、システム1は、直感で起動することから、
バイアスがかかった判断をしやすいという弱点があるため、
システム1の判断・決定をモニターして、
ゴーサインを出したり、 逆にシステム1の判断や決定を
覆すために、システム2の起動が必須になるというのです。


でも、システム2は前述したように、起動に労力を必要とします。
うまく起動させる方法は、あるのでしょうか。


一つは、システム2を起動させやすいよう、
システム1によるバイアスを減らすことだそうです。
そのために必要なことは、
「バイアスは誰にでもある普通のことだ、と考えること」。
バイアスは誰にでもあり、
自分だけ特別なわけではないと思うこと、だそうです。


二つ目は、こちらもバイアスを減らすために、
「どんなバイアスがあるのかを知っておくこと」だそうです。
世の中には、様々なバイアスがあります。


たとえば、利益と損失が同額であれば、
利益から得る快感より損失による苦痛のほうを大きく感じる
「損失回避バイアス」、
物事がうまく回っていたら、
新しい方法を試そうとは思わない「現状維持バイアス」、
多数派の意見にとりあえず合わせようとする「同調バイアス」など。
こうしたバイアスの存在を知っておくだけでも、
気づきにつながるといいます。


三つ目は、
外部者や第三者の意見を参考にすること。
意思決定においては自らの感情が大きく影響しますが、
当事者ではない第三者や外部者の意見を聞くことは、
感情部分をおさえることにつながります。


そして最後は、判断から実行までの間に
意識的に時間を置くことだそうです。
そうすることで感情的な部分が薄くなり、
判断や決定を見直すことができるといいます。


現在、新型肺炎の影響で、社会が混乱しています。
こんなときこそ、脳内のシステム1と2を意識して、
落ち着いて判断、行動することが重要だと思いました。

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