ディレクターの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーです

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『チームワーク・リーダー論』カテゴリの記事

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「おまえがいないと生きていけない」


今やレギュラー番組を8本も持つほどの人気MCである有吉弘行さんは、
以前、事務所の先輩であるダチョウ倶楽部の上島竜兵さんにこう言われたと、
あるインタビュー記事で語っています。


当時の有吉さんは、毒のある「あだなづけ」の才能が開花する前だったそうで、
仕事はそれほどなかったと言います。


「そんな仕事がない男に、おまえがいないと生きていけない、なんて言うんですよ。
僕は上島さんのためにがんばろうって思いました。
上島さんがいなければ、今ここにはいないです」


どうやら、上島さんは「世界一の聞き上手」なのだそうです。


通常、仕事の不満を先輩にぶつけると、「まあまあ、そう言わずに、、、」と、
なだめられることが多いところ、上島さんは徹底的に聞いてくれて、
そして感心してくれるのだそうです。
「『あー、確かにね。わかる、わかる』って聞いてくれるから、
あれ? 俺って説得力があるのかなって思っちゃって、自信がついてくるんです」
と有吉さんは言っています。


そんな上島さんの聞き上手ぶりは、
上島さんを長とする飲み会サークル?『竜兵会』のメンバーも認めているようです。


竜兵会のメンバーは、上島さんから見るとみんな後輩。
普通に考えると、若手芸人に先輩芸人がアドバイスをする場になりそうですが、
上島さんは「俺は、これからどうしたらいいと思う?」と、
若手にアドバイスを求めるのだそうです。
そして彼らのアドバイスを真剣に聞き、
最後に、酔っぱらいながら「俺は、おまえらと飲めてうれしい」と涙ぐむのだとか。


メンバーの一人、土田晃之さんも、
「あの人は、平気で若手に意見を求めてくる。
現場から電話がかかってきて、アドバイスを求められたこともある。
僕たちは全員、あの人スゲエって思ってますよ」
と語っています。


上島さん、「リーダー」ですよね。
人にはまねできない、上島さんだからできる「リーダー」だなと思います。
そう考えると、リーダーってやはり最終的には人柄だなあと思いました。


上島さんが、威厳のあるリーダーをやってもたぶん人はついてこない。
逆に、普段上から目線の人が、俺はどうしたらいい、なんていきなり部下に聞いても、
すごいとは思われないような気がします。
リーダーになるための情報が溢れる世の中ですが、
人をどう使うか、人にどう影響を与えるかよりも、
まず、自分がどういう人間なのかを知ることが大切だなあと思いました。


あれ? ダチョウ倶楽部のリーダーって、肥後さんですね。
今度、上島さんを率いる肥後さんのリーダー論も探してみようと思います。

「本当に、とんでもない勝利」


そんなことを聞くと、
何がどうなってそんなことが起こったのか、
とても興味が湧きます。
もちろん先日のラグビーW杯の話。


ラグビーの知識がまったくない私でも、
テレビで観戦していた南アフリカ戦の逆転勝利が物凄いことだ、
ということはわかりました。
スタジアムの観客は総立ち。
実況は叫び、涙で声を詰まらせ、
観客席で応援していた日本人が涙で顔をくしゃくしゃにする。
選手はピッチに倒れ込んで肩を震わせ、
現地のカメラマンや警備員が飛び上がって喜ぶ。
「世紀のジャイアントキリング」と称された試合でした。


このチームのことをもっと知りたい!
そんな思いから、Numberの臨時増刊号まで入手
(編集部の予想を超える、4刷20万部だそうです)。
ニワカファンらしく、ネットで情報を探したり、
YouTubeを見たり。
しばらく勝利の余韻に浸りました。


代表ヘッドコーチであった
エディー・ジョーンズの指導の厳しさについては
頻繁に報道されました。
雑誌の記事上にも
「血のにじむ努力」、「死力を尽くした」
などの言葉が並びます。
選手が「ラグビー人生の中で一番きつかった」、
「もう一度はできない」と語る
「世界一きつい」と言われた練習。
耐えられずに途中で逃げ出す選手もいたそうです。


そんなエディーヘッドコーチに
こんなことを聞いているインタビューがありました。
「選手から愛されたいと思ったことはないのですか?」
コーチの答えは、こうでした。
「コーチになってからは一度もありません。必要ないからです」


鬼コーチの厳しい指導。
そう聞くと、頭に浮かんでくるのは、必死に耐える選手たちの顔。
でも、コーチの立場に立ってみると、
エディーヘッドコーチも必死に耐えていたのではないか
と思えてきました。
「コーチになってからは愛されたいと思わない」
ということは、エディー・ジョーンズという人は、
決して、嫌われ役が好きなわけではないのではないか。


W杯で過去2度も優勝している南アフリカ代表のような、
とんでもないチームを相手に、とんでもない勝利を得ようと思えば、
とんでもない練習をするしかない。
例えが悪いですが、今まで30分かけて食事をしてきた人に、
これからは毎回5秒で食べろ、と言うようなものでしょうか
(そんなたとえで、すみません)。
そりゃ、嫌われます。
嫌われることを避けて、徹底させることは不可能でしょう。


W杯最後の試合、アメリカ戦。
ボーナスポイントつきの勝ち点制が採用されているため、
日本代表は試合に勝利したとしても、
それ以上先に進めないことがわかっていました。
勝っても負けても最後の試合。
W杯後、代表監督を引退することが決まっていた
エディーヘッドコーチにとって、
エディー・ジャパン最後の試合でもありました。


国旗を手にピッチに入場してきた選手の目がすでに赤かったのは、
ロッカールームでエディーが涙を浮かべて
こんな言葉をかけたからでした。


「プライドを持って戦おう」


アメリカ戦にも勝利し、W杯で見事3勝。
帰国した選手は、
「本当につらかった。
でも、エディーさんでなければ、あのレベルまで
僕たちを連れて行くことはできなかったと思う。
感謝している」
と語っていました。


日本代表のヘッドコーチでなくなった今、
「日本代表選手から愛されたいと思いますか?」
と聞いたら、エディーはどう答えるだろうか。
そんなことを思ってしまいました。

「結果は出なかったのですが、

最後の最後まで諦めないで走り切るという姿を見せられたと思います。
この4年間は、選手たちと本当に楽しくサッカーを積み上げてこられて、
本当に幸せだったと思います。
スタッフも選手も本当によくやってくれた。誇りに思います」


先日のFIFA女子ワールドカップ・カナダ大会決勝で
2度目の優勝を手にすることができなかった「なでしこジャパン」。
チームを率いる佐々木則夫監督は試合後、こう話しました。


試合終了の笛が鳴った直後は、涙していた選手たちも、
間もなく「私たちはよくやったんだ」という笑顔になり、
お互いを称え合っていました。


私は、佐々木監督がどうやってこのチームを作り上げたのか、
以前からとても興味がありました。
あるインタビュー記事にそのヒントを見つけたので、ご紹介します。


佐々木監督は、2006年に男子チームから
女子チームのコーチに移ったのだそうです。
その時、ものの見方をがらっと変えなければいけないと感じたと言っています。


たとえば、体格のこと。
なでしこジャパンは女子サッカーチームの中で、
世界で一番、平均身長と平均体重が低いチームです。
他国の選手に比べ、手足が長くないということは、
ボールまでのリーチが短く、届きづらい。
普通に考えると、これはプラスの条件ではありません。


でも、リーチはなくても、コンパクトな分、
スライディングしてから立ち上がるスピードが速い。狭いエリアでの動きも機敏。
だから攻撃から守備、守備から攻撃への身体、そして頭の切り替えが実に素早い。
これは武器だ、と。
佐々木監督は今では
「日本の女性は、なんてサッカーに適しているんだ」と思っているのだそうです。


「変化に対応するのは君たちだ。創意工夫をするのは君たちだ」
そう言い続けることで、サッカーをするのは監督ではなく自分たちなんだ、
という考えを浸透させてきたとも監督は言っています。


たとえば、試合中、相手チームの選手交代で、
まだこちらがデータを所有していない
一人のクリエイティブなディフェンダーが入ってくる。
それだけで、ゲーム状況は一変するのだそうです。


そんな時、どうすべきかを考えるのは監督ではなく選手だ、と佐々木監督。
指示を出したくなることもあったのだそうですが、そういう時こそぐっとこらえて、
選手たちの創意工夫に任せてきたのだそうです。


「すると、選手たちの間に『集団知性』と言えるものが芽生えて、
チーム全体の変化への対応力が高まりました」
と佐々木監督は言っています。
千変万化する国際大会での試合を勝ち抜いていけたのは、
そんな力があったからだと確信しているのだそうです。


マイナスと感じることをむしろ武器にして戦ってこられた。
そして、自分たちの工夫で、自分たちがサッカーを進めてきた。
なでしこの選手たちがいつものびのびとプレーできる理由がわかった気がしました。


グローバル化が急速に進んでいるビジネスの世界。
いつ、どんな変化がやってくるかわからない状況で私たちは仕事をしています。
いざという時に、その変化に対応していくのは会社なのか?自分なのか?
その時、私たちは自信を持って、のびのびとプレーできるのか?
普段から準備しておくべきことがあるなあと感じました。

少し前になりますが、テレビで『アンディフィーテッド 栄光の勝利』という
ドキュメンタリー映画を観ました。
第84回アカデミー賞で、長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した作品です。


舞台はテネシー州メンフィス。
黒人の高校生たちがプレーする
アメリカンフットボールチーム『マナサス・タイガース』は、
結成から一度も勝ったことがない弱小チームです。
それもそのはず。
選手たちはやる気がなく、ケンカを繰り返し、お互いをののしり合う。
チームはバラバラです。


そこにボランティアの白人コーチがやってきます。
選手たちは最初、まったくコーチの言うことに耳を貸しません。
しかしコーチの言動と行動が、選手一人ひとりの意識をゆっくりと変えていきます。
やがて、チームは一つになり、ついに勝利を手にします。


私がこの映画を観て強く感じたことは2つ。


1つは、「見放さないこと、あきらめないことが、
奇跡を起こす可能性を生む」ということ。
2つ目は、「人は簡単には変わらない。でも、時間はかかるかもしれないが、
同じ態度で接し続ければ、こちらの思いは伝わる」ということです。


映画を観ながら、私は、選手たちの態度の悪さに
「あーあ、ひどいなあ」と思っていました。
些細なことでケンカして胸ぐらを掴み合う。
ミーティング中に席を立って、家に帰る。練習に来ない。
特にコーチが才能を認めていた選手は、極端に気が短く、
いつも人をばかにし、何も信用しない。
ほかの選手は「あいつがいるならプレーしない」と言います。
たいていの場合、こういう選手は放っておかれ、
チームに帰ってこなくても、そのままになってしまいそうです。


でも、この映画に登場するコーチは違うのです。
「チームにはお前が必要だ。自分が必要とされていることだけを考えろ」
と言い続けるのです。
彼がコーチの目を全く見なくても、一言も返事をしなくても、
すぐにその場から姿を消しても、
コーチは次に会った時に、また同じことを伝えます。
ドラマに出てくる熱血コーチのように、
大声で怒鳴ったり、目に涙を浮かべたりはせず、
穏やかに、伝えたいことだけを伝え続けるのです。


ドキュメンタリーですし、選手たちの相変わらずそっけない態度からも、
私は「このコーチの思いは結局届かないのかな」と思いながら観ていました。
ところが、この一番厄介な選手が、リーダーとしてチームを鼓舞し、
試合に勝利する日がやってくるのです。
私はかなり驚きました。人ってこんなに変わるんだと思いました。
コーチのかけた言葉が少しずつ彼の心を潤していき、やがて水がいっぱいになる。
そんなイメージが頭に浮かんできました。


もし私がコーチだったら、あんなやつのことは放っておこう、
と思ったかもしれません。
でも、このコーチは見放さなかった。それが勝利という奇跡を生んだ。
見放していたら、彼らは弱小チームのまま、
まともに試合もできず、すさんだままだった。
この違いは本当に大きいです。


スピードがより求められる時代です。
すぐに答えが出なければ、きっぱり諦めて次に移る。
それが必要な場合もあります。
でも一方では、諦めず、信じ続けることでしか目標を達成できないチャレンジもある。
松岡修造さんが言った「100回叩けば壊れる壁があるとする。
でもみんな何回叩けばいいかわからないから
90回まで来ていても、途中で諦めてしまう」
という言葉を思い出しました。

先日、子どもの頃に地元の強豪サッカーチームに
所属していたという人と話をしました。
そのチームは、ずっと昔から地域のお父さんたちが
コーチをしています。
特別なコーチが教えているわけではありません。
ですが、今でも強豪。
必ず県大会まで上がっていきます。


「何がチームを強くしているのでしょう?」
と聞くと、その人は、
「昔の仲間とそういう話になることがあるんですが、
正直、わからないんですよ。
コーチもお父さんたちだし、練習内容が特別なわけでもないし」
と答えました。


そんなわけで、納得の答えが得られないままでしたが、
昨日、「強さの秘訣はこれだ」と思える光景に出くわしました。


少年サッカー大会の会場。
1年生の試合です。
あの強豪チームが隣の区のチームと戦っていました。
私は、監督がどんな声かけをするのか、
興味津々で試合を観戦しました。
モチベーションが上がるようなことを
細かく指示するのかなと思っていたからです。


しかし、監督は試合中ほとんど口を出しませんでした。
その代わり、ずらりと並んだ選手の父母達が
大きな声で応援しています。
いいプレーをしたら拍手。ミスしても拍手。
誰一人としてマイナスの声かけをする人はいませんでした。


選手たちはのびのびとイキイキと試合しています。
1年生なのに堂々としたプレー。もちろん勝利しました。


ベンチに戻った選手たちを監督は一人ひとり胴上げしました。
父母も選手も監督もとても楽しそうでした。


「心からの応援」
このチームが強いのは、これなんだなと思いました。
選手たちがイキイキとプレーするための環境が整っている。
周囲が選手たちをしっかり盛り上げている。
父母たちも含めて、チームが一つになっている。
いいチームだから強くなるんだ。そう思いました。


以前、社長就任からわずか1年半で
東北楽天ゴールデンイーグルスを優勝に導いた立花陽三さんが、インタビューでこんなことを語っていました。


「新しい選手が入ったら、事務所のスタッフにも挨拶させます。
事務所のスタッフも含めて一つの球団だから。
全員で戦っているのです」


球団のウェブサイトでも、立花社長はこう言っています。
「選手・職員、年齢や役職など関係なく、
お互いがお互いを尊敬し合い、
『勝利』のために全員が全力を尽くす」


あの部署のあのプロジェクトはうまく行っていないらしい。
そんなことを聞いても、
自分には関係ないと思ってしまいがちです。
でも、強い集団、勢いのある集団には、必ず「団結力」がある。
「One team ワン・チーム」になることが
大切だなと改めて思います。

「今は、個人スキルを高めたい」。


そう言ったのは、うちの次男が所属するサッカーチームのコーチです。


「最初のうちは、テクニックをどんどんつけて、個人のスキルを伸ばしたいんです。
そうすると、いずれ大きくなってサッカーのことがわかってきた頃、
うまく前に進める。
でも、せっかくゲームメイクがわかってきた時に
個人スキルがないと難しいんです」。


今はチームでいかにうまく勝つかよりも、
個人でいかに上手くプレーするかに集中していていいと言うのです。
へえー、と思いました。
というのも、多くのチームは
「チームでいかにうまく勝つか」を考えているように見えるからです。


本来、子どもは自分でゴールを決めたがります。
自分一人でボールを運んで、華麗にシュートしたい。そう思っているのが普通です。
でも、多くのチームでは、それは良しとされていません。
一人がボールを持つ時間が長くなると、
奪われる危険が高くなるからだろうと思うのですが、
チームの和のためにダメにしているようにも見えたりします。
いずれにしても、「ボールを持ち過ぎだ」、
「パスにしろ」と監督に怒鳴られたりするのです。
「ドリブルすると自己中だと言われる」と
子どもが言っているのを聞いたこともあります。


もちろん、ドリブルだけがスキルではありませんが、
少しでも個人プレーに走ると何か言われてしまうのであれば、
自分から何か仕掛けようという気はどんどん少なくなり、
いかにチームでうまくやるかだけにフォーカスしていってしまいます。
極端に言うと、チームでは個人スキルはいらない、
という方向に考えてしまうのです。


あ、これ、仕事でもそうかも、と思いました。
チームでうまくやるために、個人はあまり出さない。
無意識にそうしてしまっていることがあると思ったのです。


でも考えてみると、個々が高い能力を発揮すれば、
チームとしてまとまった時の強さはスゴいものになるはずです。
チームプレーの時は個人プレーは抑える、のではなく、
むしろチームプレーだからこそ個人プレーに走るべきなのかもと思いました
(好き勝手な個人プレーではなく、個々の特徴を最大限に出すということです)。


と、ここまで考えて、気づきました。


「そんな時に堂々と個人プレーするほどの、
個人スキルがあるか? 磨いているか?」。


うーむ。仕事でも自主連、必要ですね。
いつボールが来ても、華麗な個人技を披露できるように、
普段からスキルアップしていなくてはいけませんよね。

ドイツのサッカーリーグ、ブンデスリーガ。
そこで現在、得点ランキング1位に輝いているのが岡崎慎司選手です。
6試合終えて、5得点。ものすごい数字です。


どのくらいすごいのかというと、
たとえばスペインリーグのネイマール選手が現在6試合で7得点、
メッシ選手が7試合で6得点です。
岡崎選手は、ネイマール、メッシとほぼ同じような勢いで得点しているのです。


岡崎選手がゴールを量産するようになったのは昨シーズンからです。
それまでは2シーズン半戦って10得点という数字でした。
1シーズンの試合数が34なので、85試合で10得点。
ここから今の成績を考えると、何かが劇的に変化したと思わずにはいられません。


「やはり得意なことに集中しようと思ったんです。
そして自分をチームに合わせることをやめたんです」。


インタビューで岡崎選手は好調の理由をこう分析しています。
所属チームが変わったことや監督が変わったことが理由だと思っていたら、
それは一番の理由ではないと言うのです。


なかなか結果を出せずにいた頃の岡崎選手は、
いろいろ器用にこなせる選手になろうとしていたのだそうです。
それが監督とチームが求めていることであったし、
そうすることでチームのためになると考えていたと言います。


しかし、うまくいかない。すべてが中途半端になってしまう。
そんなある日、改めて自分が何をやりたいのか、何が得意なのかを考え直し、
こう思ったのだそうです。
「自分は器用ではない。あれもこれもできない。
自分がしたいのは、ひらすらゴールに向かうこと。無我夢中で得点することだ」と。


「おもしろいのは、自分がゴールを目指すことに徹したら、
周りが合わせてくれるようになったことです。
こいつはゴールに向かう奴だと認識されたんでしょうね」。


「それまでは自分がチームに合わせようとしていた。
そうしないといけないと思い込んでいた。
でも、周りから見ると、何をしたい奴なのかわからなかったと思います。
だから結果としてチームのためになっていなかった」。


チームに合わせるのをやめて、自分の得意なことに集中したら、
チームが合わせてくれるようになった。
おもしろいなと思いました。
他のメンバー視点で見ると、
「ゴールする」という役割が明確になったことで、
それ以外のことをフォローしやすくなったのかもしれません。
結果を出すチームというのは、
そういったことがきちんと行われているのだろうなと思いました。


自分の得意なことって何だろう。得意なことで力を発揮できているだろうか。
メンバーは何が得意だろう。フォローはできているだろうか。
会社や家庭での役割、考えてみたくなりました。

メルマガのネタを探すために、ネットを彷徨っていたら、
なぜかJAXA(宇宙航空研究開発機構)のサイトに辿り着きました。
どんなキーワードでここに行き着いたんだっけ?
そうそう、「メンタルトレーニング」だ、と思い出したのですが、
サイト内の情報をいろいろ読んでいるうちに、
もっと気になるキーワードを発見しました。
「フォロワーシップ」です。


宇宙飛行士には、そもそも精神的ストレスでパニックにならないような人や、
リーダーシップを発揮できる人が選抜されます。
そういう人材が厳しいトレーニングを経て、より強いメンタリティーを手に入れる。
そんな精鋭の集まりですから、仕事上は何の問題もないように思いますが、
軌道上のミッションの達成には「チーム力」が不可欠。
リーダーは決まっている状況でも、もともとリーダー向きの人の集まりですから、
お互いが足を引っ張ってしまうこともあるというのです。
そこで、重要なことが「フォロワーシップ」をよく理解するということ。
リーダーを支えるためのスキルや心理を学ぶことなのだそうです。


一橋大学大学院商学研究科教授の守島基博さんが、
フォロワーに求められる3つの能力について、こう書いています。


1、 リーダーが語っているビジョンの正しさと実現可能性を評価する能力
守島教授は、これを「自分がついていくべきリーダーを選択する能力」と
言い換えています。


2、 選んだ対象へ意図的に努力を集中する能力
コミットする力。コミットとは自然にできるものではなく、
積極的な努力によって生まれるもの。リーダーが語るビジョンを信じ、
迷わず、ビジョンの実現のために意図的にエネルギーを注ぐことが
必要なのだそうです。


3、 常に批判的にリーダーを評価し続ける能力
え? 2つ目にあげたことと違う、って思いますね。迷わずに信じるって。
教授は、ある意味ではコミットしつつ、同時にそのコミットの正当性を
いつも疑う冷静さだ、と言っています。


フォロワーシップについて多くの観察をしている
米国の経営学者、ウォレン・ベニスは、
「組織が暴走しないために、フォロワーが
リーダーについていく中で常に冷静さを保ち、
疑問や不満、間違いなどをリーダーに対してきちんと伝えて行くことが、
フォロワーシップの根幹だ」と述べているようです。
盲目的についていくのではなく、ついていくコミットをしながらも、
状況を冷静に観察することが必要だということですね。
なるほど、です。


と、ここで、先日ブラジルに出発したザックジャパンを率いる
ザッケローニ監督が、手記の中でこう書いていたのを思い出しました。


「私には、私がどこかで監督の仕事をする時、
喜んでかけつけてくれるイタリア人スタッフたちがいます。
彼らとは長年苦楽をともにしてきました。
私が彼らと仕事をするのは、気心が知れているからだけではありません。
彼らが私のサッカー観を深く理解し、
それを選手に効率よく伝えることができるからです」


「イタリアでは当たり前のことですが、
コーチには黒子に徹する聡明さが必要です。
監督の一番の仕事は決断すること。
コーチングスタッフはその決断をサポートするのが仕事です。
イエスマンを求めているわけでは決してありません。
ミーティングではコーチは私に積極的に意見します。私もしっかり聞きます」


うーん。リーダーだけがリーダーシップを発揮すれば、
組織が成り立つわけではないんですね。
別の見方をすると、どんなにすばらしいリーダーがいても、
フォロワーがフォロワーとしての役割を理解し、実行していなければ、
その組織は機能しているとは言えない、ということになりますね。
フォロワーシップの重要性、改めて理解しました。

「監督(リーダー)向きの性格とはどんなものか?」


監督業を長くしていると、いろいろなことを聞かれるが、
よく聞かれるのがこの質問だ、
と言うのは日本代表監督のザッケローニ監督。
この質問に、ザッケローニはこう答えています。


「それは、巨大な責任に対しての身の施し方にあると思います。
チームを預かる責任の大きさ、重さから逃げずに、
むしろ進んで引き受けるくらいの強さと覚悟が監督には絶対に必要です。
監督になるのか、コーチにとどまるのか、その境目も
どこまで責任と向き合えるかが分岐点になる気がします」


そうだよなあ。それほどの覚悟がないと、
代表監督なんてやってられないよなあと思いつつ、
「大きな責任を進んで引き受ける」って、
どういう気持ちなんだろうと考えました。
成功した時は最高だろうけど、
失敗は必ずあるだろうし、批判も必ずある。
進んでその状況に入るって
どんな気持ちからくるのだろうと思ったのです。


ザッケローニ監督は、子どもの頃から、サッカーでも他の遊びでも、
自分で率先して動き、決定し、引っ張って行くタイプだったようです。
選手時代もキャプテンを務めていたと言いますから、
「皆を束ねたい」、「決定したい」という思いが強かったのだと想像します。
でも、「束ねたい」と「大きな責任を進んで引き受ける」は
イコールじゃなさそうです。
世の中、束ねるのは好きだけど責任は取りたくない、という人が
いるんじゃないかなあと思うからです。


では、「大きな責任を進んで引き受ける」って何なんだ?
ザッケローニ監督のインタビューにヒントがありました。


「私はただ自分が興味を持ってきたもの、つまりサッカーに対して
真摯に、情熱を持って取り組んできた。挑戦し続けてきただけです」


そうか。やはり、それなんですね。
好きなことを徹底的に、一生懸命やる。チャレンジし続ける。
チャレンジにはリスク、責任がつきもの。でも、チャレンジはやめない。
なぜならサッカーが好きだから。そのためなら、進んで責任を引き受ける。
そういうことなんだと思います。


ザッケローニ監督は言っています。
「私はリーダーになるための勉強をしてきたわけではありません。
そんなことをして、リーダーになれるとも思いません。
リーダーとは自分からなるものではないと思います。
その人がリーダーであるかどうかは、周りの人が決めることです」


そうですよね。「束ねたい」から
リーダーになれるというわけじゃないってことですね。
ひとつの事に情熱と覚悟を持って取り組む。
やはり原点はそこなんだなあと改めて思いました。


さあ、ワールドカップです。
日本中の大きな期待を背負って、先頭に立ってブラジルへ行く。
そんなとんでもないことができるのは、
仕事に対して、桁外れの熱い情熱があるからです。
行け!ザックジャパン!

先日、テレビでサッカー欧州チャンピオンズリーグの試合を観戦していた時、
あるチームの監督の行動を見て、
「やっぱり、勝つチームのリーダーだなあ。
こういう人に選手はついていくんだろうなあ」
と思わず呟いてしまいました。


試合は準々決勝。
試合終了まであと4分という時間に、追加点をあげたチーム。
その追加点のおかげで、準決勝進出が可能になったので、
ゴールした選手は歓喜のあまりピッチに倒れ込み、
その上にどんどん選手が重なって、喜びを分かち合っています。
そこに猛スピードで駆け寄るユニフォーム姿ではない男。監督です。
重なっている歓喜に満ちた選手たちを一人ひとり引きはがしながら、
探している選手が見つかると、耳元で大声で何か指示しています。
伝え終えると、また別の選手を引きはがし、同じように耳元で指示。
聞いている選手の顔はどんどん引き締まり、
そのうち、俺には指示はないのかというジェスチャーを示す選手も出てきました。


まだ試合は終わっていなかったので、
あと数分をどう戦うかの指示だったのだろうと思うのですが、
得点の喜びに浸っている選手たちを引きはがす監督は初めて見ました。
で、私は思ったのです。チームを勝たせるリーダーってこうでなくっちゃなあ、と。

監督はたぶん必死だったのです。試合は残り数分。
このまま守りきって絶対に勝つ。
確実に勝つために伝えなくてはならないことがある。
そう思って走り出してしまったのでしょう。


『死ぬ気ではたらくリーダーにだけ人はついてくる』という
ビジネス書を目にしたことがあります(読んではいないのですが...)。


確か帯に「部下はあなたの覚悟を見ている」とありました。
結局そういうことなんだろうなあ、と思いました。
そして、友人が言っていた言葉も思い出しました。
「部下をやる気にさせるのがうまいとか、頭の回転が速くて指示が的確とか、
もちろんそれも大事だけど、結局どんな人について行きたいかって、
やっぱり一生懸命やっている人だよね。
一生懸命、なりふり構わずやっている人だよ」。


前述した監督は、イングランドプレミアリーグの強豪チーム、
チェルシーを率いるモウリーニョ監督です。
試合は、もちろん勝ちました。次は準決勝。


チームキャプテンの言葉です。


「僕たちは今、どんなことだって可能にできる。
最高の結果が生まれることを信じている」。

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