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記憶の不思議、理解の不思議

グラスルーツの仕事は、人の心の動きというものへの関心なくして、成り立ちません。
媒体を通じて何かを伝えたいのなら、 相手の心の動きに添っていくことが不可欠だからです。
そんな仕事だからか、日常生活でもそういう方面へのアンテナは自ずと立ってしまいます。
先日も、両親との会話を通じて、
人の記憶の不思議、理解の不思議を痛感しました。


私の両親は父が今年90歳、母が85歳で、
昨年秋から、二人一緒に同じ介護付きの老人ホームに入居しています。
歳相応に短期記憶というものが衰えていますが、
普通にコミュニケーションは取れていますし、
自分のことは概ね自分でできています。


で、先日、その短期記憶について考えさせられるこんなエピソードがありました。
母は2月4日が誕生日なのですが、
先月末から少し体調を崩して10日ほど入院をしていた関係で、
遅ればせながら先週お祝いの外食をしました。
母はお刺身が好きなので、施設からほど近いたまプラーザの、
あるお鮨屋さんにランチどきに行きました。
昼間でしたが、父は日本酒、母はビールを飲み、
大いに満足してお店を出ました。
そして、父が本を買いに行っている間に、私と母はお茶を飲み。。。
かれこれ3時間ほどの外出でしたが、
いざ施設に戻って1−2時間した頃に、
「今日は表参道に行って久々に華やかな気分を味わえて良かった」と言った母に、
父が「渋谷に行ってから新宿に行っただろ?」と。
私は、「今日行ったのは、たまプラの駅前だよ」とは言いはしましたが、
目くじらを立てる程の事でもありませんからね。
そんなわけで、二人は「表参道に行った」「渋谷・新宿に行った」と
銘々に思い込んで、記憶したようです。


いったい二人の中で何が起きたのでしょうか?
私はこう解釈しています。
母は「今日は華やかな場所に行った」と感じ、
父は「人通りの多い場所に行った」と感じた。
で、自分の記憶にある華やかな場所、人通りの多い場所というのは、
表参道であり、渋谷・新宿だったのだろうな、と。
つまり、今いる場所、今日行った場所がどこという観点で記憶するのではなく、
印象を記憶して、そのような印象の場所はどこであると推測して記憶をつなげているんですね。
なので、高々たまプラーザでの外食が、
思った以上にビッグイベントとして記憶されてしまったようなのです(笑

この話を聞いて、これは老人だからでしょ?と思った方も多いかと思います。
でも、、、私は実はそうではないと思ってこれを書いています。


私も含めて、多分皆さんも心当たりがあると思いますが、
私たちは何かを記憶するとき、事実ベースの情報よりも、
その時のムードだとか印象だとか、
どちらかといえば感じたことをより強く記憶するのではないでしょうか。
例えば旅行をして、それがいつだったのか、どこだったのかは覚えていないけれど、
土地や風景の質感は覚えていたりしませんか?


けれども、感じることそれ自体は人それぞれです。
先ほどの私の両親の例では、
どちらかといえば二人が似たようなことを感じていましたが、
たとえ同じ時間、同じ場所に居たとして、
感じたことが違ったとしても、なんら不思議ではありません。


同じ場所にいながら、違うことを感じる...
これは、旅行などだけでなく、仕事でも起こります。
例えば、私たちがお客様の会議のファシリテーションをする時、
大抵は2名で行いますが、
終わった後の振り返りで、感じたことがまったく違うというケースもあります。
参加メンバーは満足していたのではないか、していなかったのではないか、
ポジティブな気持ちでいたのではないか、ネガティブな気持ちでいたのではないか、
判断が大きく分かれたりします。
私自身は楽観的だからか、どちらかというと良く受け止めがちなのですが、
部下から「イマイチな空気があったのではないか」と言われて、
「そうだったのかしら?」と認識を広げることもしばしば。


では、実際どうだったのでしょうか?
実は、正解は誰にもわからないんですね。
なぜでしょうか?
仮にその会議に10人が参加していたとしたら、
その10人の感じたこともそれぞれ違ったりしますし、
ミーティングの前半と後半で場の空気が変わったりもするからです。
さらに、印象を判断する人の個人的フィルターによって、
その場をどう判断するかが変わるからです。
そのフィルターというのは、その人の人生経験であり、
そこからくる価値観です。


では、この印象のズレについて、いったい私たちはどうしたらいいのか。
どう記憶されたのか、どう理解されたのか、
人それぞれ違うことにどう対処したらいいのでしょうか。


私見でしかありませんが、私はこう思います。
どれが正しいのか、ではなく、
すべて正しいと思って、多面的に理解しようとすることが大切なんだろうな、と。
要するに「Aと感じる人もいたし、Bと感じる人もいた、
自分はBとは感じなかったけれど、そう感じた人もいたらしい...」
そんな理解の仕方をすべきなのかな。


人が抱く印象。
同じものを見て違うことを人が感じるというその事実。
それを前提にすることの大切さ。
今日はそんなことをシェアさせていただきました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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